36 自死と引き寄せの法則

いつのまにか、誰もが知っている言葉になった「引き寄せの法則」。私も三女が生まれた2012年ごろから、有名な「ザ・シークレット」やナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」などをむさぼるように読み、引き寄せの法則にハマった一人です。

そして芋づる式にエスターヒックス夫妻の「引き寄せの法則」シリーズや、バシャールや「神との対話」のシリーズなどの本で見えない世界に興味を持ったことで、スピリチュアル、量子力学や心理学、前世療法、胎内記憶などを勉強して、長女が亡くなる２年前からは、胎教の講師としてスピリチュアルを科学的に伝える仕事をするようになっていました。

ですから引き寄せの法則のことは、信じているのはもちろん、理論も理解していたつもりでしたし、実際にいくつもの引き寄せ体験をしていましたから、願いを放ったものは、いつか叶うのだという確信がありました。そして自分とおなじ波長のものが引き寄せられてくるのだということも理解していたので、ネガティブな体験も、自分を振り返るチャンスにしていました。

でも娘が亡くなった時、今まで信じていた引き寄せの法則を否定したくなりました。間違っても娘が死ぬことなど望んでもいません。初めはどうしてこんな現実を私は体験しているのか理解できませんでした。私は楽しいことをして生きているはずでしたし、人様のお役にたつことをして気持ちよく生きているとおもっていたからです。自分が撒いた種は幸せの種だけなはずであり、刈り取るものは幸せだけだと思っていたのです。

でも絶望の底に突き落とされて、静かなその地球の底辺で私は少しずつ気づいていきました。自分が寂しかったこと、我慢していたこと、無理をしていたこと、自分らしく生きていなかったこと、愛を求めていた自分を無視していたこと・・・・。私はすでに、娘を亡くすのと同じくらい辛い思いを自分自身に強いていたことに気づいていきました。自分の撒いた種を認識したのです。

そしてこの気づいた段階で、私はもう同じようなことを引き寄せない自分になろうと決心しました。ほかにも２人娘がいるのです。同じ目に会う訳にはいきません。私は自分に悲しいことを強いるのをやめていきました。すると、この娘の自死の意味が急に変わっていきました。私を幸せに生きるように決心させるきっかけの出来事に変わったのです。それは、引き寄せているものの意味も変化したということです。

私自身が変わったことで、引き寄せているものの意味が変わったのです。悲しいことには変わりありませんが、人を苦しめる忌むべきものから愛を与える尊いものへと変わったのです。それは私が望んでいたもう一つのものを思い出させました。私のもう一つの望みとは、本当の自分とは何者なのか、愛や平和や幸せとは何をさしていうのか、この世の真実を知りたいという思いでした。

そして私は今日までに、絶望のそこで少しずつ自分を大切にしながら生きていく中で、このもう一つの望みを叶えてきたのです。今私はそれらの答えを知っています。私なりの答えですが、娘の死から学ぶことにより、私の真実と言えるものを知りました。娘の死という出来事の中には、私の痛みを表現する愛と同時に、私にとっての真実をも含んでいたのです。

では、私の望みを叶えるために娘は犠牲になって死んだのでしょうか。私自身、自分がもっと成熟していたら、娘は死なないで済んだかもしれないと自分を責めそうになったことがあります。でも今の私は娘は犠牲になったのではなく、協力してくれたのだと思っています。もしくは犠牲になっても救ってあげたいと思うくらい愛が溢れていたのだと思うことにしています。

それは私の犠牲になった可哀想な子と思われるのと、私を救った救世主だと思うのとでは、どちらが娘が喜ぶかと考えた結果です。娘のために今私にできることは、娘を愛することだけです。娘の喜ぶ姿が想像できるのは、後者ですから、私が自分を責めている場合ではないのです。自分を責めることはエゴの仕業でしかなく、誰のためにもならないのです。

ですから私は娘の自死という出来事を自分の人生に引き寄せましたが、その自分を責めるどころか、愛されていると思っています。自分を責めたら娘が犠牲者となるとわかったら、私は自分を責めないことは娘はわかっていたと思うからです。強制的に私は自責や自己否定ができない状況に導かれたのです。これが愛でなくて何でしょうか。結局私は愛を引き寄せたということになるのです。

そしてこのことを理解した時、私は自分が愛そのものなのだということを知ったのです。同じ波長のものでなければ、引き合わないのですから、私が愛を受け取ったのなら、私も愛だということになります。そしてなにより、こんなに愛してくれる娘たちが私の元に生まれたということも、私が愛そのものなのだという証拠です。

そしてこれを読んでいる方も、私に引き寄せられているということは、愛の存在だということです。だから私はいつも愛の存在に囲まれて幸せです。こんな真実を教えてくれた娘の死、そしてあなたの大切な人の死は、とてつもなく大きな愛によってもたらされた出来事なのだと思います。

自殺は悲しいことですし、悪い印象がありますから、引き寄せたなんて誰も思いたくないですよね。でも、悲しくて悪いことを引き寄せたのではないと私は思っています。なぜなら私たちは皆愛の存在だからです。でも愛の存在だと気づいていないから、ちょっと愛だとは気づきにくい衝撃的な愛を引き寄せただけなのだと思います。引き寄せの法則は、同じものを引き寄せる法則ですからね。

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