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賽を振るは、神か人か -13-

閉鎖されていたはずの天が割れて、黄昏時の空がその夕の光をこの地に届けた。

既に俺達が居た施設は地下から遥か上空へと浮上している事がコンソールから読み取れ、同時に地下都市を覆っていた外殻が収納されていく。

「ちょっちょっちょ、これもしかしてシェルターじゃなくて宇宙船だったってオチ!?」
「どうやらそのようだな、セレン嬢の状態は?」
「リブートに時間がかかっています。長期の稼働を考慮すると無理もないかと」
「だよな」

彼女が復旧すれば少なくともこの船の防衛プログラムを停止できる公算はある。問題はこの船ごと破壊してしまった場合、彼女との再度の対話はほぼ絶望的になるところだ。ついでに俺達か再起動中の彼女が破壊されてもご破算となる、タフなシチュエーションだ。

「6・D、セレン嬢が破壊されれば何もかもオジャンだ」
「わかってるっての!ここで何もかも台無しにされてたまるかよ!」

既にあの侍従の躯体はブラック・シックスのコクピットにかくまわれているため、無防備に巻き添えになる事はない。後は俺達が生き残るだけだ。

背中合わせに構える俺達の前に、自立駆動型都市迷彩色の防衛兵器の群れが飛来する。人型、蜂型、両者の混合など、バリエーション豊かな面々が密集隊形のままにイナゴめいて群がってくる。

幸いにもこの場おいて生存する必要があるのは俺達だけだ。イクサ・プロウラの機体出力を引き上げると、壁に見えるほどに押し寄せる敵機の群れの中をUFO幾何学的軌道の軌跡を残しながら駆け抜ける。一瞬のタイムラグの後、俺が斬撃を伴って走り抜けたルートが連鎖爆発によって防衛兵器を数多巻き込み破壊の痕を作った。

一方でブラック・シックスはその黒色曲形装甲に夕日を受けながら背部六枚羽根型ウエポンコンテナよりグレネードランチャー、バズーカ、ガトリング砲、マルチミサイルコンテナ、レールキャノン、プラズマスロワーをそれぞれ展開。両手の重機関銃と合わせて8系統の武装を阿修羅の如く展開すると一斉砲火。またも無数の爆破が黄昏の空と混ざり合い判別つかなくなるほどに空を覆う。

パルプスリンガーの駆るソウルアバター二機の破滅的な火線を持ってなお防衛兵器の数は圧倒的だった。ゲリラ豪雨めいて行われる高密度弾幕の渦中を推進器の残光軌跡を伴いながら回避。二機は螺旋遺伝子軌跡を残して間隙を抜ければ、防衛兵器同士が同士討ちでもって自滅していく。

まだやれる、そう見積もった時点でこの移民宇宙船都市部にさらなる変化が起こった。あの管制塔中央ビルが積み木細工めいて形を入れ替えると、巨大な人型兵器に姿を変えたのだ。

管制塔ロボもまた防衛プログラムの指示に従うとその両腕の手先から赤い裂光じみた輝きを伴い、横薙ぎに振り抜く。常時回避運動を続けていた俺達にはかすりもしないが、よけそこなった防衛兵器群が多数巻き込まれて光の中に消えていった。

「新手だ!6・D!彼女はまだ眠り姫のままか!」
「うんともすんともだ!R・Vもう一賭け乗ってくれるか!?」
「一蓮托生さ!」

俺の了承と共に、ブラック・シックスはその躯体関節から粒子発光を放った!

【賽を振るは、神か人か -13-:終わり:-14-へ続く

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