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ヒトよ、ネコと和解せよ -3-

「あては、ある」

 ”Note”の如何にも商業施設めいた正面玄関から陰謀解決に乗り出した俺は共連れのM・Nに宣言する。彼はネコチャンのあるじだが、ネコ探しのタツジンという訳ではないので別途探す手立てを用意しなければならない。

「どんな?」
「某妖怪〇ンターめいてる胡乱な私立探偵の知り合いがいてな、ネコ探しも良くやるそうだ」
「ふぅん、ウチには縁がないな」

 良いことだ、FuちゃんにとってはM・Nの家が帰る場所なのだろう。それはそれとして、スマホを手にアテに連絡する。

「よう、生きてるか」
「あー……生きてるぜ」
「ネコが集会する場所の情報が欲しい。Noteを中心としてネコの行動範囲に収まる範疇でだ」

 スマホを通して濡れ場らしき声が聞こえる。どうやら仕事中らしい。まあ、こっちの知った事ではないが。

「わーった!わーったから後にしてくれ!」
「あいよ、すぐ頼む」

 プツッ、向こうから通話が切られた後、すぐにマップアプリに猫集会場の地点が書き込まれたデータが届く。データの中身にはネコが消失しているサイン付き。なんだかんだ、仕事は早い男である。

「首尾は?」
「上々。ただ既にヤツが把握しているだけでも大部分の集会場からネコがさらわれている。いそごう」
「りょーかいだ」

 俺達の会話の終わりになーう、とFuちゃんが一鳴き。意気込みを込めた掛け声だろうか、やはり俺にはネコの言葉はわからない。

ーーーーー

 Noteは東京湾に新規に建設された人工島に存在する。人工島と言ってもすべての区画が人工物で埋まっている訳ではなく、拡張性を考慮して未だ空き地のままの区画や、建設資材置き場などの人間がさほど立ち入らない場所は幾つも存在する。

 俺達が到着した猫の集会場もまたそのような、人の近寄らない死角めいた資材置き場だ。雑多な建設資材が方々に置かれ、そのあちこちにネコ達が気ままに寝転がっては腹を出している。リラックスしているのだ。

「間に合ったみたいだね」
「ああ、だが俺達が踏み込んでネコ達が逃げたら元も子もない、遠巻きに……待った」

 外側から様子をうかがおうと提案しようとした俺の目に不審な二人組と二匹が映る。ゾンビめいてよろめきながらも向かい側から空き地に向かってくるサラリマン風の男と女子高生風の少女。

 彼らの動きの端々には理性の働きが感じられず、組み合わせとしても妙だ。如何わしいやり取りを目的としているなら特殊な趣味にしても少々場違いだろう。何より彼らの足元にはキジとサバのネコがリードも無しで随伴している。

「ふしゃあーっ!!!」

 如何にも怪しげな一団にFuちゃんはアフロから顔を突き出して威嚇。その鳴き声に空き地にたむろしていた野良ネコ達は一斉に逃げ出す。入れ替わりに空き地に飛び込んで謎の誘拐団へと俺達は対峙した。

「貴様ら、何が目的だ」
「どうみてもまともじゃないよね、君たち」

 正面に立って恫喝する俺達二人に対し、相手の男女はおもむろにスマホをいじりだす。この状況で使うアプリといえばソウルアバターの起動アプリだろうが……実際にその場へと顕現したのは俺の予想を若干裏切る存在だった。

【ヒトよ、ネコと和解せよ -3-終わり:-4-へと続く

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