藤本智士(Re:S)

編集者。1974年生。『Re:S』『のんびり』編集長。自著『魔法をかける編集』『アルバ…

藤本智士(Re:S)

編集者。1974年生。『Re:S』『のんびり』編集長。自著『魔法をかける編集』『アルバムのチカラ』等の他『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』(佐藤健)『かみきこうち』(神木隆之介)など編集。#みんなの銀行アンバサダー http://bit.ly/satoshifujimoto

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    2006年に創刊した雑誌「Re:S(りす)」編集長の藤本智士が、いまあらためてお届けする、あたらしい“ふつう”のnote「Re:S」。 日々のこと。旅のこと。地方のこと。編集のこと。 記事アップは月4回以上かなぁ。 ※現在メンバーシップを開始しましたので、そちらに加入いただいた方が金額が一緒でこのマガジンもすべて読めるのでおすすめです。

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    著者自らが朗読するオーディオブック! 「魔法をかける編集」藤本智士(インプレス) ガチで6時間以上かけて自ら朗読したので後半バテたり、変なテンションなってたりしますが、それも著者が自らやりきったからこそと、丸っと飲み込んでいただけたらと思います。 こんなアクションもまた編集の魔法だと信じて。 朗読:藤本智士 サウンドプロデュース:早瀬直久

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記事一覧

アルバムな旅04「北国の文化の光」

 迫くんと別れたあと、連れていってもらったのは「北書店」という小さな本屋さん。ここの佐藤店長と迫くんは、僕のなかの深い地層に潜むご縁でゆるやかにつながっている。…

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出版します! 本に込めた初の試みの話。

 突然ながら、本を出すことにした。タイトルは『取り戻す旅』。そう、このnoteで書いていた同名の旅記事を加筆修正し一冊にまとめた本だ。  サイズは文庫サイズ、240ペ…

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アルバムな旅03『ロッキンチェアーと浮き星が踊る』(新潟市)

 迫くんがsaccoを受け入れてくれた「ワタミチ」は、現在「hickory03travelers」の店舗となっている。そしてその向かいに、築100年の古民家をリノベーションした「上古町の…

200
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アルバムな旅02『拾う神と拾われる天使』(新潟市)

 事前に博進堂の田沢さんに相談していた、立ち寄りたいお店のひとつは、上古町にある「hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)」(以下、ヒッコリー)だった…

200
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アルバムな旅01「旅上手は甘え上手」(新潟市)

 東北から戻った二日後、再び飛行機に乗って向かったのは、新潟だった。飛行機で新潟に行くのはいつぶりだろうか。かれこれ12年ほど毎月秋田に通い続けた僕は、そのうちの…

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北陸応援「割」に対する違和感

 先日、石川県に行ってきた。そこで僕が感じたことを伝えたいと思うのだけれど、正直、どう伝えるのが良いのかわからない。けれど、編集者の使命として、できる限り誠実に…

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みんなのお金

 みんなの銀行アンバサダーになって数か月。10名のアンバサダーさんとリアル対面できる機会があって、博多入りした。社員証まで用意してもらって行内のツアーをしてくれた…

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取り戻す旅⑩ 『取り戻したもの』編

 「長かった旅も終わりか」。などと感慨深く思うのは、旅を振り返っている今現在の感情だろうか。3泊4日なんて、いわばあっという間だ。けれどこうやって、旅の終わりの…

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取り戻す旅⑨ 『盛岡の夜』編

 吉浜食堂では、いづみさんが声をかけてくれていた二人と合流した。うち一人は、アンドブックス(八戸)でのイベントに来てくれていた、奈々という20代の女の子。写真家・…

200
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取り戻す旅⑧ 『八戸〜盛岡』編

 「海行こう」そんな青春漫画のワンシーンみたいなひと言を放ってしまうほど、雲一つない青空だった。盛岡に行く前に、いづみさんの青い車で、種差海岸の蕪島に立ち寄る。…

200
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取り戻す旅⑦ 『八戸の朝と久助』編

 八戸で迎える朝、近くの「ドトールコーヒー」で一人、溜まる一方のメールを一つひとつ返信する。今日決まっていることは、盛岡へと移動することだけ。盛岡へは、同業者で…

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取り戻す旅⑥ 『八戸の夜』編

 八戸に着くともう夕方だった。巽くんも今日は八戸泊とのことで、一旦別れて、それぞれにチェックインを済ます。今夜のトーク会場は市内にある「ANDBOOKS(アンドブックス…

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取り戻す旅⑤『蔵書票と五戸のペガサス』

 八戸駅に着くと「もうすぐ着きます」という友人からのメッセージ。ここから車で30分とかからない五戸町に住む、巽くんという友人が八戸駅まで迎えにきてくれることになっ…

