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兎団33 CAFE BIANCA 衣装note 2023/5/17-5/21 其の7

其の7始めます

このnoteに書いていくこと

こんばんは。
衣装note第七弾です。
今回も個別のお話を進めようと思います。
このノートで折り返しです、頑張ります。
あまり分かれると読みにくくなるので、2~3人ずつくらいで書いていくことにしました。
目次を付けているので、興味があるところだけ読んだり今日はここだけ読むよ、という目印にしていただけると嬉しいです。

前回までのリンク

プロローグ的な個人の衣装観みたいな其の1はこちら

チーム現代人の衣装についてとCAFEBIANCAについてを書いた其の2はこちら

チームお化けちゃんズとメインキャストの衣装についてを書いた其の3はこちら

プロト・ステージについて書いた其の4はこちら

個人別第一弾、メイとモームについてはこちら

個人別第二弾、女主人とイムについてはこちら

このnoteに書いていくキャストたち

今回からはしばらくお化けちゃんズです!
最初は、黒猫・人形・死神の3人を書いていこうと思います。
お化けちゃんズの中でも、少し立ち位置の違う3人です。

早速衣装note個人編No3始めます

黒猫プルートォ:吉川種乃

CAFEBIANCA2023
CAFEBIANCA2022

女主人のお供の猫ちゃん。
過去にメイが拾ってきた黒猫。

種乃さんも2022年から同じ役を続投された一人です。
衣装は基本路線は変えずにアップデート、その分メイクの印象を一新しました。

背が高くてすらっとした体型の種乃さん。
手足も長いのでサロペットタイプ+襟が高めのものという構成は2022年から変えていません
猫はこう、縦にビローンとなるのそのビローンがサロペットのつながりで表現できるといいかなと考えてセレクトしました。
その考えが種乃さんの持つキャラクターや体型などの個性に見事マッチしたので良かったです。
襟を高めにしたのは、黒猫の黒の面積を大きくしたかったという面がまず最初にあり、それを種乃さんの動きにはめてみた時に首が短く見えたり、動きに差し障ったりすることがなさそうだなと感じたので採用です。

2022年Verストレッチチュールの様な軽い素材のタートルネック&お袖がひらひらしたデザインのものでしたが、2023年リボンタイのパフスリーブブラウスを少し加工。
リボン部分に赤いレースを入れて、袖口にも同じレースでひらひらを付けました。
今回のほうが、お化けであり過去は普通の猫ちゃんであった。
というところに重きを置いたような気がします。
それは女主人のバランスが変わったことも影響していますが、お化けになった時の姿をキャラ立てることによって普通の猫のシーンはお客さんが思いをはせる部分があるかな、みたいなところですかね…。
正直少し感覚的なところはありますが、背中の面がほぼ黒なのは四つ足歩行を見越したものです。
いや、正面も黒じゃん、と思うかもしれませんがなんというか赤いリボンとメイク的なインパクトが正面のほうが強いかなという…そういうことです。

2022年で正面に使用していた黄色を背面に、素材もレースにしたのは、
赤いリボンを正面で使いたくなったというところもありますが、背中の毛流れに見えそうな部分(実はレースの重ねを猫の毛流れ的な重ね方しています)とか、私のデザイン的にこの作品において黄色=月の光の様な使い方をしているので、月明かりはポジション的に背中に背負ってもらいたいかなという思いです。女主人さんのお供ですからね、黒猫ちゃん。

猫ちゃんのファー素材は、手袋と尻尾を模したウエストマークのデザインに採用。また、少しファーの素材を変えてサロペットの裾に入れています。
裾のファーは、少し軽めの素材を使用して動きが出るようにしました。
お化けの軽さが足元に欲しいなと前回思ったので、今回リベンジです。

全体的に、品のあるつくりに黒猫はなっているのですが、これは種乃さんの持つ個性と女主人のお供であること、そして一番大きいのは
冥界の王プルートォとしてモームと対峙するシーンがあるからですね。
そこに説得力がないとお話がぶれてしまうので、かわいいだけじゃない猫の印象を持たせています。

