田口ランディ

作家・エッセイスト/「一般社団法人クリエイティヴ・ライティング・センター」代表理事・「…

田口ランディ

作家・エッセイスト/「一般社団法人クリエイティヴ・ライティング・センター」代表理事・「YAMI大東洋医学ゼミ」、「野菜とココロを育てるプランター自然栽培講座」、「ドラマdeオープンダイアローグ」代表・「noteマガジン「ヌー!」を発行中。(月額500円)

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クリエイティブ・ライティング講座を受講した人たちが、自分たちの創作文章を発表しあう場です。

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    田口ランディが日々の出来事や感じたことを書いています。

  • 恋するリコーダー・本村睦幸さんからリコーダーを教えてもらう

    • 13本

    楽譜が読めない音楽音痴でド素人の私・田口ランディが、プロのリコーダー奏者である本村睦幸さんからリコーダーを習い、バロック音楽を演奏するという野望達成までを連載します。本村さんも「田口ランディさんと始めるリコーダー」という記事を教える側の視点から書いています。合せて読めば、きっとあなたもリコーダーでバロック音楽が吹けるようになる……かも。

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    水俣 天地への祈り

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    ひかりのメリーゴーラウンド (よりみちパン!セ)

    田口ランディ
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    できればムカつかずに生きたい(新潮文庫)

    田口ランディ
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    ドリームタイム (文春文庫)

    田口 ランディ
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    逆さに吊るされた男 (河出文庫)

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最近の記事

神様のご機嫌

身体の軸が中心にないとうまく圧が入らない。 指圧の授業で苦戦していたら、新任の松田先生が「こうやって練習するといいよ」と五円玉のペンダントを貸してくれた。 五円玉にタコ糸を通した、ちょっとシュールなペンダントを首からぶらぶらさせて、五円玉が身体の中心で揺れるように指圧の練習をする。するとムダなく圧が入る。 「なるほど、これはいい練習になりますね」 松田先生は、けっこうお年である。50代後半かも。教職経験は今回は初めてとのこと。 「先生、なんで年をとってから専門学校の教職に

    • まなざしの向こう

      「これはほんとうに事実なのか?」を問われた。 いつものことだ。言葉を発することができない障がい者の指に触れただけで相手の考えがわかるなんて! ……と、まずはその現実に驚く。と同時にむくむくと疑惑の心が生じるのだ。 通訳者が瞬時に指先から伝わる文字を読み取る。「あれはウソではないか?」と思う。流ちょうすぎる。通訳者が勝手にねつ造しているのではないか。その疑惑は常に指筆談についてまわる。 ゆっくり読み取るならまだしも、高速で指から伝わる情報を読みとる通訳者は、周りから見れば超能

      • 主語は何?

        取材をして記事や番組を作る人たちとの、つきあいは長かった。 いまも多少は残っているけれど、だいぶ消えた。

        ¥500
        • なんでこんなに痛いんだ。

          かつてこの山は、ハワイ諸島に浮かぶ火山島だった。 火の女神ペレの島だった。地球歴の遠い遠い昔の話だ。 島は侵食によってサンゴ礁となり、気の遠くなるような時間のなかで海底に落ち、さらに何十万年、何百万年という時間の中で海底のプレートに引っ張られ、太平洋の東の果ての島にぶつかり、隆起して再び山になった。 サンゴ礁だった頃の石灰岩が露出した山は白く輝き、それを見た人びとはその姿に神を感じた。やがて草木が生えてふもとには森が生まれた。川があり森がある山あいは動物や鳥や人間が集い、

          ¥500

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        メンバー特典記事

          クリエイティヴ・ライティング入門(3)「創造と治癒」

          文章を書くメリットは無数にあるが、人間にとって最も価値あることをあげるとするなら「治癒」である。過去に起きた自分にとって不条理で苦しい体験、誰にでもある哀しく辛い出来事、それを書くことによって、精神的なダメージを克服し、治癒へと向うことができる。 創造的な行為はむしろ、治癒のプロセスとして現れる。人間はダメージから立ち直るために創造する……と言い換えてもいい。 人間のもっている自己治癒能力の発露として、表現活動が存在することは過去の芸術家たちの人生と作品を見れば理解できる。