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取り戻す旅④ 『善知鳥神社とギフト』編

 それにしてもすごい雪だ。今年は雪が少なくて心配と聞いていたけれど、昨日といい今朝といい、ずいぶんな歓迎を受けているなあと思う。僕は仕事柄、ロケ取材など晴れてほ…

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14

取り戻す旅③ 「青森市」編

 神様の演出のもと、まさかのギフトをいただいた僕は、むやみに高揚してしまって、珈琲でもと思っていた気持ちをシードルにチェンジ。とはいえ、今夜はきっと沢山飲むだろ…

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取り戻す旅② 「五所川原〜青森市」編

 コンビニエンスストアなる、便利さを刻印されたお店のマイペースな抵抗に、ローカルカラーとも言うべき自然美を感じた僕は、そこにもはや民藝的なものを見始めていた。青…

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アルバムな旅04「北国の文化の光」

アルバムな旅04「北国の文化の光」

 迫くんと別れたあと、連れていってもらったのは「北書店」という小さな本屋さん。ここの佐藤店長と迫くんは、僕のなかの深い地層に潜むご縁でゆるやかにつながっている。それこそ迫くんと前回会ったのも北書店のトークイベントだった。しかしあのイベントは稀にみるヤバさだった。自著の出版記念として佐藤さんが組んでくれたイベントだったのだが、佐藤店長と僕、そして新潟県燕市にある「ツバメコーヒー」店主の田中くんとの鼎

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出版します! 本に込めた初の試みの話。

出版します! 本に込めた初の試みの話。

 突然ながら、本を出すことにした。タイトルは『取り戻す旅』。そう、このnoteで書いていた同名の旅記事を加筆修正し一冊にまとめた本だ。

 サイズは文庫サイズ、240ページと少々ボリューミーだけれど、noteで使用していた写真もふんだんに使い、長文を読みきる悦びを味わってもらえるよう1ページあたりの文字量を調整。なにより、長年僕の仕事に寄り添ってくれているブックデザイナーの堀口努さんに文字組みを丁

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アルバムな旅03『ロッキンチェアーと浮き星が踊る』(新潟市)

アルバムな旅03『ロッキンチェアーと浮き星が踊る』(新潟市)

 迫くんがsaccoを受け入れてくれた「ワタミチ」は、現在「hickory03travelers」の店舗となっている。そしてその向かいに、築100年の古民家をリノベーションした「上古町の百年長屋SAN」というお店がオープンしている。そう、ここも彼らのあたらしいお店。一階には、迫くんたちがブレイクする大きなきっかけとなった「浮き星 -ukihoshi-」のカフェがあったり、2階にはイベントスペースも

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アルバムな旅02『拾う神と拾われる天使』(新潟市)

アルバムな旅02『拾う神と拾われる天使』(新潟市)

 事前に博進堂の田沢さんに相談していた、立ち寄りたいお店のひとつは、上古町にある「hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)」(以下、ヒッコリー)だった。雑貨や食品など、魅力的な新潟土産が並ぶセレクトショップで、それらのほとんどがオリジナルのデザインでとてもかわいいい。ところでこの「かわいい」という表現について、15年ほど前までは「なんでもかんでも、かわいい、かわいい、と

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アルバムな旅01「旅上手は甘え上手」(新潟市)

アルバムな旅01「旅上手は甘え上手」(新潟市)

 東北から戻った二日後、再び飛行機に乗って向かったのは、新潟だった。飛行機で新潟に行くのはいつぶりだろうか。かれこれ12年ほど毎月秋田に通い続けた僕は、そのうちのいくつかを車で往来した。神戸を起点にして京都→福井→石川→富山、そして長い長い新潟を抜けてようやく東北、山形へ。山形と秋田の県境にある鳥海山の姿を眺めながら、あともう少しだと車を進め、ようやくたどり着く秋田。行程約900km、休憩なく走り

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北陸応援「割」に対する違和感

北陸応援「割」に対する違和感

 先日、石川県に行ってきた。そこで僕が感じたことを伝えたいと思うのだけれど、正直、どう伝えるのが良いのかわからない。けれど、編集者の使命として、できる限り誠実に伝えたい。まずはこれらの写真を見て欲しい。

 これらの写真は、能登ではない。金沢市街から車で20数分の内灘町の、ほんの数日前の姿。

 西荒屋という地区を中心に、液状化×地盤流動で、道路や電柱が現実とは思えないほど、うねり、崩壊。400棟

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みんなのお金

みんなのお金

 みんなの銀行アンバサダーになって数か月。10名のアンバサダーさんとリアル対面できる機会があって、博多入りした。社員証まで用意してもらって行内のツアーをしてくれたり、頭取の永吉さんが「みんなの銀行」の歩みを話してくれるのを、博多のクラフトサケ「LIBROM」を、ほぼ一人で飲干しながら聴くとか(昼間からお酒飲む人僕くらいしかいなかった💦)、とても充実した会で、スタッフのみなさんの良い場にしようとい

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取り戻す旅⑩ 『取り戻したもの』編

取り戻す旅⑩ 『取り戻したもの』編

 「長かった旅も終わりか」。などと感慨深く思うのは、旅を振り返っている今現在の感情だろうか。3泊4日なんて、いわばあっという間だ。けれどこうやって、旅の終わりの項までに45,000字以上費やしているのだから、それは確かに長かったのだ。僕は常々「アウトプットしてこそ、旅」と言い続けている。目に映るものすべてが彩りを持って飛び込んでくる旅の日々は、いわばインプットの過剰摂取状態。それらをアウトプットで

