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ヒトよ、ネコと和解せよ -5-

 金属製の猫科猛獣が巨大なアフロに刀を隙無く構えた男と対峙している姿はいにしえのカートゥーンアニメーションめいて奇矯な光景だったが、それにばかり気を取られている訳にはいかなかった。

 俺を狙うメカマネキネコタンクは装甲を展開しては新たな武装をせり出させるが、その度に武装のもっとも脆弱な部位を狙って射撃、即座にスクラップに変える。

(あの重装甲を貫くには銃弾の威力が足りん……!)

 銃弾は充分に持ち歩いているつもりだったが、それはネコさらいとかいうケチな犯罪者を想定してだ。これほど強力な兵器に対しては完全に弾薬不足かつ威力不足であった。

 いよいよもって残弾が数えるほどになってきた俺に、メカマネキネコタンクの巨体が迫る。大地をえぐり、ステップを重ねて銃撃の火線から身を遠ざけるが、このまま銃弾を撃ち切れば後はさらなる都市の被害を覚悟で俺のソウルアバターを起動するほかない。

「こんな時B・Rなら勁力で銃弾の威力を上げて対処するんだろうが……いや」

 勁力については俺は上手く使えないが、別の手段であの装甲を貫くだけのベクトルを加算すればいい。俺にも出来るやり方でだ。

 一方でM・Nは見事な太刀捌きで恐るべきメカ製のメキシコライオンを相手に近接戦闘を続行していた。二体の影が衝突するほどにサイボーグメキシコライオンの前足が斬り飛ばされて宙を舞うがそのたびに物質転換によって再形成され、再生していく。

「M・N!相手は兵器に乗ってはいるがネコだ!Fuちゃんの威嚇が通じないか!?」
「それだ!Fuちゃんお願い!」

 M・Nの求めに応じ、Fuちゃんはそのふわふわの姿をアフロから突き出して高々とネコ威嚇を決める。

「フーッ……シャーッ!!!」
「!?」

 Fuちゃんの威嚇を受けた瞬間、二体のメカネコ兵器の動きが止まる。その隙をついて刀を上段に構えアフロにめり込ませたM・Nの一閃がサイボーグメキシコライオンの右側の脚を斬り落とした。

「フギャーゴゥ!!?」

 硬直が解けたライオンは即座に反撃に出ようと大地を踏みしめたが、遅い。既に斬撃を受けていた残りの三脚もライオンの体重を支える事が出来ずに胴体が大地へと落下。

 機体ダメージが限界を超えたサイボーグメキシコライオンの姿は泡沫の夢の様に掻き消え、後にはキジ柄のネコがプルプル震えて腹だし降参していた。

 向こうの決着を待たずに俺もまた、空き地の一角を閉ざすビルの壁に向かって駆け出し跳躍。クレーターを穿つほどにコンクリ壁を蹴りつけてメカマネキネコタンクの正面へと飛ぶ。

「そこだ!!」

 俺の全力での三角蹴りの勢いを乗せ、さらにはメカマネキネコタンクの頭部眉間に向かって残りの銃弾を全て叩き込む。

 一発目、眉間の装甲に着弾し、へこませる。二発目、へこんだ眉間に着弾、わずかに装甲を貫く。三発目、食い込んだ二発目の尻を強かに叩くと装甲を貫通、メカマネキネコタンク頭部の内部機構を破壊したのが俺の視覚にも観測された。

「ピガーッ!?!?!?」

 ようやく耐久限界を迎えたメカマネキネコタンクは光の砂城となって瓦解。風に洗われるように溶け消えると後にはサバ柄のネコが腹だし降参していた。

「とんだ強敵だったぜ……」
「まったくだよ」

 たかだか誘拐犯のパシリとは思えない強さに深く嘆息しながらサバの首根っこを摑まえると、サバは観念したかのようにくったりと持ち上げられるのだった。

【ヒトよ、ネコと和解せよ -5-終わり:-6-へと続く

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