藤本智士(Re:S)

編集者。1974年生。『Re:S』『のんびり』編集長。自著『魔法をかける編集』『アルバ…

藤本智士(Re:S)

編集者。1974年生。『Re:S』『のんびり』編集長。自著『魔法をかける編集』『アルバムのチカラ』等の他『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』(佐藤健)『かみきこうち』(神木隆之介)など編集。#みんなの銀行アンバサダー http://bit.ly/satoshifujimoto

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Re:Standardを旗印に 「編集」視点から、さまざまを考え、提案する 編集者の藤本智士のnoteです。

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    2006年に創刊した雑誌「Re:S(りす)」編集長の藤本智士が、いまあらためてお届けする、あたらしい“ふつう”のnote「Re:S」。 日々のこと。旅のこと。地方のこと。編集のこと。 記事アップは月4回以上かなぁ。 ※現在メンバーシップを開始しましたので、そちらに加入いただいた方が金額が一緒でこのマガジンもすべて読めるのでおすすめです。

  • SとNの間にあるもの(まとめ)

    佐賀と長崎の解像度があがる旅

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    メンバーシップ限定公開マガジンです。自身の編集との出会いをたどりながら、編集とは何か? を紐解きたいなと思って書き連ねています。 キリのいいところまでしばらく、週1本以上の更新めざして頑張りまする。

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    49歳にしてはじめての初海外となったバリ島のレポート記事全6本が読めちゃう、お得なおまとめ版です。

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    編集者の藤本智士、ベベチオの早瀬直久が、あれこれ話す30分ラジオ番組。 収録は「しゃれこーべスタジオ」@KIITO 隔週更新を予定しています〜。

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鹿児島の背中

 シュウさんこと、坂口修一郎さんとリアルに会うのは10年振りくらいだろうか。それでも第一声は「お疲れ様でした」以外にないと思っていた。  15年目にしてその幕を下ろした「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE(グッドネイバーズジャンボリー)」。コロナ禍でも開催を続け、ローカルフェスの在り方も、縮小転換の舵きりも、環境負荷への自問自答も、何もかもが先を進んでいて、そのすべてに影響を受けた。ずっと前を走ってくれていたシュウさんの背中は、あまりにも大きい。  シュウさん

    • 札幌フィジカルミステリーツアー。待って待って待ったものだけが得られる境地。

       大分から戻ったその足で札幌に向かう。  夏から秋へと変わるこの季節に南から北へ移動するのは、旅慣れたはずの僕でも一か八かの賭け勝負。半袖プラス少し厚めの上着を羽織ればじゅうぶんだろうと踏んだのだが、結果、厚めの長袖インの、風除け長袖オンだったなと札幌に着くなり思う。こういう時に役立つウール100%のTシャツを、コットンTの下にもう一枚着込み、なんとか乗り切る。  今回札幌に入ったのは、新著出版ツアーの一つとして、札幌にある「Seesaw Books(シーソーブックス)」

      • 野田村の写真返却会が、お茶会な理由。

         10年近く来れてなかったかもしれない。  20年ほど日本中を旅して回っていれば、正直、そういう町はたくさんあるのだけれど、いま向かっているこの町に対しては、どこか後ろめたさのようなものを感じていた。前泊地の仙台から昨夜のうちに青森県八戸市に入っていた僕は、八戸にある高専の先生をされている河村さんにホテルまで迎えに来てもらい、コンビニコーヒー片手に後部座席に座りながら、懐かしいような新鮮なような風景を眺めていた。  同じく後部座席の隣にいるのは写真家の浅田政志。浅田くんとこ

        • ヘッドライトのスポットライトがぼくたちのスタート。

          昨晩、たっぷり寝て、ようやく体力回復してきた。あらためて 秋田キャラバンミュージックフェスにご来場いただいたみなさん。そしてそして+A(ction)にご協力いただいたみなさん本当にありがとうございました。今年はACMF史上初めて、二日間ともに強い雨風があり、かなり過酷だったと思う。足元が泥んこになってなお、アーティストを応援しつづけていたみなさんの姿にも、心打たれたフェスでした。本当にお疲れ様です。そしてもちろん、主催者である、高橋優くんも本当にお疲れ様でした。360度全方位

