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種を蒔く

思いついたことは、すぐやる。思いつくということは凄いことだ。意識されなかったことが意識に上って〈発火〉したのだから。その火種が消えないうちに素早く行動するのだ。

毎日、種を蒔く。なにかしら思い立ったものは行動に移す。思考の世界の石……意志を、現実に投げる。思考と現実に回路をつなぐ。大したことではない。それはまだ種だから。どんな芽を出すのかすらわからない。

電話をかける、手紙を書く、メールを書く……その程度のことだ。Twitterに書き込む、資料を探してみる、誰かにしゃべってみる。

そして忘れる。

種はいつ発芽するのか、それは種にしかわからない。待つだけムダだ。毎日、種を蒔き続ける。できるのはそれだけ。そして忘れる。すっかり忘れた頃に、ひょっこり発芽するものもあれば、芽を出さない種もいっぱいある。気にしない。忘れる。期待もしない。小さな種だ。

ただただ、種を蒔き続ける。それだけだ。ある時、芽が出ることがある。本当に忘れた頃にそれは芽を出していて、育つ時もあれば枯れてしまうこともある。気にしない。忘れる。期待もしない。小さな種だ。

笑う、話しかける、ゴミを拾う、電気を消す。

種は、種の力で発芽する。私の力ではない。私は何もしない。種を蒔いただけだ。種は蒔いた時点でもう力を持っている。不思議な存在だ。
自分の力で発芽して、成長していく。

人生は、蒔いた種の力によって動かされている。そう感じることが多くなった。いったい種とはなんだ? この不思議な力はどこから来るんだろう。こんなに小さく、些細で、瑣末なことの中に、とてつもなく大きな力が宿っている。そのことに気づくと、人生は面白い。

なので、毎日、種を蒔く。たぶん、命が尽きる時まで種を蒔く。私がいなくなっても、蒔いた種は育つだろう。ものすごく些細で、瑣末で、取るにたらないことが、芽吹いた時の力は……コンクリだって突き破る。そして成長していく。

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田口ランディが日々の出来事や感じたことを書いています。

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