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自律性をもった呪縛

正月休みが終わったとたんに〈なにかに急かされるように〉あわただしい日々が続き、気がつけば立春も過ぎていた。
立ち止まる。
振り子の早さは私の鼓動だ。時間の速度を決めているのは自分なのだ。伸びたり縮んだり歪んだりする時間幻想の中で、ある時「忙しい」という時間世界に迷い込むと抜けられなくなる。
大丈夫、私がいなくても世界は回る。いつか私が消えても世界は続く。
……私は、よく自分が死ぬことを考える。若い頃は怖いと思った。もちろん死は未知なのでいまも怖いが、死を考えることと「死ぬこと」は別だと分けられるようになった。
「死ぬことを考える」=「死が近くなる」と紐づけていると、その回路から逃れられなくなる。封印したものが呪縛になる。
封印したものの呪縛は成長する。
成長した呪縛は自律性を持ち始める。これはとても不思議な現象だけれど、潜在意識下で何年も育てた呪縛はだんだん意識のコントロールを逃れて自律性をもって動き出す。誰のこころにも大なり小なり住んでいる。
この「自律性をもった呪縛」は小説の大切な脇役……あるいは時として主役だし、伝説や昔話にはこのモンスターや妖精がたくさん登場する。
クリエイティヴ・ライティング講座で受講されたみなさんの文章を読んでいると、「呪縛は自律性をもつ」ことがとてもよくわかる。意識のコントロールをかいくぐって不思議な動きをする「精霊さん」を人はこころに住まわせている。
だから、その「精霊さんたち」と向き合ったり、会話してもらう。それが物語の核になる。言葉は意識そのものなので、言葉によって名付けられ、照らされた「自律性をもった呪縛」は、書かれることで「物語」となり、普遍化され、そして神話のようになっていく。
誰もが神話の語り手で、誰もが魔法使いだ。森を探検するのは怖いけれど、仲間がいるのでなんとかなる。言葉は人を縛るが、開放もする。
使い方次第だ。開放する方法を学べば、ずっと味方になってくれる。
クリエイティヴ・ライティング。2月はリアルとオンラインを組み合わせて開催します。日程が変則的です。2月25日〈土〉はリアルで開催。3月5日〈土〉はオンライン。2週連続の講座は久しぶりですが、間が1週間空くことでゆっくり文章創作に取り組めると思います。定員は6名で、4名から開催します。
詳細はホームページへ。
https://www.creative-randy.com

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