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「中野量太」

ドキュメンタリーとは、

と、Google先生は教えてくれます。

映画には“ドキュメンタリー”というジャンルが存在します。ただ捻くれ者の私は、映画用にドラマチックにしたり、多少の装飾はしていると思っています。


エンドロールでも、注意書きで“事実を元に制作しています” “名前や土地名などは実在しません”などと表示されているので、そういう節というか、部分的には事実と全く同じではないことももちろんあると思います。


捻くれているとは言いましたが、正直、私は特にそういう事情とかは気にせず、関係ないものとして観ているんですが、「中野量太」監督の映画は、そういう概念や事情がどうでも良くなるような“ドキュメンタリー”作品です。


そもそも、「中野量太」作品の大きな特徴として“事実に基づいた脚本”があります。他にもおそらくですが、出来るだけその事実に寄せたキャスティングや劇中に登場するアイテムや小道具、ロケーションにも細部にまでこだわってるように思います。


初めて「中野量太」作品を観たのは、「湯を沸かすほどの熱い愛」でした。


この作品は、第40回日本アカデミー賞では6部門受賞、内2部門では最優秀賞、第41回報知映画賞・第31回高崎映画祭・第26回日本映画批評家大賞ではそれぞれ4冠、第38回ヨコハマ映画祭では3冠を達成しています。


「湯を沸かすほどの熱い愛」も実際に存在する銭湯を営む家族の物語です。


個人的に家族がテーマの映画は基本的に号泣します。この映画はとてもお気に入りの作品で少なくとも5回は観てると思います。ただ、嗚咽しながら観ることになり、翌日は目がぱんぱんに腫れてしまっているので、休みの日の前日に観ることをおすすめします。


この映画の最高なところはキャスティング。宮沢りえをはじめとするそうそうたる顔ぶれ。

宮沢りえの役づくりが半端ない、最後の病院のベッドで眠るシーン。病気により痩せこけている顔、かなりのインパクトがあるシーンでしたが、その表情や役づくりのために痩せこけた顔をみただけで思わず涙が溢れてきました。

それまでずっと強いお母さんという役だった反面、そのギャップに一気に持っていかれます。

そして、オダギリジョー。全部ナチュラル、こいつクズだなーって映画を観る全員に思わせることができるお芝居をしていると思います。もちろんそういう役なので、それで正解なんですが。

それでも後半、クズから成長していき頼もしくなってくる。その姿にも感動しました。オダギリジョーが出ている映画は全部観れますね、ハズレがない。

次に杉咲花。この方も本当にお芝居が上手です。当時おそらく10代?という点も素晴らしいですし、産みの母親と育ての母親との関係で揺れる感情を見事に演じられていました。今ではドラマや映画に多く出演され活躍されています。

もう1人の娘役として出演された伊東蒼。当時10歳だと思います。産みの母親に捨てられ、新しい母親の元で成長していく姿がとても素敵でした。佐藤二郎主演の「さがす」という映画で高校生役で出演されていて、さらに磨きがかかった演技が観れて最高でした。

もちろん、他のキャストも粒揃いでお芝居が上手な方々ばかりです。




この映画を観たのがちょうど、成人式前だったと思います。その影響もあって、自分の母親にあなたの子どもとして産まれてきたことを誇りに思います、あなたが母親であることを誇りに思います。と伝えられることができましたし、本当に心からそのように思うことができました。



自分は男ですし、まだ結婚もしていませんのでわからないことが多いですが、きっと教育、子育てには正解はないだろうなと思いますし、誰もが初めてのことでどうしたらいいかわからないなりに模索しながらお互いに成長していくものだと思います。父親も母親も同じ人間であり、いくつになっても迷い悩むと思います。間違えることもあるんだろうなと思います。


そんな中で、「湯を沸かすほどの熱い愛」ではライオンのように崖から子どもを落とすような教育方針が見受けられます。母親も強がっていますが、とても心配で仕方ない様子も劇中であり、そのシーンでも涙ぐんでしまいました。


母親にとっても勇気がいる教育だと思いますし、全てを想定して、最後それが繋がるシーンはとても感動しました。母親の偉大さ、優しさはまさに「湯を沸かすほどの熱い愛」そのものでした。


この作品は、一生自分の中に残る作品になりました。ほぼほぼ常に涙していたと思います。ぜひそれを皆さんにも感じてもらいたいです。観るのに体力がいる映画なのでちょっと気をつける必要があるかもしれません。笑



長くなりましたが、もう一つとてもお気に入りの作品があります。嵐の二宮和也主演の「浅田家!」です。




タイトルにびっくりマークが入ってる意味も観終わった後なら納得できると思います。そんな映画なんですが、またキャスティングが良いです。


まず妻夫木聡。「ジョゼと虎と魚たち」というお気に入りの邦画があるのですが、それに主役として出演されていて、その映画でのお芝居を観てからファンになりました。

二宮和也のお兄ちゃん役として出演されていて、安定のナチュラルさはいつみても良いですね。この人はいろんな役ができますし、そこも魅力的ですね。


次に風吹ジュン。樹木希林の後釜と言われています、正直樹木希林ほどの人がいるとそうやって言われてしまうことは良くも悪くも仕方がないことだと思います。本人がどう思ってるかは知る由もありませんが、樹木希林の後釜と言われることは素晴らしいことだと思います。
また劇中にも登場する写真で比較できるのですが、実際の「浅田家!」のお母さんとそっくりなんですね。そのクオリティにも驚きました。

そして、好きな俳優として以前記事にもしましたが、菅田将暉。今回脇役として出演されており、脇役としての徹底ぶりがとにかくすごい。菅田将暉かどうか気づかないぐらいのお芝居、本当に素晴らしかったです。

最後に、二宮和也。この方も非常にお芝居が上手ですね。「GANTZ」「母と暮らせば」などでのお芝居が印象的です。


クランクインする前に、お兄ちゃん役の妻夫木聡さんとご飯に行って、財布忘れたから奢ってもらうということがあったみたいなんですが、それも役づくりのために行ったことみたいで、お兄ちゃんと弟、甘えがちな図々しい弟役なので、納得しました。そういうところから役を作り上げていくんだなと知って、面白いなと思いました。



この「浅田家!」という映画も、「湯を沸かすほどの熱い愛」同様、実際する写真家の浅田政志についてのドキュメンタリーなのですが、とにかくクオリティが高いです。劇中にも登場する本当の写真を忠実に再現しています。キャスティングもそれに合わせてるんじゃないかと思うんですが、本当にこだわりがすごいです。


ストーリーも「湯を沸かすほどの熱い愛」同様、食らいます。涙なしでは観られませんでした。ただ「湯を沸かすほどの熱い愛」と比べると観終わったあとの爽快感は圧倒的に「浅田家!」が上回っていました。


もちろん比較するものではないんですが、「湯を沸かすほどの熱い愛」と比較するとかなりハートフルな内容になっていて気楽に観ることができるのでおすすめです。


是非「中野量太」作品のドキュメンタリーに触れてみてください。とっても心温まる作品になっていて、観終わった後いつもより人に優しくなれそうな気がします。



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