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ART WALKER

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記事一覧

建築とホテルの楽園=オットー・ワグナーの水門監視所とホテル・ラディソン・レッド・ウィーン

下記のような記事でスタートした楽園探訪のウィーン・シリーズですが、行く前に気になっていたのは、やはりオットー・ワグナーの建築でした。その中でも比較的行くのが少し面倒で、時間がなくなると行かなさそうな案件のそばにホテルをとって、心ゆくまで堪能してみようと考えて、実行してみました。それがカイザーバードの水門監視所とラディソン・レッド・ウィーン。 ドナウ運河に面した場所にあるカイザーバード水門監視所を、ドナウ運河の北側に位置するホテルの窓から眺めるとこんな感じです。アールヌーヴォ

ブリュッセル幅3.75Mのアールヌーボー建築をnoteのおかげで思い出した。

上記クリムトが描いた貴婦人=ソーニア・クニップスの家(ヨーゼフ・ホフマン設計)の記事をアップしたところ、自分の記事に紐づいて目についたのが下記の記事。アールヌーヴォー建築の創始者ヴィクトル・オルタの建築がたくさん残っているベルギーのブリュッセルで見た、オルタの弟子ストローヴァンの自宅の建物についてのものでした。こういう出会いがあるところがnoteが素敵なところです。 2018年にダルムシュタットに行ったタイミングで実はブリュッセルにも足をのばしていたのですが、自分のものぐさ

建築の楽園・クリムトが描いたソーニアの家

実は一昨年と昨年に2度ウィーンに行く機会に恵まれました。あまりに素敵な街で、たくさんの楽園を見つけてしまったので、どこから書いていいのか迷っているうちに時間が過ぎてしまいました。いい加減もったいないので、そろそろと思って書き始めましたが、やはり迷います。えいやってことで、かなりニッチな場所から始めることにしました。 ソーニア・クニップスの家。 誰それ?ですよね。この記事を見ればイメージできますか? ベルヴェデーレ宮殿の美術館にあるクリムトの名作に描かれた貴婦人。それが、

ものづくりの理想

noteを見ているとこういう記事を見つけられるのがいいなあと感じます。日々企業や組織の論理で動いたり流されたりすることが多い中で、一個人の感性や感覚を大事にしながら、それを世の中にちゃんと届けていくという作業をしている方がいる、できている方がいる、という事実にほっとします。この本を自分が読むのかと言われるとよく分かりませんが、こういうものづくりを丁寧にされている方がいるという事実が存在することに感動しますし、自分の日々の活動の中でもこういうスピリットを活かしたいと思います。

ホテル&美術の楽園・カンデオホテルズ京都烏丸六角

丸福楼の紹介記事を多くの方にお読みいただけたようなので、ラグジュアリーホテルではありませんが、京都で楽しいホテルをもうひとつご紹介します。カンデオホテルズ京都烏丸六角。 ロビー棟に、旧伴家住宅という町家の母屋をそのままリノベーションして活用しています。10年前くらいはここでお住まいになられていた風情で、祇園祭の時には玄関を開放されて、鈴木松年の狼の屏風をお見せになられていた、京都らしい旧家でした。(下記ブログにその模様で残ってます。) 数年前に京都の画廊のカタログに、その

京都・東本願寺、Adoちゃん紅白の能楽堂と大寝殿公開開始!!

昨年、下記の記事でご紹介した、東本願寺の大寝殿の特別公開が「京の冬の旅」の企画の中で6日からスタートしましたね。ただ、もはやそっちよりも世間が見たいのは、あのAdoちゃんがNHK紅白歌合戦でパフォーマンスした話題の能楽堂なのでしょうか?サムネ写真がそれです。(撮影は昨年の公開時のものなので、雪景色となっております。) 今年は、僧侶にご案内いただく予約制のプランだけのようですね。 昨年10月からの竹内栖鳳/破壊と創生のエネルギー展でもインパクトのあった「風竹野雀」が「歓喜」・

竹内栖鳳@京都市京セラ美術館でスタート!

京都市京セラ美術館が10年に一度、90周年事業として乾坤一擲の催事として実施する竹内栖鳳展!破壊と創生のエネルギーと題して、保守本流の日本画家だと思われている栖鳳の革新的な部分に光を当てたものになっているのでしょうか!12月までのどこかで見に行きたいと思っておりますが、ネットでテーマ曲担当の石井琢磨さんという方がtwitterに上げている画像を見てビックリ!これは!東本願寺の大寝殿床貼付にあった「風竹野雀」では!?(下記NOTE参照)さすがに、お寺の床貼付をもってくることはで

日本最大級の重要文化財=熊野摩崖仏、そして真木大堂・両子寺・川中不動…

 「蕗の薹」チェックアウト前に富貴寺大堂を堪能したのち、その日はタクシーを貸し切りにして、国東の摩崖仏とお寺巡りへ。まずは真っ先に、国指定重要文化財で日本最大級の摩崖仏を謳う、熊野摩崖仏へ。なぜなら、かなりの山登りが必要で体力勝負確実だからです。入口からこんな感じです↓。 そして、かなり上ってから見えてくるのが、この「鬼の階段」。手すりがついているだけましですが、かなりの足元の悪さ。気が遠くなりました。 苦行のようにして急な階段99段(どういう風に数えるのかわからないくら

国宝のそばで浸る温泉・富貴寺大堂と蕗の薹(大分県豊後高田市田染蕗)

 連れ合いからの「GWに大分の石仏や摩崖仏を見たい」という思いつきにはじまり、いろいろと調べあげて宿泊できる宿を探して、たどりついたのが「蕗の薹」さん。大分に4つある国宝のひとつ=富貴寺大堂のすぐ横で、富貴寺が営む温泉宿。奇跡的に2日の夜だけが空いていたので、午前半休にして夕方に大分空港へとたどり着きました。空港から豊後高田へ向かうバス=ノースライナーの16時40分空港発に乗れれば、田染中村の停留所近くにある元宮摩崖仏を見学しながら、お宿の方にここまで迎えに来ていただける予定

13年ぶりの特別公開・大乗寺応挙一門の障壁画!あと数日!(@兵庫県香住)

 昨秋から始まり、2023年3月15日(水曜日)まで、兵庫県香住町の大乗寺で円山応挙一門が描いた重要文化財の障壁画が、収蔵庫から本来あった客殿に戻されて、なんと13年ぶりに特別公開されています。長年、普段はめこまれている高精細の複製でも見に行こうかと思っていたほどのものでしたから、秋に公開されていることを聞いて以来、ずっと行こう行こうと気になっていました。ついに一泊二日の弾丸旅行で見に行きました。東京芸術大学美術館で開催された円山応挙展でも一部を見てはいましたが、やはり現地で

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奥村厚一画伯の「早春」と週末一泊旅行

東本願寺大寝殿の竹内栖鳳特別公開激写‼

 1月末の雪が降った日の翌日、京都東本願寺の大寝殿・白書院の特別公開を見てきました。お目当ては、竹内栖鳳が描いた大寝殿の広間奥の障壁画です。広間の奥に描かれた竹内栖鳳による障壁画です。1939(昭和9)年の制作で、三つの画面で構成されており、向かって右(北側)から「風竹野雀」、「歓喜」、「古柳眠鷺」。竹内栖鳳は、昨年没後80年を記念して東京の山種美術館でも重要文化財の「斑猫」を目玉に回顧展が開かれておりました。重要文化財の「斑猫」が撮影可能ということでずいぶんとSNSで拡散さ

斑鳩~塔の見える古代的風景の楽園

 年末の奈良シリーズ。慈光院から世界遺産=法隆寺へと散歩しました。最近の寒さほどには冷え冷えとしてはいなかったので、ほどよいピクニック気分が味わえました。遠くに見える高圧線をのぞけば、塔が建てられた奈良・白鳳時代の風景と大きく変わらないのではないかと思わされる、長閑な田園風景が広がります。慈光院から法隆寺を目指して、なだらかな丘を越えて行くと、法起寺の三重塔(タイトル写真)が見えてきます。懐かしくもあり、時間旅行をするような異次元感もある、この景色が昔から好きです。 100

城マニアの楽園・中家住宅と小泉陣屋跡

 慈光院には過去二度も訪れて、茨木城の旧城門ににはいつも感動しておきながら、城好きとして実現できずにいたことがひとつありました。片桐石州の居城=小泉陣屋を訪問すること、です。慈光院から西南の法隆寺方面を目指して小さな丘を超えると、陣屋の一部が、そのまま石州流の本拠地=高林庵という名前でどうやら片桐家がお住まいになられている様子でした。  藩主がそのままお城の跡にいらっしゃる例というのは、現代においてはかなり少なくなっていると思いますが、明治以前の空気感が普通に残っているのが