          クリエイティヴ・ライティング入門(3)「創造と治癒」

          クリエイティヴ・ライティング入門(2)「書く」ことのメリット

          記憶の解凍 「書く」という日本語の音「カク」は、さまざまな意味を持っています。「書く」「掻く」「描く」「画く」……。かつて文字は何かの表面をひっかいて刻まれたので「掻く」から「書く」「描く」に転じていきました。  クリエイティヴ・ライティング講座で受講者のみなさんの「書く」場面に接していると、心理的にも「書く」は「掻く」と通じていることがわかります。感情を書き記す行為には、どこか心の表面をひっかいていいるような感覚が伴うのです。 記憶を文字に置き換えてタイピングしたり、紙

          クリエイティヴ・ライティング入門(2)「書く」ことのメリット

          セルフヒール

          フィンドホーンに行ったのは、オウム死刑囚13名が処刑された年だ。あの年は3月に交流している死刑囚が突然、東京から仙台に移送になり、仙台まで面会に通っていた。もう執行が近いことはわかっていた。 日本で、13人もの死刑囚がひと月の間に処刑されたことに関して、社会の関心は薄かったし、冷たかった……と感じている自分がいた。それは14年も文通していた死刑囚が私にとってすでに友人や親族に近い存在になっていたからだと思う。被害者の気持ちを考えると、私の発言は鈍り、思っていることがぜんぜん表

          セルフヒール

          君は、天才だ。

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        記事

          俗界と富士山

          コンビニの背後に見える富士山を、最初に撮ったのは写真家の藤原新也さんだと思う。写真集「俗界富士」が送られて来たとき、藤原さんが「オウム真理教をめぐる報道で映される富士山に興味をもった」と言っていたのを思い出し、ページをめくったらまず目に飛び込んだのが、あのコンビニと富士山だった。

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          俗界と富士山

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          ごーまん

          重たいものが入って来た。どろっとしたコールタールのような感触だった。一点から注入されたというよりも、波状に点から面へと広がっていくような感じだった。

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          治 神

          手が汚れている。 何度も洗っているのに、今日の手は汚れている……そう感じた。物理的に清潔なのに、なぜ汚れているように思えるのか。不可解だ。 きれいだと感じる日もある。血色のせい? 湿気や乾燥の度合いだろうか。すっきりとして曇りがなく、清々しい手。 「よし!」と思える手の日もある。 昨日、今日と自分の手が気に入らない。なんだかすっきりしない。よく洗ったし、クリームをすりこんですべすべにもしてみたのだが、くすんで感じる。爪も切って磨きもかけたが、濁りを感じる。 おととい、友人

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          マイム マイム マイム マイム

          高校の文化祭のラストと言えば、フォークダンス。 ……と、書くと自分でも「げっ!」と思う。 照れる。そんな時代もあったのだ。夕陽の校庭で手をつなぐ男女。スピーカーから流れる音楽は、マイム マイム。 この曲がどこの曲かも知らなかった。ちょっとエキゾチックなアラビア風のメロディー、軽快なテンポ。今どきの高校生は絶対に踊らないだろうけれど、60年代〜70年代の高校文化祭では定番だったんだよ。 マイム マイムを踊れるなら、あなたは私と同世代! でも、なんでこの曲は日本のフォークダンス

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          わたしは世界に向けたドア

          消えた。確かにここに置いたのに。緞帳の裏に置いたはずのカセットデッキがなかった。兄に内緒で持ちだしたものだった。文化祭が終わった埃っぽい講堂を探して歩いた。どこにもなかった。置き忘れたとは思えない。忽然と消えた。先生に相談した。美術部の顧問の山下先生は「ちゃんと探したか?」と言っただけ。関わりたくないみたいだった。 ちゃんと探したさ。兄になんて言おう。当時としては高価な機械だった。ちょっとだけ、起きっぱなしにしてその場を離れた。戻ったら、もうなかった。みんな知らないって言う

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          「沈黙の艦隊」とレオ・シラード(後編)

