見出し画像

複数の企業で働くとモノづくりの視点が増えて面白い

こんにちは、RD LINKの三浦です。
今回はRD LINKで実際にご活躍頂いているエキスパートをご紹介します。

RD LINKのエキスパートには、企業に所属しながら複業されている方、個人事業主として活動されている方、ライフワークとして自分のペースで働いている方など、バックグラウンドは様々です。

今回ご紹介する堀さんは、老舗割烹である菊乃井の常務として経営に携わりながら、食品メーカーなど多数の企業の顧問として商品開発や開発者の育成に関わられています。複数の企業に参画する面白さややりがい、また外部人材として働くうえで気を付けていることなどをお伺いしました。

【RDエキスパート:堀知佐子さん】

【プロフィール】
株式会社菊の井常務。
管理栄養士、調理師、抗加齢医学会正会員、食生活アドバイザー。
京都調理師専門学校にて教鞭をとった後、1999年に株式会社菊の井中食事業部設立。2000年に有限会社コウズホーリーを設立し、食品会社や飲食店、地方自治体の地方活性化を目指したメニューアドバイスや食生活全般における指導などを行う。2008年白金高輪にアンチエイジングをテーマにしたレストラン「リール」を開業(2015年に千駄ヶ谷にて「ル・リール」としてリニューアルオープン)。
調理力のある管理栄養士育成機関、調理指導師協会を発足し、後進の育成も図っている。大手食品メーカーや飲食店など顧問多数。RD LINKからは、食品メーカーの健康とおいしさを兼ね備えたおやつ開発のプロジェクトに携わっている。
【著書】
『和食の常識Q&A百科』(丸善出版)
『毎日おいしいアンチエイジングクッキング(講談社)
『子どもと作る和のおかず』『からだに効くおかず』など多数

複数企業と仕事をすると、全く異なるモノづくりの視点が見える

堀様①

-現在RD LINK経由でもプロジェクトに参画いただいていますが、何社ほどの企業様と契約されているのでしょうか

堀さん(以下堀):大手や中小企業、飲食店など、約10社と契約しています。

-各社との打ち合わせの頻度など、具体的にどのようなスケジュールなのでしょうか

堀:定例で週1回や月1回の打合せをする企業様もあれば、メニュー会議と落とし込みで毎月2回の打ち合わせをする企業様もあります。RD LINKさん経由の企業様は、先方の試作期間があるので2ヶ月に1回ですよね。メニュー変更などのタイミングで不定期に呼ばれる企業様もあります。それらを自分のスケジュールに落とし込んで、管理調整しながら働いています。

-複数企業と関わる面白さややりがいはありますか?それはどんなところで感じますか

堀:複数企業との関わりでは得るものがとても多く、自分の幅も広がるので、やはり面白いですよね。各企業様、考え方だけでなく得手不得手も異なるので、全く違う視点でのモノづくりが見えます。外部から指導をしにいく立場でありながら、実際は倍以上のことをもらって帰ってきて、逆に私の方が勉強になることが多いんです。

例えば、企業側が自社の製造ラインでは対応できないということがあれば、その作業を省いて工夫して良い商品を作らなければいけません。各社に関わり話をすればするだけ、わからないことがわかってきます。そうやって、自分の中で咀嚼して完成度の高いものを作れる要素をもらえるので面白いですよ。

-様々な企業様と関わられる中で、苦労する点や大変なところはありますか

堀:あまり無いですね。基本的には商品開発や商品チェックなど、モノづくりに関する「自分が好きなこと」なので、苦労とか大変という感覚はありません。

-好きな分野を仕事にするのはなかなか難しいと思うのですが、好きを仕事にするために取り組んでいることがあれば是非教えてください

堀:私の年齢になると、技術よりも新しい料理のコーディネートや組み合わせ、表現などを覚えていかなければいけないと思っています。

料理は、技術的にはTT(温度(Temperature)と時間(Time))管理で、ほとんどのことはできます。脱水や保水、乾燥などの基本的なことが科学的な見地から分かると、実は食品メーカーの商品開発は技術面ではさほど難しいものではありません。それよりも料理を作る感覚的なものの方が感性に委ねられるので難易度が高いです。

自分が美味しいと思う料理を出すのは家のご飯なので、自身の料理感や味覚を俯瞰してお客様のことを考えて作る視点を持つことを常に意識していますし、開発者にもそのように指導しています。

外部人材として気を付けるべきは「お客様が誰かを間違えない」こと

画像2

-社員としてではなく、外部から参画する立場として気を付けていることや心がけている点はありますか?

堀:外部から参画する立場として一番良くないのは、「クライアントが自分に求めていることや期待していることを間違えて、違う答えを出して進んでしまうこと」だと思っています。

大事なのは「お客様は誰か」ということです。例えば、私が顧問をしているコンビニチェーンの場合、企業にとっての最終的なお客様は店舗で商品を購入される方です。でも、私が顧問として先方から依頼されているのは「商品開発者の育成」なんです。

そのため、ヒット商品を作ることよりも、開発者がきちんとした商品開発ができるようになるための技量や考え方を教えることが、クライアントであるコンビニチェーンが私に期待している役割であり、私の仕事です。そこを間違えないようにしないといけません。

クライアントとは最初に「何を私に期待してお願いされたのか」というところを徹底的にすり合わせてリクエストを明確にした上で、「これはできます」「これは私の力ではなく社員が育たないとできないことです」「これはトレンドから乖離しているから、こうしたほうが良いと思います」ということをしっかりと伝えるようにしていますね。

-リクエストを明確にするとなると、企業側の情報をきちんとヒアリングすることが必要になると思いますが、外部人材の活用では秘密保持の点を不安視される企業様も多くあります。その点はどのようにお考えですか。