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取り戻す旅⑨ 『盛岡の夜』編

取り戻す旅⑨ 『盛岡の夜』編

 吉浜食堂では、いづみさんが声をかけてくれていた二人と合流した。うち一人は、アンドブックス(八戸)でのイベントに来てくれていた、奈々という20代の女の子。写真家・浅田政志くんと僕の共著『アルバムのチカラ』が大好きだと付箋だらけの一冊を持参してくれて、さらに、フィルムカメラで写真を撮っているという彼女のInstagramアカウントがずいぶん良くて、印象に残っていた。イベントの打ち上げにも参加してくれ

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取り戻す旅⑧ 『八戸〜盛岡』編

取り戻す旅⑧ 『八戸〜盛岡』編

 「海行こう」そんな青春漫画のワンシーンみたいなひと言を放ってしまうほど、雲一つない青空だった。盛岡に行く前に、いづみさんの青い車で、種差海岸の蕪島に立ち寄る。2015年11月に社殿が全焼してしまった蕪嶋神社が再建されたのは2019年。まさにこんな青空の下で凧揚げをしたり、いろんな思い出がある種差海岸だが、2017年を最後に訪れていなかった。怖くなるほど、たくさんのウミネコたちが空を舞っていたから

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取り戻す旅⑦ 『八戸の朝と久助』編

取り戻す旅⑦ 『八戸の朝と久助』編

 八戸で迎える朝、近くの「ドトールコーヒー」で一人、溜まる一方のメールを一つひとつ返信する。今日決まっていることは、盛岡へと移動することだけ。盛岡へは、同業者で飲み友達の、鈴木いづみさんが連れて行ってくれることになっていた。いづみさんは昨夜のイベントにわざわざ盛岡から参加してくれて、それどころか夜中2時半の「鮨武」まで、しっかり一緒に飲んで食べて楽しんだ。にもかかわらず、昨夜のイベントで出会った、

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取り戻す旅⑥ 『八戸の夜』編

取り戻す旅⑥ 『八戸の夜』編

 八戸に着くともう夕方だった。巽くんも今日は八戸泊とのことで、一旦別れて、それぞれにチェックインを済ます。今夜のトーク会場は市内にある「ANDBOOKS(アンドブックス)」という名のブックバー&カフェで、ホテルからは徒歩10分もかからない場所だった。僕にとって八戸は「青森に行く」=「八戸に行く」くらい好きで何度も訪れている町だけれど、アンドブックスに行くのは初めてだった。聞けば2018年にオープン

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取り戻す旅⑤『蔵書票と五戸のペガサス』

取り戻す旅⑤『蔵書票と五戸のペガサス』

 八戸駅に着くと「もうすぐ着きます」という友人からのメッセージ。ここから車で30分とかからない五戸町に住む、巽くんという友人が八戸駅まで迎えにきてくれることになっていた。彼を待つ間、駅構内のお土産屋さんをふらついていたら、大好きな「板かりんとう」を見つけた。かりんとうなどというものを好んで食べるようになるなんて、若い頃は思いもしなかった。歳をとったと感じるタイミングは数あれど、体力の低下や予期せぬ

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取り戻す旅④ 『善知鳥神社とギフト』編

取り戻す旅④ 『善知鳥神社とギフト』編

 それにしてもすごい雪だ。今年は雪が少なくて心配と聞いていたけれど、昨日といい今朝といい、ずいぶんな歓迎を受けているなあと思う。僕は仕事柄、ロケ取材など晴れてほしい場面が多く、そういう日は大抵晴れる。ずいぶんな雨予報を何度もひっくり返してきた経験もあって、よく、晴れ男だと言われるのだけど、厳密に言えばそれは違っていて、秋田で長年一緒に取材を続けてきた仲間などは、「晴れ男というより、藤本さんが望む天

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取り戻す旅③ 「青森市」編

取り戻す旅③ 「青森市」編

 神様の演出のもと、まさかのギフトをいただいた僕は、むやみに高揚してしまって、珈琲でもと思っていた気持ちをシードルにチェンジ。とはいえ、今夜はきっと沢山飲むだろうしなぁと、控えめサイズな一本を注文し、友人家族との懐かし話を少々甘すぎるシードルともに味わった。

 奇跡の再会を経て、一旦、チェックインを済ます。アートホテルという名のホテルにふさわしく、ロビーには立派なねぶた作品が飾られていた。青森ね

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取り戻す旅② 「五所川原〜青森市」編

取り戻す旅② 「五所川原〜青森市」編

 コンビニエンスストアなる、便利さを刻印されたお店のマイペースな抵抗に、ローカルカラーとも言うべき自然美を感じた僕は、そこにもはや民藝的なものを見始めていた。青森ローカルチェーンの「オレハ(オレンジハート)」に、棟方志功を見つけた柳宗悦のごとし興奮を覚えたのだ。そこで、もう少し五所川原の町を散策してみたくなった。というのも実は『亀乃家』に向かう車中で、一軒気になるお店を見つけていた。

 通りに面

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