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          鹿児島の背中

           シュウさんこと、坂口修一郎さんとリアルに会うのは10年振りくらいだろうか。それでも第一声は「お疲れ様でした」以外にないと思っていた。  15年目にしてその幕を下ろした「GOOD NEIGHBORS JAMBOREE(グッドネイバーズジャンボリー)」。コロナ禍でも開催を続け、ローカルフェスの在り方も、縮小転換の舵きりも、環境負荷への自問自答も、何もかもが先を進んでいて、そのすべてに影響を受けた。ずっと前を走ってくれていたシュウさんの背中は、あまりにも大きい。  シュウさん

          札幌フィジカルミステリーツアー。待って待って待ったものだけが得られる境地。

           大分から戻ったその足で札幌に向かう。  夏から秋へと変わるこの季節に南から北へ移動するのは、旅慣れたはずの僕でも一か八かの賭け勝負。半袖プラス少し厚めの上着を羽織ればじゅうぶんだろうと踏んだのだが、結果、厚めの長袖インの、風除け長袖オンだったなと札幌に着くなり思う。こういう時に役立つウール100%のTシャツを、コットンTの下にもう一枚着込み、なんとか乗り切る。  今回札幌に入ったのは、新著出版ツアーの一つとして、札幌にある「Seesaw Books(シーソーブックス)」

          札幌フィジカルミステリーツアー。待って待って待ったものだけが得られる境地。

          野田村の写真返却会が、お茶会な理由。

           10年近く来れてなかったかもしれない。  20年ほど日本中を旅して回っていれば、正直、そういう町はたくさんあるのだけれど、いま向かっているこの町に対しては、どこか後ろめたさのようなものを感じていた。前泊地の仙台から昨夜のうちに青森県八戸市に入っていた僕は、八戸にある高専の先生をされている河村さんにホテルまで迎えに来てもらい、コンビニコーヒー片手に後部座席に座りながら、懐かしいような新鮮なような風景を眺めていた。  同じく後部座席の隣にいるのは写真家の浅田政志。浅田くんとこ

          野田村の写真返却会が、お茶会な理由。

          ヘッドライトのスポットライトがぼくたちのスタート。

          昨晩、たっぷり寝て、ようやく体力回復してきた。あらためて 秋田キャラバンミュージックフェスにご来場いただいたみなさん。そしてそして+A(ction)にご協力いただいたみなさん本当にありがとうございました。今年はACMF史上初めて、二日間ともに強い雨風があり、かなり過酷だったと思う。足元が泥んこになってなお、アーティストを応援しつづけていたみなさんの姿にも、心打たれたフェスでした。本当にお疲れ様です。そしてもちろん、主催者である、高橋優くんも本当にお疲れ様でした。360度全方位

          ヘッドライトのスポットライトがぼくたちのスタート。

          和歌山を知り直す旅。 「御坊市編」

           9月に入ってなお猛暑日な和歌山2DAYS。まずは和歌山県御坊市の旅。  和歌山大学の大澤先生のありがたくも熱烈なオファーのもと、来年10周年を迎えるという「御坊日高オンパク」を開催されているみなさんを前に、地域編集をテーマにした講演をするため和歌山にやってきた。そもそもオンパク(ONPAKU)ってご存知だろうか?  地域に見合った体験型プログラムをいくつも企画し、それを限定期間、集中的に行うことから、「地域資源の発掘」や「人材の育成と連携」を効果的に実現しようというもの。

          和歌山を知り直す旅。 「御坊市編」

          やさしさの旅03 「隙間と移動とグリーン」

           こんなふうに、フィジカルな体験を僕が好むのは、実感や体感の欠如を感じる場面が増えているからだ。そもそも世の中において、デジタルの万能性が多く語られがちなのは、デジタルが発展性や成長性を内包するゆえだろう。現状の不完全さを余白と捉え、未来に期待をするからこそ、デジタルなモノや技術に対して人々は寛容だ。一方、アナログなモノに対しては、それそのものに成長性や発展性を感じづらいからか、現状を批判して終わりになってしまいがち。けれど僕は、まだまだ実用に問題のあるAIは受け入れるのに、

