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いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -7- #ppslgr

マチェットとククリが鈍く光る刃の軌跡を描き、根元でもがれるように切り取られたコーン・ケルベロスの頭部がぼとりと地に落ちる。一瞬先んじて着地した俺は、すぐさま前方に飛び込みざまに得物を振り抜けば再びコーン・ケルベロスの茎槍脚部が切断!無視できない隙を晒させる!

「コンニャロ!コンニャロメ!」

示しを合わせたかの如く俺、エルフの王子、レディ・ドゥームの三者がコーン・ケルベロスより距離を取ると、A・Kの放ったショットガンの銃撃が異形トウキビの残った頭部へと幾度も突き刺さった。

フィィィィィィィン……という鳴き声というにはまるで機械の稼働音にも似たうなりを上げたあと、三つの頭部を破壊されて見る見るウチに枯れ落ちて萎れていくコーン・ケルベロスの死骸。一方でコーンの実にあたる部分はその可食部の大部分を失った物の、未だみずみずしさを保ったまま大地に転がっている。

「フゥーム……」

実にあたる部分を切除、破壊した結果茎にあたる身体は枯死した。一方で実はまだ生きているとも取れる。であれば、念のために処分しておくべきか。

「おい、R・V何をそんな熱心に」
「念のためな」

まだ実に変化はない。だが実という部分は子孫を残すために存在するものだ。荒く息を吐きつつもこちらを見やるA・Kの前で、俺は迷いなくマチェットを振るい樽ほどもあるトウモロコシを切り刻んで念入りに破壊する。

傍目には死体蹴りを行うサイコパスに見えてもおかしくはない。ぎょっとするA・Kと冷静な眼差しでこちらを見やる王子。ちなみにレディ・ドゥームは既に姿を消している。

「えっ、なに?ここまでしなきゃダメなのか?」
「わからん、だが仮に種子の5~6個程度だけでも小型のアレになったとしたら、それだけで厄介だ」
「oops、わかった、先にぶっ潰しとくのが正しいわ。でも他のコーン・モドキはどうなんだ?」
「フムン、仮定としての話だが」

A・Kの疑問に対し、思考を巡らせる。今の戦闘の合間にも、コーン・モドキは異常成長などによって異形の生物と化して襲ってくるような事はなかった。このコーン・モドキがコーン・ケルベロスと同じ単一の種だとしても、その振舞は大きく異なる。

「役割が違うんだ、あのコーン・ケルベロスとこのコーン・モドキは」
「役割?」
「ああ、コーン・ケルベロスは外敵の排除を行う近衛兵。コーン・モドキはこの大地を覆いつくし実質支配するための先兵なんじゃないだろうか。もっとも、外敵が大規模になったらコーン・モドキもまた異形化する事は考えられるな」

俺の推論に心底げっそりした顔を見せるA・K。今俺が説明したのは、言うなれば俺達は敵の腹の中でさっきのコーン・ケルベロスは異物を消化するための抗体といった所なので彼の反応こそが正しい。

「俺、もっとこうへいわな空間だと思ってたぜ、ここ」
「見た目はウソをつく、という事だな」

第一印象は大事ではあるが、それが全てではない。むしろ腹に一物二物ある奴ほど見た目は取り繕うという物だ。この森も、要するにそういう存在なのかもしれない。

【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -7-:終わり:その-8-へ続く

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