秘密保持については社会人のマナーというかルールとして当たり前のことで、企業の背任にあたるようなことはしないですよね。そのルールが守れない人には次の契約更新はありませんし活動もできなくなります。


個人として自立した働き方をしたいと思うのであれば、秘密保持の重大さを十分に理解・認識した上で仕事をしなければいけないと思います。企業様との契約は最終的には信頼関係の上で成り立っていると思います。

「できないこと」が見つかるとすごく良い。

-堀さんはご自身でレストラン経営もされていますが、レストランの料理人というのは自分の信じる味を提供したいというイメージがあります。食品メーカーの商品開発は量産化を見据えた開発をする必要があるので、思考や取り組み方が真逆なのかなと感じたのですが、これまでにメーカーにアドバイスをするにあたり苦労しませんでしたか

堀:苦労はありませんが、段階は踏んできました。私が普通の料理人から工業的にモノを作るという発想になれたのは、色々なメーカーさんで指導させていただきながら、それ以上のものを教えてもらってきた経験の蓄積があります。企業様のアドバイザーをしながら勉強をしていくというイメージです。

最初に顧問として参画した企業での話ですが、先方が私に期待していたのは私の普通のお惣菜、普通の常備菜のベンチマークを作ってほしいということでした。そのため、私は自分の仕事として好きな味を自由に作っていましたが、先方の社員の方々がその味を「ラインで作る」「バッチで作る」という会話をされていたんですよね。

そこで、自分の仕事が終わった後に先方の製造ラインや冷蔵庫を見せていただき、そこで食品工業的な総菜の作り方というものを色々知ることができました。自分が期待されたことに対してはきちんと仕事をしながら、次に自分に期待されそうなことをその場で勉強させてもらいましたね。

-なるほど。できるものを対応しながら新しいことを学んでいく、この繰り返しで自分のスキル幅が広がっていくのですね。会社も設立されて20年ですが、大変な時期はありましたか?

大変な時期はなかったですね(笑)。何があっても大変と思わないんですよ。

私にとって、できないことが見つかるということはすごく良いことなんです。できないことが見つかった方が、それができるようになるから良いなとしか思わない。すごく大変なことがあっても永遠に大変なわけではないですし、その後の達成感に繋がったり、仮に達成できなかったとしても、次に同じ失敗をしないためにはどうしたら良いかを考えるだけです。

私全く悩みが無いんですよ(笑)悩みというのは取り越し苦労がほとんどですし、自分の中の悩みは基本的には勘違いも多い。相手に対しての悩みというのは、私が悩んでも無駄だから悩みません。

プライベートでも仕事でも、できなかったらできるようになればいいだけで、そのためには本を読むのが良いのか、人と会うのが良いのか、教わりに行くのが良いのか、ということしかないですよね。自分のウィークポイントやボトルネックがあれば、なるべく早く解消するしかありません。

オンライン社会ではエージェントの存在はありがたい

画像4

-エージェントを活用して仕事をされるというのは初めてだと思いますが、エージェントを介する良さや逆にネックはありますか

堀:私の場合は直接お会いして自分で何でも対応するタイプですが、クライントと直接会えない状況の時は、RD LINKさんのようなエージェントが間に入っていただいたほうが良いと感じています。

オンラインで話す場合は、どうしても直接会う場合よりも誤解が発生しやすくなります。会って話している場合は、誤解が発生してもマイナスからゼロに戻して仕切り直せばよいのですが、画面越しではなかなか難しいですよね。RD LINKさんが間を繋いでくれて、きちんと議事進行をしてもらえることで助かっていますよ。

-直接会うスタイルが基本とのことですが、このコロナ禍で堀さんの働き方は変わりましたか

堀:私の中では全く変わっていません。基本的には会って話すのが一番伝わりやすいと思いますし、私の場合は一緒に料理を作ったり食べていただいたり、また指導をする立場なので、実際に行かないとできない部分もあります。

クライアントにも直接会って会議を成立させることに慣れている人が多いので、ZOOMのようなオンラインの会話だと伝えたいことが半減してしまいます。そのため私の場合は直接出向くことが多いですが、クライアント企業の要望でオンライン会議をすることももちろんありますし、特に抵抗も不便も感じません。臨機応変にという感じですね。

毎朝のお祈りは「今日も間違えませんように。」

画像4

-今後やってみたいことは何かありますか

堀:何でもやってみたいですが、出家してみたい(笑)俗世からいなくなろうかなと思っています。本当ですよ(笑)

-出家ですか!?(笑)

堀:私は学校の講師をしたり菊乃井で若手従業員と接したりと、どこでも母親のような、学校の先生のようなものなんです。菊乃井での私の仕事は、若手従業員が枠から外れて間違った方向にいかないようにすることです。

在籍している人が、業績だけではなく社会人として人としてどうあるべきか「間違わない考え方」を持ってもらえるように教えていくことが好きで、そこにやりがいも感じています。彼らが間違わずに今後料理人の道を進んでいくためにも、私自身が間違った教育をしないようにしたい。「間違えない力」を付けたいですね。

そのためには私の心が折れてしまったり、感情に惑わされたりすることが一番良くないことです。毎朝お線香をあげながら「今日も私が間違えませんように」とお願いしてから出ていきます。

-堀さんのもとにいる学生さんや従業員の方は幸せですね。本日はありがとうございました!

▽▼堀さんのお店『ル・リール』はコチラ▼▽


RD LINKでは引き続きエキスパートの方にインタビューを行い、それぞれの働き方・生き方をご紹介していきたいと思います。

▽▼\堀さん登壇/▼▽

▽▼エキスパート登録にご興味のある方はコチラ▼▽
https://rdlink.jp/

▽▼法人の方はコチラ▼▽
https://rdlink.jp/biz


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?