          やさしさの旅03 「隙間と移動とグリーン」

        記事

          和歌山を知り直す旅。 「御坊市編」

           9月に入ってなお猛暑日な和歌山2DAYS。まずは和歌山県御坊市の旅。  和歌山大学の大澤先生のありがたくも熱烈なオファーのもと、来年10周年を迎えるという「御坊日高オンパク」を開催されているみなさんを前に、地域編集をテーマにした講演をするため和歌山にやってきた。そもそもオンパク(ONPAKU)ってご存知だろうか?  地域に見合った体験型プログラムをいくつも企画し、それを限定期間、集中的に行うことから、「地域資源の発掘」や「人材の育成と連携」を効果的に実現しようというもの。

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          各地でお喋りツアーな日々を整理

          5月の文学フリマ東京で新著「取り戻す旅」をデビューさせて以来、 6/6 福島県猪苗代街「はじまりの美術館」 6/17 宮城県仙台市「曲線」 7/1 長崎県佐世保市「RE PORT」 7/2 佐賀県武雄市「武雄旅書店」 7/10 高知県安芸市「東風ノ家」 7/16 岩手県盛岡市「盛岡という星でBASE STATION」 7/25 青森県八戸市「アンドブックス」 7/26 青森県青森市「PENT HOUSE」 8/20 沖縄県那覇市「CONTE」 8/22 東京都江東区「リトル

          各地でお喋りツアーな日々を整理

          沖縄首里「CONTE」の幸福な夜

          沖縄県那覇市首里に「CONTE」という名のカフェレストランがある。料理人の五十嵐亮(まこと)さんと、編集者の川口美保さん夫婦が営むこのお店がオープンしたのは2015年のこと。 オープンの年にすぐさまお店に伺ったのだけど、それは、雑誌『SWITCH』の編集者として、秀逸なインタビュー記事を生み続けた美保さんが、雑誌編集をやめて沖縄でカフェを開くという知らせに驚いたからだ。そしてさらに僕は、美保さんに対してある一つの勝手な期待をもって、沖縄行きのチケットを取った。 出版社にも

          沖縄首里「CONTE」の幸福な夜

          「夕焼けを見てエモいはなんか違うじゃないですか」に、思うこと。 

          先日、初めての街に講演に呼ばれ、地元の人にアテンドしてもらってまち歩きをしていた時のこと。一緒に歩いていたお手伝いの女子学生が、「どんな時に“エモい”って言葉が出ますか?」という問いを周りのおじさんたちに投げて、盛り上がっていた。 気になる話題だなぁと耳を傾けていると、そもそも女子学生がそんな問いを投げたのは、あるおじさんが夕焼けを見てエモいと言ったのを聞いたからだと言う。 「それってなんか違うじゃないですか」 女子学生のその一言が余計におじさんたちを萎縮させる。その緊

          「夕焼けを見てエモいはなんか違うじゃないですか」に、思うこと。 

          山形県最上郡戸沢村にボランティアに行って考えた、「人の手」のはなし。

           7月末の秋田山形豪雨で甚大な被害を受けた山形県最上郡。なかでも被害が大きく、集落全体が浸水した戸沢村のボランティアをしてきた。ネットを介して地元放送局のニュースを見た時の衝撃はかなりのもので、これまで幾度も、その穏やかな流れを見ていた最上川の氾濫に、自身の驕りを投影して、ゾッとした。  昨年の秋田市や五城目町のような日本海側北部での豪雨被害や、九州北部の大雨被害など、夏の自然災害が常態化していることに加え、オリンピック開催もあって、ほとんど報道されることがないけれど、3m

          山形県最上郡戸沢村にボランティアに行って考えた、「人の手」のはなし。

          SとNの間にあるもの 〜エピローグ・東SoNogiの引き寄せ〜

           佐世保と武雄温泉でのイベントを終えて、兵庫県に戻ると、静岡県の南伊豆でローカルローカルという宿をやっている友人の一徹から、やりとりしていたイベントの概要が決まったというメッセージが届いた。  今年の初めだったか、一徹から、東京 清澄白河にある「日本仕事百貨」で主催するトークイベントにゲストとして出て欲しいというオファーをもらったものの、その時はちょっとそういうモードになれなくて一度お断わりしたのだが、5月に新著をデビューさせるべく出店した『文学フリマ東京』の会場に彼がわざ