さてヘア&メイクです。
2022年は髪の毛で耳の様なハーフツインお団子を作り、メイクは黄色シャドウ+黒ラインの組み合わせでした。

今回はそれをベースに、アップグレードしました。
耳は背中とおそろいのレースで、女主人さんとおそろいヘアバンドデザインで作りました。毛玉が根元についている&実は赤いお花もついています。
髪の毛は、ひげややんちゃに遊んで毛が跳ねているようなイメージで、小さい毛束をたくさん作って動きを出しました。
私自身が、結構この髪の毛を遊ばせるヘアメイクが好きです。

メイクは、今回私からのオーダーでの変更はキャットアイラインを長めに&まつ毛バチバチでという二つをお願いしました。
その2つのオーダー+αを種乃さんが役柄に合わせて最大化して下さ異ったものです。
アイシャドウの黄色も色がはっきり出て、チークや鼻の頭のポイントカラー、ノーズシャドウなどが2022年より猫っぽさを強めてとてもかわいかったです(感想)
アイラインを使ってまつ毛を書くメイクは、ポイントになって非常に良いです。マスカラやつけまつげとは異なった効果を出せるのでみなさんもぜひやってみてください。

人形マーガレット:白夢

CAFEBIANCA2023

娼館ではたらくマーガレットが大切にしていた人形が人格をもったお化け。
マーガレットはメイのお友達でした。

2023年で初めましての白夢さん。
いや、もう彼女自身がお人形のような方でして。

写真にも写っていますが、人形はマーガレットの大切にしていた物理人形さんと同じ服を着ています。
これは2022年も同じなのですがこの人形実はもう一人候補の子がいまして、白夢さんにどちらの子のほうがしっくりくるか選んでいただきました。その結果2022年のこと同じ子が採用されましたが、衣装は同じまま使いまわしたわけではなく、実はほどいてすべて作り直しました。

同じデザインでも、着る人の体型やイメージによって人形と同じに見える形は違います
白夢さんが着た時に、物理人形ちゃんと同じように見える形に作り替えたのです。
袖のドレープを寄せる量、スカートの長さとかボリュームを一から見直して組み立てていきました。
リボンの大きさも、一番ポイントとして映える大きさにしたり、結構繊細な作業で実はかなり苦戦しておりました。
何しろ私、どちらかというとデザインやスタイリングのほうが得意としていて、裁縫技術が高いわけではないのです。
なので技術面に関しては作りながら向上させている面が多く、人形さんには2回分成長させていただいた気がします。

今回は鍵の管理役を人形が請け負っていたため、ベルトを強めに作って鍵を支えられるように作り、物理人形ちゃんにもミニチュアカギを白夢さんからお借りして付けました。おそろいです!

物理人形ちゃんと違うのは、白夢さんには白いタイツを履いていただいたことです。
人間の肌の色のままでもよかったのですが、白夢さんは白いタイツはいたほうが物理人形に近くなるような感覚がありました。
白夢さん自身もとても白くてお肌綺麗なのですよ、でも、なんでしょうね、フィクションの世界を足したくなった、というのが正しいかもしれません。それにつながるかもしれませんが、根本的に物理人形と同じデザインのものを人間に作ってしまうと、人形に見えないんです。
人間が人形に見えるには、という観点も2022年からテーマとして私の中にあるものです。

ちょっと写真ではわかりにくいと思いますが、人形は物理人形ちゃんと若干色合いが違います
色を濃い目で作っているのですが、それは物理人形ちゃんは150年の時の流れの中で、たばこのやにやほこりや光に当たって、色褪せたりくすんだりしてきているだろうと思い、人形ちゃんの姿はマーガレットが人形を手にした時の色、というのをテーマにしています。
白夢さんが2022年のカラーで似合っていたので、特に大きく色合いは変えませんでしたが、実は一か所濃淡を変えている場所があります。
私がこっそりわかるレベルですが、変えてよかったように思います。

