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ヒトよ、ネコと和解せよ -6-

「なーう」
「にゃーあ」
「ふにゃぁ」

 俺とM・Nが首根っこつかんで吊り下げたキジネコとサバネコに向かって、地面に座ったFuちゃんが詰問する。なお、人間の方は案の定正気ではなかったらしく、一連の行為については一切記憶がなかったと証言した。

 先程の行動からするに、恐らく主導権を握っているのはこのネコ達の方だと判断した俺達は今、Fuちゃんにこの二匹のネコを尋問してもらっている訳だが……なんともシュールな光景である。

「果たして俺達は一体何をやっているんだろうか……」
「まあまあ、Fuちゃんならちゃんと聞きだしてくれるって」

 あるじならではの厚い信頼に俺は黙って頷く。ネコが主導する事件なら解決のカギになるのはFuちゃんである。俺達の方がサポートに回るほかない。

「なーお」
「終わった?」

 M・Nの質問に首を縦に振るFuちゃん。それにしても実に出来るネコちゃんだ。Fuちゃんを信じて二匹を解放すると一目散に俺達の前から、空き地から逃げていく。

「ふにゃー」

 一声鳴いたFuちゃんが、M・Nの差し出したタブレットのマップを使って指し示したのは、ある高層オフィスビルが存在する地点だった。

「ここに黒幕が?」
「なーう」
「よし、行ってみようか」

 ごく普通のネコが茂みに飛び込むのと遜色ない所作でM・Nのアフロに飛び込むFuちゃん。本当に一体どうなっているんだろうか。

ーーーーー

「なんだこりゃ」
「ネコメット?」

 照明が落ちた、外部より中が見通せない造りのオフィスビルエントランスより堂々と侵入した俺達を出迎えたのは、色とりどりのネコが頭に張り付いた人間たちだった。

 ネコちゃんを飼っている人間なら一度はやりたくなる、ネコちゃんを頭にかぶって帽子にするアレだ。

 巨大観葉植物の植木鉢の影から、恐らくは見張りと思しきネコ憑き人間の様子を探る。人間たちはおおよそ10名ほどで年齢層などには共通点はなく、ただ頭にネコがくっついていることだけが共通していた。

 人間たちはやはりゾンビめいた死んだ目とよたついたおぼつかない挙動で周囲を徘徊している。とりついているネコはと言うととりつかれている人間よりもよほどはっきりとした知性の光を瞳に宿しており、主従関係がどちらにあるのかは一目でわかった。

「ネコなのに寄生エイリアンめいてるな」
「にゃーう」
「ん?なんだいFuちゃん」

 既に定番となったFuちゃんとのタブレットコミュニケーションによると、Fuちゃんの見立ては以下の通りである。

『かれら あやつられてる ねこも ひとも なぐれば しょうきにもどる』

「誘拐団だけでなく、こいつらもか」
「オーケーFuちゃん、穏便にやるよ」
「穏便に、な」

 見た所ネコも人も武装などは保持しておらず、防具の類も身に着けていないため殺傷性の高い武器は使用できない。ついでに正気に返す前に逃げられると上層階にいる黒幕に察知される可能性がある。ゆえに手早く片付ける必要があった。

「俺がメインでアイツらの注意を引き付ける。その隙に二人は分担して連中を正気に返してくれ」
「りょーかい!」
「にゃーご!」

【ヒトよ、ネコと和解せよ -6-終わり:-7-へと続く

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