見出し画像

ヒトよ、ネコと和解せよ -2-

「安心せい、命に別状はないからの」

 J・Qの見立てに安堵する俺とM・N。
中世北欧の医師めいた古めかしい洋装に現代風アレンジを加えたかの様な服装の彼は、俺達の求めにすぐに応えて先ほど目の前で昏倒した黒猫を診療してくれたのだ。

「しかし、何だって猫がわざわざ人間だらけのNoteにやってきたんだか」

 俺の見た所、毛艶の質や首輪の有無から、この若い黒猫は恐らく野良猫だと判断できる。M・Nの方を見れば、彼も首を横に振り、合わせてアフロも左右に揺れる。Fuちゃんがはみ出す様子はないが一体どうなっているのだろうか。

 人間が理解できるような理由が思い当たらない中、当のFuちゃんが再びアフロの中から飛び出してくると、テーブルの上にて籠に丸くなっている黒猫の額を舐めだす。それに応じて鳴き出す黒猫。

「Fuちゃんの知り合いか?」

 問いかける俺に、Fuちゃんはこちらを向いて一鳴き。どうもそうらしいが、残念ながら俺には動物と会話できる様なスキルはない。どうした物かと考えていると、M・Nの方からFuちゃんにタブレットを差し出した。なに?

「はい、Fuちゃん通訳頼むよ」

 恐らくは怪訝な顔をしている俺と、興味深そうに見守っているJ・Qの前でFuちゃんはてしてしと肉球を駆使してタブレットに文章を書き綴っていく。当然、無茶苦茶な内容ではなくちゃんと意味の通じる文だ。

『かれ あきちから にげてきた しらないひとたちに さらわれそうに なったって ほかのねこ みんな さらわれた』

 Fuちゃんの翻訳に目を見合わせる俺達三人。猫さらいだと?倒れたのは全力でここまで駆けてきたが故か。

「この辺りの野良猫は地域猫として行政が保護しているはずだが……」
「うん、だから保健所がらみではないね」
「フムン、匂うぞ。陰謀の匂いというヤツが」

 今時きな臭い事件が頻発するのは今に始まった事ではないが、それを考慮しても奇妙に感じられる。ネコの誘拐事件では、警察は積極的には動かないだろう。ならば……

「R・V、せっかくだし俺達で何とかしない?」
「俺もそう考えていた。警察任せじゃいつ動くかわかったもんじゃないしな」

 即断した俺を見てはまたFuちゃんは一声鳴くとM・Nのアフロに飛び込んで出発体勢にうつる。正直間近で見ても不可解な造りである。本当に一体どうなっているのやら。

「ヨシ、ヨシ。行ってこい行ってこい。このクロ坊はワシが見ておくからの」
「ああ、頼む」

 J・Qが指先で黒猫のアゴをさすってやると、ゴロゴロとのどを鳴らしている。どうやら早々になついたらしい。一方で俺も撫でてやろうとするとふいっと頭を後ろに引かれてしまった。どうも動物の類には避けられてしまう。

「きらわれたね」
「カッカ!R・Vはネコにはなつかれないクチか!」
「むう……実際問題、昔からその通りなんだが」

 助けたネコすらなつかないという有様なので顔にこそ出さないものの少々悲しくなってくるという物だ。しかし例え懐かれなくてもネコを標的にした犯罪など、見てみぬふりはしないのである。

【ヒトよ、ネコと和解せよ -2-終わり:-3-へと続く

第一話はこちらからどうぞ。

まとめマガジンはこちらからどうぞ

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #パルプ小説 #ロボット小説 #スーパーロボット #不幸な事件 #パルプスリンガー #れいのきかく #パルプスリンガーパルプ化計画 #人が死ぬ#猫 #ネコ #毎日投稿 #毎日小説 #毎日更新 #毎日Note #連載小説

ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL