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司法試験と学歴

こんにちは、ちょま林です。
最近の私のTwitter上のTLでは、予備試験短答式試験の教養問題についての話が盛況です。予備試験合格が法科大学院修了と同程度の学識を有していることを前提とする以上、学士号、法務博士(専門職)号の学位を持つものと同程度の一般教養(学部課程の一般教養)を有していることを求められることになります。もちろん、これはある意味、建前上の話にすぎません。
しかし、実際の予備試験と法科大学院の関係性にまで話を踏み込むと話が混乱することにもなりかねません(予備試験と法科大学院の関係性程、燃えやすい話題もないので、そこに片手間で踏み込む勇気はありません)。

というわけで、この教養問題ともある程度関係を有する学歴と司法試験の関係性について私なりの見解を記したいと思います(はぁ、、、バカ話を書くはずが、こんな真面目なことをまた書くことになるとは)。
気に入らなくても燃やさないでね。


司法試験に学歴って必要?

よく、司法試験に学歴は不要である。学歴とは関係がない資格試験だ。という言説を見かけます。主に、予備校講師等がそういった発信をしていることが多いとは思いますが。。。

もっとも、本当にそうなのでしょうか?

確かに、学歴は不要です。正確には、予備試験に合格すれば司法試験を受けることができ、そこに学歴要件がない以上、学歴が不要なのことは形式的には正解だといえます。
しかし、ここにはいくつか重要な視点が抜け落ちてはいないでしょうか?

https://www.moj.go.jp/content/001358476.pdf

令和3年司法試験予備試験受験状況(大学別・全体) (mext.go.jp)

https://www.moj.go.jp/content/001355254.pdf


以上の資料は、令和3年司法試験・予備試験の受験者、合格者の属性を集計したものです。これらを見てもらえれば、わかるように高卒、短大卒より大卒、大学院卒の方が合格しています。また、高校在学中合格や高卒合格には、難関大学の付属高校出身の人間がそれなりにいることも予備校の公表情報等からわかります。
しかも、同じ大学卒、大学院卒でも、いわゆる難関大学・有名大学出身者の数が多いことも分かります。

確かに、これらの資料だけで、因果関係があるとまでははっきりとはいえません。
しかし、学歴が司法試験に与える影響があることを否定するはできません。

学歴がないあるいは難関校出身ではない人は、こういった学歴を有する人間、難関校出身である人間がライバルであり、これらの人々と競争しなければいけない世界であることは認識すべきです。

学歴の持つ意味

司法試験系の試験、その天王山である論文式試験は、相対評価です。何を考え、何を書き、それをどう表現したのかを他人と比較されることで合否が決まる仕組みです。

学歴がある人々、難関校出身者は、一般的に、学歴を裏打ちする勉強貯金、学習体力、思考力、情報処理能力、分析力、文章力等が高いことが推認されます。
これまでの人生における各種試験の場、中学受験、高校受験、大学受験等に向けて日々勉強を積み重ねこれらの能力を高めてきたことがその結果として学歴・出身校に現れているからです。

つまり、それらの基礎能力をそれなりに高めてきた人間が、司法試験では一般的なライバルとして想定され、それらの人々に打ち勝たねば試験に合格することができないのです。

学歴の有無で合否が決まるような簡単な試験ではありませんし、それだけが結果につながるものでもありません。しかし、学歴を支える基礎体力が高い人間が相手になる以上、その基礎体力を無視して簡単に勝てるものでもありません。
足の速い陸上部に、何の運動もしてない人が100m走でそう簡単に勝てないことと同じわけです。

では、どうするか


負けないように、基礎体力を身に着けるしかないのです。
幸いなことに、司法試験のための学習は基礎的な学習能力を総合的に使うことのできるものであり、基礎能力の総合デパートといえるでしょう。

司法試験のための学習は、基本書、判例集、予備校本、論証集、問題集、演習書、過去問いずれであっても、それを読み、読解し、理解、記憶し、実際に自分の腕を動かして人に伝わるように試験的に許される法律的文章を作成する作業が欠かせません。
つまり、日々の学習において基礎体力を高める筋トレをしているようなものなのです。

学歴のある人々、難関校出身者でも一たび勉強から遠ざかると基礎体力は落ちます。しばらく自転車に乗っていなかった人が、久しぶりに自転車に乗るとぎこちないというのと同じようになります。
しかし、これらの人々は、数十分も自転車に乗ればすぐにもとの自転車に乗っていた時のように軽やかに自転車を扱えるようになるでしょう。

こういった、人々に打ち勝つには、自らに適度な負荷をかけて基礎体力を高める筋トレをするしかありません。

TLをにぎわせる予備試験の教養問題もまさにこれでしょう。東大生や難関校出身者は、あれら教養に苦しめられることは少ないでしょう。純粋な知識はなくても、論理的思考力や試験的なテクニックでそれなりの点数を稼ぐことができ、法律科目で無理に高得点を狙う必要はない分、短答に費やす時間が少なくてすむのです。そして、その分の時間を論文対策に当てることが可能になるのです。
日々の学習の中で、学習の基礎体力を高めれば、これと同じようなことが学歴のない人であっても可能になります。

結論

私は、学歴がある方がよいし、あるに越したことがないと思っています。
確かに、学歴は(形式的には)不要です。
しかし、だからといって学歴は(実質的にも)不要であるといえるほど甘い世界ではありません。

そうだといって、学歴がないこと難関校出身ではないことを悲観する必要もまたないでしょう。
冷静に、自分の置かれている状況を認識し、学習の基礎体力を身に着けることを意識して司法試験向けの勉強に取り組めばよいのです。
基礎体力を身に着けることに遅すぎるなどということはありません。何歳だって、トレーニングをしようと思えばできることと変わりはありません。

幸いなことに、勉強法に関する知識や様々なテクニック、学習体力をあげていく方策は科学的に有効性があるとされるものがいくらでも存在します。これらも活用しながら、意識的に基礎体力を身に着けることが肝要なのだと思います。




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