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賽を振るは、神か人か -12-

「今の彼女は人間で言うなればやる事が多すぎて判断力が低下している状態だ」
「つまり!?」

「再起動させて判断力を取り戻させ、説得する。やれるな?」
「おうさ!クリス、アシスト頼む!」
「あまり気は進みませんが、了解しました」

ドローンの嵐を掻い潜りながらなすべき作戦を共有。こちらの意図するところをくみ取った6・Dはクリスの補助を受けて重機関銃で白い機蜂を叩き落し、後続に飛来するドローンをその背の六枚羽根外殻から展開した円筒型マイクロミサイルで迎撃。

糸を引くように噴射煙を伴い放たれた10発を超えるマイクロミサイルは密集するドローン隊に突き刺さり、ド派手に球状爆発を起こして後続ごと巻き添えに吹き飛ばす。

「疾ッ!」

俺は愛機の腰に佩いた大太刀に手を添え、背部翼型波導制御ユニットを吹かして突貫。光の尾を伴いながら爆炎を突っ切り、なおも無数のドローンを伴った花嫁衣装の女王蜂へと斬りかかる。

本体に達するよりも早く不可視の慣性制御によって浮遊させられた歩行ドローンが空中ジグソーパズルめいて防御壁を形成。三閃三合の斬撃によって灰のドローン密集壁を切り裂くが、断裂を別のドローンが埋めていく。

「単独で活動し続けた理由はマスターの不在か」
「その通りです。現在の法規定ではAIの独立活動は認められておりません」
「健気な事だ、敬意に値するな!」

宙に浮いた歩行ドローン群はまるで巨人の手の様に再形成され、俺の駆るイクサ・プロウラへ向かって懇願するかの如く振りまわされては合掌する。

背面棒高跳びのソレでもって合掌によるプレスをすれすれで回避すれば、後方から迫りくる蜂ドローンを両腕でそれぞれつかみ取って捕獲。ドローンによる周囲旋回射撃を捕獲機で防ぎながらセレンからのターゲットを引き付け続ける。

「R・V!捕ったぞ!」

不意に6・Dからの通信。そして動きが止まるドローン群。停滞浮遊したドローンをかき分けながらセレン本体を確認すると、ブラック・シックスは背後にとりつき拘束していた。

しかし完全には掌握には至っていないのか、まだわずかにコントロール下にあるドローンが食らいつくブラック・シックスへと銃撃の猛火を加える。稲妻の如く軌跡を描いて抵抗ドローンを斬り落とすが、なおも銃撃がブラック・シックスへと向けられた。

「離してください……離して……!」
「やなこった!」
「どうして、そこまで!」
「気にくわないんだよ!アンタの置かれた状況がよ!」
「コントロール、掌握。対象AI『セレン』をリブートします」

クリスの宣言と共に無理なマルチタスクを続けていた花嫁がガクンとうなだれて動きを止める。これで落ち着きを取りもどしてくれるかは賭けだが、俺達は賭けると既に決めたのだ。

だが、直後に地下都市内をけたたましいアラート音とレッドサイレンが埋め尽くす。そして行われる告知。

『管理AIのダウンを検知、同時に二体の侵略存在を確認しました。これより本艦は自己防衛プログラムを発動します』

本艦、本艦だと?俺の疑問に答えるようにコンソールの高度計の数値が上昇していく。まったく、まだ仕込みがあるとかカネモチの考えることは本当にわからんな!

【賽を振るは、神か人か -12-:終わり:-13-へ続く

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