全裸の呼び声 -59- #ppslgr
熱い露出誇示咆哮と共に闇の露出者はダブルバイセップスを、光の露出者はサイドチェストを決める!一段と放出される露出力が高まり、一帯を取り巻く熱情はまるで核融合炉めいた熱量を放出していく。
「さてここで問題だ」
「なに?」
「このまま二人のボルテージが高まっていったとして、今発生しているエネルギーが解放されたらどうなるだろうなぁ」
「まだポージング合戦の序盤も序盤でこの熱量、このまま行けば登戸一帯は露出力の高まりによって消し飛びかねないね」
「うそぉっ!露出で!?」
「そうなった場合、俺たちも巻き添え食ってその場でゲームオーバー、だな」
「うそでしょ」
へなへなとその場にへたり込む祭神。無理もない、露出男結神輿から開放された次に、全裸露出メルトダウンの危機となれば、常人の良識の範囲でなら思考を放棄したくなっても致し方ないだろう。もっとも目の前の露出力の高まりは今なお上昇し続けており、放っておけばあと十数分も立たずに臨界に達するであろう。もしくは……
「ヌゥー……ッ」
「ムッハッハッハッハ!どうした!ラオよ!この程度が貴様の限界というわけではなかろう!」
「なんのこれしき、プロポーションッ!!」
ラオはポージングをサイドトライセップスに移行し、その仕上がった上腕三頭筋からの雄大なる山の頂きのごとき肉体を見せつける!だが、徐々に押され始めたのは誰の目にも明らかである。両者の露出力のせめぎあいに巻き込まれた小石が、大豆圧搾システムに吸い込まれるようにくだけて消えた。
「まずいぞ、押され始めている」
「なんとかならないんですか……?」
「さっきからずっと考えているとも、だが手持ちのカードではどう組み合わせても勝ち筋が見えん……!」
仮に、万全の状態の半分でも戦闘力を保っていれば、破れかぶれで突破する手段もあったかもしれない。だが、丘に打ち上げられたマグロも同然の死に体では、ノコノコ出ていったところで光と闇の露出にすり潰されて消滅するのが関の山だ。最悪の犬死にである。
「万事休すか……!」
おお、彼らはもはや高まり続ける全裸露出闘気の軋轢に巻き込まれ、家電調理器に巻き込まれたイワシめいたツミレになるしかないのだろうか?そうこうしている間に、全裸露出闘気の奔流は畳十枚、九枚、八枚……と処刑ギロチンのように彼らに迫り続けている。
(何でもいい、相手のポージングを崩せればあるいは)
露出行為に殺される瀬戸際にあって、レイヴンの思考は焦燥感とせめぎあいながら生き残る道筋を探していた。眼の前の戦いはあくまで、全裸露出と肉体誇示のためのポージングで行われている。ならば、ポージングを妨げることができれば、光と闇のバランスが崩れて、こちらが一方的に打ち勝つこともできるかもしれない。
(問題は、届ける手段がないってことだ)
眼の前の露出奔流はもはや地上の太陽同然のエネルギーを放っている。ここにヤクザ・チャカ程度の銃弾を放ったところで、すぐに燃え尽きてしまうだろう。もっとも銃は先程のトラブルで撃ちきっていたが。
「教授、なんでもいい!ヤツの力を弱める手段はないか!?」
レイヴンの言葉に、アノートは厳かに顔を上げて答えた。
「大喜利だ」
【全裸の呼び声 -59-:終わり|-60-へと続く|第一話リンク|マガジンリンク】
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