ちなみに物理人形は筆者が30年位共にしているもので、実際30年の時の流れの中で色褪せてきたように思います…。
後!七不思議なんですが、物理人形ちゃんは人形役の人に合わせて表情かな?顔を変えている説がありました。
今回も白夢さんにそっくりになった、と言われていて(私もそう思います)彼女も女優なんだなと思いました。
ちなみに今までの約30年と公演が終わった今は筆者に似ています。
何だろう、物理人形ちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

ヘア&メイクですが、メイクに関してはもう色の感じだけ指定して白夢さんにお任せしました。
物理人形ちゃんはお化粧っけのない子なのです。
実は、こんなにキャラクターを立てた舞台ではありますが、メイクに一切カラコンやつけまつげを使用しておらず、唯一使用しているのが人形だけです。というか、人形以外は使わないでとお願いしています。
それは、兎団の標榜している「80年代の小劇場の薫り」という部分を消したくないからです。
今主流の2.5次元的なキャラクターを作るところと一線を引きたい思いから、化粧の方法でビジュアルを創り出すことに力を入れています。

人形がそこから外れるのは、人形だからです。
あえて人間っぽさを消すことで引き立つものがある場合は、使用するのは大ありだなと考えているからです。
そして白夢さんバランスがとても上手でした。

ヘア…はもう、ストレートのウイッグを巻きました
女主人立夏さんが!
人間の髪と違い、ウイッグを作りこむのはえらく本当に大変で、
私一人ではかなえられませんでした。
髪色も寄せたいし髪形も同じにしたい、でも地毛でお願いするには範囲を超えているし、セットの時間も本番ごとにやるにはかかりすぎる…
の悩みを一気に解消していただきました。
私はやりもしないのに、こんな感じがいい、とかと要望を言っただけです。
ありがとうございました。
格闘の記録は立夏さんのTwitterにあります。
公演期間中のメンテナンスも全部やってくれました、感謝。

後は白夢さんにいい感じに毎回つけていただいたのと、扱いが非常に上手で、上演中にどんな激しいシーンを経ても綺麗な髪形のままいていただけたのに感動しています。

死神:白須花恵

CAFEBIANCA2023


CAFEBIANCA2023

娼館に棲みつく死神。ドアの向こうのノック音にご注意を…

花恵さんも2022年から同じ役を続投された一人です。
衣装は基本路線は変えずにアップデートメイクを少し挑戦的なものにしました。

花恵さんはしっとりとした佇まいと高身長という何とも綺麗な印象を持った役者さんで、死神役に決まった時点でたくさんレースを使った衣装にしようと思っていました

元にしているのは、ベロアとレースが主体のアンティークロングワンピースですが、花恵さんが着ると全くロングじゃなくなるので裾にさらにレースを足しました
2022年足したレースもスカートに合わせて広がったように足していたのですが、2023年は少しドレープを寄せたストレートラインに変更してみました。
似非マーメイドラインの様にして、縦の方向が強く出る感じにしたかったので、横は縫い留めずスリット型にして動きに制限が出ないようなデザインです。
そしてワンピースの上に、アンシンメトリーでチュール素材の蜘蛛の巣柄巻きスカートをしています。
全てが黒なのに蜘蛛の巣は白い毛糸で描いていますが、これはポイントとして使いたかった白色蜘蛛の巣に採用しています。
蜘蛛の巣柄なのは、手に持っている鎌に蜘蛛がいるのでそこからインスピレーションを受けています。
あの子たちもお仕事するのかな…

袖口も裾と同じようにレースを追加して、長袖にしています。
元々はおそらく8分丈をもくろんで作られたワンピースだと思います。
長袖にしたうえでレースの手袋をつけていただき、なるべく肌の色は見せず印象を黒に近づけるようにしました。

襟は元のワンピースもスタンドネックではあるものの低めのものでしたので、こちらも後からレースを使用して斜めラインのあるハイネックに形を変更しています。
2023年はこのハイネックを止める部分を、見えるか見えないかは別として白いレースリボンを使用しました。これは蜘蛛の巣の白と理由は同じです。
2022年は普通にホック止めにしていました。
この説明は後の方に。

