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映画『ナポレオン・ダイナマイト』感想

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 過日、映画『ナポレオン』(感想文リンク)を観に行きましたが、そこからふと思い出した本作。もう何年前に観たかもよく覚えていませんが、よければどうぞー。


配られたカードで勝負するしかない


 ちょっとしたお話をひとつ。 ——日本でのリリース当時、『電車男』がブームになっていたことから『バス男』というあまりにも残念な邦題を付けられた不運の映画である本作。当初から反感を買っていたらしく、後々になって原題に改題されたものの、一部のレンタルショップ等では未だに『バス男』のまま陳列されることもしばしば……。個人的には面白くて好きなんですけど、いわゆる “シュールな笑い” ってやつなのかな? が詰まっていることもあり、ソフトスルー作品になっちゃったのは仕方ないのかもしれません。だとしても、この邦題はあまりに残念。——

 ……まぁ「お話」と言うか、ほぼ文句みたいになっちゃってますが笑、そこはご愛嬌。本題に戻ります。


 勿論、コメディとしても好きなんですけど、僕は主人公ナポレオン(ジョン・ヘダー)のかっこ良さに惹かれてしまっているんです。

 「今の知識を持ったまま過去へ戻りたくはないか?」という、主人公ナポレオンの叔父・リコ(ジョン・グライス)が口にするセリフ。彼は学生の頃、アメフトをやっていたもののレギュラーメンバーには選ばれず、「俺が選ばれていれば勝っていた」などと、未だに選ばれなかったことを悔やむような男で、挙句の果てには明らかにインチキ商品のタイムマシンを買ってしまうほど、過去への未練タラタラの人物。

 「過去をやり直したい」と思うことは誰でも有り得ることですし、不思議なことじゃないですけど、“現実” ってのは、配られたカードで勝負するっきゃない。そういえば似たようなことをスヌーピーも言っていたよね笑。

 確かにナポレオン自身も「彼女が居る」などと見栄を張ったり、叔父に黙ってインチキのタイムマシンを使ってみたり、かっこ悪い側面も見せてはいるものの、スクールカーストの底辺に居るようなそんなナポレオンが、今の力で、その時に持ち得る武器だけで戦おうとするからこそカッコイイと思えてくる。

 終盤のキレッキレのダンスも、馬に乗って現れるシーンも、ダサさ溢れるビジュアルが彼の存在をより引き立たせてくれます。彼が持つ “ダサさ” は色んな人が持つ “弱さ” に相似している気がするんです。見た目も振る舞いも、どんな視点から観察してもダサいナポレオンだからこそ、ちょっとの共感と、ちょっと応援したくなる気持ちを生み出してくれるんじゃないかな。

 僕自身もそうですけど、共感羞恥が他人より強めの人ほど以外とハマってしまうかもしれません。


 この映画は、何の変哲も無い日常風景の中に紛れた、普段ならきっと見向きもされない派閥の人々の独特なセンスを、ちょっとした間や雰囲気の味付けを存分に活かして描いたコメディ。文字で読むより観た方が良いのですが、万人受けには程遠いセンス故、一概にオススメできないのが残念です笑。


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