          SとNの間にあるもの 〜エピローグ・東SoNogiの引き寄せ〜

          SとNの間にあるもの 〜後編・美しきグレー〜

          身の丈というスケール  カフェmellowで森さんと話した時間は、旅のはじまりにしてとても大きな気づきになった。算盤弾けて町のビジョンを視れる人がいる町は強い。その事実を再確認した僕は、各地方の友人たちの逞しさの裏にあるそれぞれの経済に対する哲学について考えた。僕はお金を稼ぐということに対してあまりに注力しなさすぎるきらいがあるけれど、それでもこうやって旅をするためにはお金も必要で、せめて赤字にしないようにということくらいは考えながら旅をする。しかしそれは、別に贅沢な旅を望

          SとNの間にあるもの 〜後編・美しきグレー〜

          断熱に代わる言葉を探して(岩手県紫波町の旅)

          夜に盛岡で行われるトークイベントに向けて花巻空港に到着した午後、僕はそのまま盛岡市内に直行せず、紫波町に向かった。友人で編集者仲間のいづみさんが空港から車で連れて行ってくれたのだが、花巻空港から盛岡へと北上するちょうど途中にあるのが紫波町で、想像よりもアクセスのよい町だと知り、岩手の地理の解像度がまた上がった。 そもそもどうして紫波町に寄ることにしたのか。その理由は、先月、宿泊した島根県隠岐島、海士町の「Entô(エントウ)」というホテルでの、ある夜の出来事にあった。 二

          断熱に代わる言葉を探して(岩手県紫波町の旅)

          SとNの間にあるもの 〜中編・東彼杵の衝撃〜

          大村湾を理解する リポート(REPORT SASEBO)の小仙くんは、佐世保へと向かう道中にある東彼杵という町が面白いから案内したいという。何一つ予定を決めていなかった僕はありがたいばかりだと、言われるまま東彼杵に向かってもらった。長崎県のほぼ中央部、大村湾の東側に面する東彼杵町は、県下最大級のひさご塚古墳があったり、江戸時代には長崎街道の宿場町として栄えた歴史ある町だという。しかし僕は今回訪れるまで「彼杵」という字を「そのぎ」と読むことさえできなかった。 そもそも、長崎

          SとNの間にあるもの 〜中編・東彼杵の衝撃〜

          SとNの間にあるもの 〜前編・近づく長崎と佐賀〜

          佐賀と長崎との距離 今朝は高知にいる。昨夜も友人たちと馴染みの店で楽しい夜を過ごして、あらためて高知の豊かさ(特に食!)に圧倒された。47都道府県全てを旅する僕だけど、ここ高知のように何度も訪れる場所もあれば、その一方で、数回しか訪れていない土地もあって、ご縁というのは不思議なものだ。 そんな風に、これまで大きなご縁がなかったけれど、ここにきて俄然その距離が近づきつつある土地というのもあって、その代表が、佐賀と長崎だ。今回はそんな二つの土地のことについて書こうと思う。

          SとNの間にあるもの 〜前編・近づく長崎と佐賀〜

          南三陸の奇跡。レジリエンスのチカラ。

          【シェア拡散大歓迎・渾身の記事アップ!】 震災直後から何度か足を運んでいる南三陸だけれど、戸倉のカキ部会の方達ほど、その情熱と行動をもって、自らの手で、未来を近づけた人たちを、ほかに知らない。ずっとずっと取材したかったレジェンドなお二人を、南三陸に長年伴走し続ける、尊敬する先輩、吉川由美さんにつないでいただいて取材することができた。 これ、マジで映画化したいくらいの話。 そもそも僕がジモコロで、この「レジリエンス」というシリーズをやりたいと、編集長のだんごに提案したのは

          南三陸の奇跡。レジリエンスのチカラ。