そして死神さんはマントを演出の中でも使用するため、こちらはビアンカ用に作成した付属品です。
演出としての役割を果たすため、かつつけた時に重くなりすぎないように、黒の透けない軽い素材を裏地に表面はこちらもレースを使用しています。
2022年版は真っ黒でレースが2段階、マント型のものと花びら型に見えるものを重ねたデザインでしたが、2023年度版はその間に赤レースをはさみました

赤をはさんだ理由は、白いレースリボンを採用したのと似た理由なのですが、私は赤を生命の色だと認識しているんですね、最近気が付いたのですが(佐藤の関わった舞台を見ていただいている方にはピンとくるものがあるかも…笑)
そして、白は生と死の間にあるものだと思っている節があるようで、死神さんにその二色を忍ばせたくなったんですね。
白の見解はCAFEBIANCAにおける白の立ち位置ともそんなにずれがないように思えたので、漆黒の死神のポイントカラーとしました。
メイを連れていく死神が、この作品の大切な色である白を身に着けているのもいいのではないかなという発想からはじまっております。

もう一つ印象的にしたかったパーツとしては、ミサベールの様な髪飾りです。
マントやロングワンピースでかなりボリュームのある衣装にさらにベールなどというボリュームが出るアイテムをプラスしているのですが、
花恵さんのスタイルなら、重くならずに着こなせるという勝算があり採用しました。
布の流れを、生命の流れや今までに出会った命の重さに見立てて、
動くと裾が広がったりするドレープも生と死との世界の流れの様な余韻をイメージしています。
書いていて思うのですが、お化けの衣装は人間の衣装よりも私の直感や感覚で作成している部分が多いですね。

死神はメイを冥界に連れて行ったり、メイが忘れ病になりモームが心理的に不安になった時に見えたりとシーン的に人間との対比がよく見えるまた重い存在として現れることが多いので、ご本人の品の良さにプラスして衣装に役割としての重さや、命のはかなさの表現を加えたくて、レースやチュールなどの素材を使用したり重ねたりという視覚効果を誰よりも使っています。

ヘア&メイクは、作りこまないけれどはっきり綺麗目になるようなデザインを意識しました。

髪形は普段の長くてふわっとした印象をそのまま生かしていただきました。
ベールの下から、カールのロングヘアが流れてくるのがとてもきれいで、私的には大変気に入っています。

メイクも、色はベースをグレー系+ポイントに赤という衣装と同じ構成で、
今回のテーマはこめかみまでが目YO-!でした。(by立夏さん)
花恵さんは顔立ちがはっきりしていて、綺麗な二重なのでそれを生かして目の範囲を広く作ってより際立たせてほしいとオーダーしていました。
大きくて切れ長の目が似合います。

また、ハイライトを鼻筋とほほに使用していただいていたのですが、
すごくきれいに発色していて顔の印象が一段怪しげで美しい雰囲気を醸し出しており、2023年メイクは2022年より技術を使用していただいたなと思います。バランスがとてもきれいでした。

花恵さんはとても衣装を気にいっているといってくださっていて、
衣装を生かすメイクや小物のセレクトを色々考えてくれてうれしかったです。靴も2023年はレース+ビジューのついたパンプスと、前回よりも軽い印象になりとてもよかったです。
最初は扱いに苦労していたところもあったと思いますが、本番までに仲良くなれてよかったです!

黒猫&人形&死神編でした

終わりに

この3人はお化けの中でも特殊な立ち位置を持っているという面でも同じポジションなので一緒に紹介させていただきました。
お化けちゃんズは衣装も個性があって、作るの楽しかったです。

詳しいお話は其の3にも記載してありますので、よろしければ併せてご覧下さい。

ありがとうございました。
次回もよろしければ覗きに来てください。
個別紹介、お化けちゃんず編が続く予定です。
…連載の最後はイケメンにしめてもらいましょう…筆者の役かもしれません…

配信視聴チケットも販売を終了しました。
皆様本当にありがとうございました。
視聴期限は11日までです、その間に…全員分頑張ります…あと少ししかない…(現在6/11 20:00)


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