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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -4-

「俺は、そうだな……G、もう一人の青二才がL、残りの歳食ってる方はDって呼んでくれ」

深海ギリースーツめいた潜伏部隊の代表は自分達の事をそう名乗った。符丁か、だがそもそもこちらに交戦する意志もメリットもないので相手の事を深堀する意味は薄い。

「オーケー、G、俺達が知りたいのはこの海域に起こっている異変の事だ」
「エーッ!それって僕達と同じ目的じゃないですかやだー……だから僕はもう少し様子見ましょうって言ったのにセンパイったら」
「うるせーL。こっちの白クジラのお嬢さんはともかくこっちの黒いヤツはどう見ても悪玉だろうが、最初はライバルで中盤から終盤位で味方になるタイプの」

実に身もふたもない印象評価だ。やけに印象の内容が詳細なのも気になるが今回の話には関係ないので捨て置く。

「同じ目的か」
「そうだ、俺達はこの海域が急速に死海と化している原因を探るべく派遣された。クライアントの詳細は守秘義務契約のため伏せさせていただきたいが、こちらから提供できる情報は出そう」
「かまわない、最終的な目的が同じならそちらの身元までは踏み込まない事にしよう」
「感謝する」

Gを遮って話に割って入ってきたDの提案に同意して返す。

「M・Hもそれでいいか?」
「ええ、どう見ても乱獲密漁するには不向きすぎる装備だし、さっきの亡霊もどきとも関係なさそうだから」
「いやーわかってくれてアリガタイぜ!」

調子よく返すGにLとDの二人からため息がこぼれたのが通信を通して通じた。この調子では相当苦労させられているのだろう。

「しかし、亡霊もどきか……アレだろ、こうぬべーっとのびた影みたいなの。アンタらも遭遇したのか」
「その口ぶりだとそちらも同じのに遭遇したのか」
「ああ、画像データ交換しようぜ」
「なら私が送るわ、高解像度のがある」

すぐにGから交戦対象のデータがコンソールへと送信される。フリックで展開したその画像が示す存在はまぎれもなくあのブラック海坊主であった。

「貴方達も一体撃破しているのね」
「なんとかな……あなた方もか?」
「ああ、しかしそうなるとアレは複数存在する事になる。三体以上いる事も考慮した方がいい」
「うへぇ……こっちは一体倒すだけでも相当苦労したのにな」
「センパイが雑に立ち回らなかったらもっと楽でしたからね」

Gのげんなりした声。実際あの伸縮自在の物体に水中で襲い掛かられたら撃退するのは難しい。水中戦に特化していない並みの機体ではなぎ倒されて終りだろう。

「すまない、こちらから出せる情報はこのくらいだ。如何せん来たばかりでな」
「いいや、あの化物が我々の幻覚って訳ではない事がわかったから充分だとも。このデータも受け取ってほしい」

そういったDが送ってきたのは海域のデータ、円形に魚群の減少度が示されその中心は特定のポイントを指定している。

「これは、異変の中心地か?」
「その通りだ。我々も其処に向かうつもりだったが……一度帰投させてもらう」
「了解した」

出せるデータを提示し終えると三機揃って深海偽装ギリースーツ兵器達はゆっくりと浮上していく。

「良かったの?帰らせちゃって」
「ああ、恐らくは機体に相当ダメージがかさんでいたはずだ。一度帰ってもらった方がいい」
「そうじゃなくて、信用していいのかってこと」
「そこか。しかしワナを張るためにどこにいつ降下するか定かじゃない俺達を待ち構えるよりは、同じ目的でたまたまニアミスしてしまったという方がまだ現実的だな。それに」
「それに?」
「ワナならワナで踏み抜いて手がかりにしてしまえばいい」
「あなたって、結構パワープレイでごり押しするわね」
「まーな」

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -4-:終わり:-5-へと続く

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