          3日前、ネットフリックスで「アインシュタインと原爆」というドキュメンタリー映画を観た。 晩年のアインシュタインが日本人記者に原爆製造に関する責任を質問される。彼は否定するが……唯一の間違いとして「ルーズベルト大統領に宛てた手紙に署名した」ことを語る。 そのシーンに挿入されたモノクロ写真、アインシュタインの隣に写っていたのがレオ・シラードだ。 でも、この映画の中にレオ・シラードの名前は一度も出て来なかった。 アメリカがナチスの前に核兵器の開発に取り組んでほしい……、手紙の

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          「沈黙の艦隊」とシラードの未来予測

          不思議なんだけど、嘘を書くと人は本当だと思い、事実を書くと「これは嘘でしょう」と言われる。小説を書いてきて思う。「作家はありそうなことしか思いつかない。ありえないことが起きるのは現実の中だけだ」と。そうなんだよ、私が思いつくようなことは誰でも思いつく。その程度のイマジネーションしか持ち合わせていないんだ。現実こそ荒唐無稽だ。 ドラマ「沈黙の艦隊」を観た。シーズン1で8話まで観た。観終わって頭に浮かんだことを書いてみるよ。 1945年8月6日、ヒロシマに原爆が投下された時か

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          「沈黙の艦隊」とシラードの未来予測

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          ベランダの農学校

          〈ベランダの農学校〉をつくりたかった。 私が自然栽培と出会ったのは、能登だった。羽咋の元スーパー公務員・高野誠鮮さんとは20年来の友人で、彼が木村秋則さんの提唱する「自然栽培」を本格的に広める手伝いをすると言う。 さすが高野さんのやることは違う。当時、私たちの認識では「農協は自然栽培の敵!」だったのに、高野さんは羽咋のJAと協力して自然栽培塾を始めたのだ。物事を逆手に取って成功させていく。高野さんは常識破りの天才だ。 「羽咋で自然栽培塾を始めるから、ランちゃん取材においでよ、

          ベランダの農学校

          人生を創造する文章術

          「文章を書くことで心が安定するのはなぜか?」 〈一般の人に文章を書かせること〉についてこの8年近く試行錯誤してきた。文章講座を開催した当初は、受講者の文章が上達すればいいな、と思って楽しく書いてもらう工夫に苦心した。 うまい文章とはどういう文章か? 「個性的で自分らしい文章」「テーマが明確でリズム感がある」「視覚化ができていて情況がありありと浮かぶ」「五感で書いている」「感動が伝わってくる」……いろいろあるけれども、大胆にざっくりと言い切れば「リアリティがある文章」ってこ

          人生を創造する文章術

          社会的マイノリティの意見

          1月20日の土曜日だ。イベントがあって東京に出た帰りだった。 夜の熱海駅の構内にその男はいた。いつもは他の指名手配犯と一緒に並んでいるはずの男は、一人で壁に貼られていた。あ、今日は桐島聡は一人なんだな、と思った。珍しいな。 指名手配犯の顔写真を見る癖がある。つい見てしまう。行方不明の人もそうだ。警察署に掲示してあり、じっくり見てしまう。なんでかな。そういえば、初期の私の小説は「突然人が消える」テーマが多く、消えた誰かを見つけようとする物語を好んで書いた。その理由は自分でも

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          冥王星と能登

          2006年8月。チェコのプラハで行われた国際天文学連合の総会で、冥王星を惑星とする定義に対して、多くの天文学者から反対の意見が出た。会議は難航したが、ついに惑星の新たな定義が採択された。 この年、人類は冥王星を失った。 私が子どもの頃、惑星は、水、金、地、火、木、土、天、海、冥と覚えた。いま、太陽系の惑星に冥王星は含まれていない。太陽系外宇宙を旅して戻って来る軌道の長いこの星が、太陽系から消えたのは、冥王星の発見者のトンボー博士、生誕100年の年だった。 私は能登半島を

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          正気の人生

          「やっと、正気に戻った。長いこと気が狂っていた」 ……実感だった。振り返ってみるとそれしか浮かばなかった。横浜中華街は人で溢れていて、忘年会の面々は気のおけない友人たちだった。いきなりの正気発言に、みんな「どういうこと?」って、驚いていた。 「うまく説明できるかどうかわからないけど、今年はっきり自覚したんだ。私は長いこと正気じゃなかった。頭がおかしかった」 「いまは正気なんだね?」 「いまはすごく正気だと思う。だからやっと自分が変だったことに気がついた。ずっと変だったから

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