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さよなら、オフィス・店舗!賃貸物件の解約届を出したら、やるべきこととは?

賃貸物件(店舗、オフィス)を解約するとき、テナントはビル側に対していくつかの手続きや工事を行わなければなりません。しかし、これらの手続きや工事には期限があり、遅れるとビル側から損害金を請求されたり、契約違反になったりします。そこで、このコラムでは、賃貸物件の解約届を出したら、ビル側に対してやるべきことについて説明します。やるべきことは以下の4つです。

ビル側に対してやるべき4つのこと

①原状回復工事の見積もりがいつ出るか確認する

賃貸オフィスを解約するとき、テナントは原状回復工事を行わなければなりません。原状回復工事とは、テナントが入居時に受け取った状態に戻すための工事です。例えば、壁や床の傷を直したり、設備や家具を撤去したりすることが含まれます。原状回復工事の費用はテナントが負担することになっていますが、その見積もりはビル側が出してくれます。しかし、ビル側は見積もりを出すのに時間がかかったり、高額な見積もりを出します。そのため、テナントは解約届を出したらすぐに、ビル側に原状回復工事の見積もりがいつ出るか確認する必要があります。見積もりが遅い場合は、早めに催促しましょう。

②原状回復工事の発注期限はいつか確認する

原状回復工事の見積もりが出たら、テナントはその内容を理解して適正価格を把握する必要があります。納得できない場合は、専門家に査定をお願いし、エビデンスを作成してください。エビデンスが原状回復の「ものさし」となります。

③工事はいつから開始か確認する(工期厳守)

原状回復工事の業者を決めて契約したら、次にテナントが知っておくべきことは、工事はいつから開始されるかです。工事開始日は業者とビル側の都合によって決まりますが、テナントもその日程に合わせて準備しなければなりません。例えば、オフィス内の荷物や書類を整理したり、移転先の手配をしたりすることが必要です。工事開始日が遅れる場合は、テナントはビル側に連絡して、解約日や退去日を延期してもらうことができます。しかし、その場合も遅延損害金が発生します。そのため、テナントは工事開始日を確認して、早めに準備を始めましょう。

④テナントがいつまでに室内を空にしなければならないか確認する(明渡し期日の確認)

最後にテナントが知っておくべきことは、テナントがいつまでに室内を空にしなければならないかです。これは退去日とも呼ばれます。退去日は契約書に記載されている場合もありますが、工事の進捗状況やビル側の都合によって変わる場合もあります。退去日を過ぎても室内に荷物や書類が残っていると、ビル側から残置物処理費や損害金を請求されたり、契約違反になったりします。そのため、テナントは退去日を確認して、その日までに室内を空にするようにしましょう。

以上、賃貸オフィスの解約届を出したら、ビル側に対してやるべきことについて説明しました。これらのことを忘れずに行うことで、テナントはビル側とのトラブルを避けることができます。しかし、もしやらなかった場合はどうなるでしょうか?以下にそのリスクを詳しくまとめておきます。

・原状回復工事の見積もりが遅れたり高額だったりする場合

テナントは見積もりの内容に不服申し立てをすることができますが、それには時間も費用もかかります。また、原状回復費用が敷金返還額に大きく影響します。

・原状回復工事の発注期限や工事開始日を過ぎる場合

テナントはビル側から罰金や損害賠償を請求されます。それは、明渡し遅延損害金の対象となります。(家賃の二倍相当額)

・退去日を過ぎても室内を空にしない場合

明確な明渡し遅延となり、通常家賃の倍額請求の対象となります。

賃貸物件の解約は大変な作業ですが、計画的に進めることでスムーズに移転することができます。しかし、計画的に進めないと大きなリスクを背負うことになります。

以上のことから、賃貸物件を解約するときには、ビル側と詳細な打ち合わせのできる専門家を活用することをおすすめします。

執筆者 萩原 大巳の One point advice

「原状回復が高い」「敷金返還がない」「明渡し遅延損害金を請求された」。これらは全て、法理では「明渡しに伴う敷金返還事件」となります。法人の賃貸物件については、特約により原状回復ガイドラインの対象外となります。賃貸契約書や特約、工事区分、原状確定図書、原状変更図書をチェックし、現地調査を行い、原状回復義務の内容を「ミエルカ」することが重要です。改正民法を基準として、原状回復義務を文字と図書と見積で明確にしてください。これが全ての物差しとなります。

専門家に依頼して「B工事・原状回復適正査定」を依頼することをおすすめします。
裁判でも調停でも原状回復工事費を争うことは、敷金返還額を争うことと同義語です。弁護士は法律の専門家ですが原状回復の見積もりも工事項目もわかりません。宅建、建築、設備、ビル管の法律まで理解している専門家に査定を依頼して正当な敷金返還額を勝ち取って下さい。

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敷金は貴方の大切な財産です。

最後まで読んで頂きありがとうございました。貴方のビジネスの発展を陰ながら祈願いたしております。

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