映画『ドリーム』感想
予告編
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過日、映画『ナポレオン・ダイナマイト』感想文を投稿しましたが、本作も同様に、邦題に関してひと悶着あった作品です。
公開当時の感想文ですが、よければどうぞー。
ヒーローは、必ずしも表舞台にいるとは限らない
ご存知でしょうか? 公開前に一部ネットニュース等で話題になっていた本作。当初は『ドリーム ~私たちのアポロ計画~』という邦題で公開を予定されていた本作は、実は “マーキュリー計画” についての物語でアポロ計画とは何も関係がなく、「“アポロ計画の方が集客できる” という理由で副題が付けられた」なんて噂まで立ち始めたことから映画ファンらの大反感を買い、現在の『ドリーム』という邦題に変えられたそうな。
まぁ、変えて大正解だと思います笑。
日本ではあまり取り沙汰されませんけど、白人至上主義者のデモが過熱してしまっている昨今、人種差別の歴史が描かれた物語が一体どう評価されるものなのかと思って観に行きましたけど、本国では『ラ・ラ・ランド』(感想文リンク)超えの大ヒットを果たし、アカデミー賞にもノミネートされるんだとか。過激な側面についてはあくまでニュースシーンの中だけで流すなどの描写が観易さに繋がっているじゃないかな。
ヒットの要因が他にもあるとするなら、それはきっと音楽。ファレル・ウィリアムスが作るノリの良い音楽がそれぞれのシーンを暗くせずに華を添えてくれる。そんな素敵なBGMが流れる中、ドロシー(オクタビア・スペンサー)が計算係の黒人系女性たちを20人くらい引き連れながらIBMの管理室へと闊歩する姿は、画角も相俟って、まるで映画『スーパーの女』の宮本信子さんみたいで忘れられません笑。このシーンに魅力を感じてしまったのはきっと、その画力(えぢから)だけではなく、作品全体として流れるリズム感のある音楽が作り出す雰囲気だったんじゃないかな。
YouTUBEに載っているサントラを聴き直すまで気付きませんでしたけど、当時のラジオなどから聞こえていたであろう類の音が曲の中に混ざっているのも素敵なポイントだと思います。
映画『ヴィンセントが教えてくれたこと』でもそうでしたけど、セオドア・メルフィ監督の映画は、エスプリの効いたジョークというかユーモアも然ることながら、皮肉を垂れる気難しいオッサンの使い方が面白い。タイミングや使い方ひとつで派手さのないシーンを色鮮やかに彩ったり、或いは感動を与えてくれたりする。キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)にチョークを渡すシーンやトイレの表札を壊すシーンも、そいつがするからカッコイイし脳裏に焼き付く。本作で言えばアル(ケビン・コスナー)が、そんなギャップ萌えにも似た魅力あるオッサンを担ってくれています。
あと、その “チョークを渡すシーン” も個人的に好きなシーンの一つなんです。幼少期のシーンと重ね合わせたような動きを、反復して描き、物語が動きだすことを教えてくれるし、一方で幼少期のそれとは状況がまた変化していることで、その違いも際立ってくる。本作の中でも指折りの名シーンなんじゃないかな。
少し余談に走り過ぎて書きそびれちゃいましたけど、人種や性差の壁を乗り越えた彼女たちの姿にめちゃめちゃ勇気付けられる物語です。こんなカッコイイ人たちが居たことを知るきっかけになったんだし、邦題の問題でネットをザワつかせた経緯も、今思えば結果オーライで良かったのかもしれません笑。
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