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兎団33 CAFE BIANCA 衣装note 2023/5/17-5/21 其の3

其の3始めます

このnoteに書いていくこと

こんばんは。
衣装note第三弾です。
今回は前回に引き続きチームごとの衣装についてお話していきたいと思います。

前回までのリンク

プロローグ的な個人の衣装観みたいな其の1はこちら

チーム現代人の衣装についてとCAFEBIANCAについてを書いた其の2はこちら

では、さっそく続きにまいりたいと思います…!

チームごとの写真と共に特徴を話す2

娼館に棲みつくお化けたち

CAFEBIANCA2022 配信公演キャプチャ
CAFEBIANCA2022 配信公演キャプチャ
CAFEBIANCA2023 配信アーカイブキャプチャ

お化けちゃんズは役者変更もあり、また役のお化けも変更がありました

2022年度版
写真上
サン=ジェルマン:緋乃ほのかさん  メデューサ:大屋優花さん
グール:青山誠司さん
写真中央
黒猫プルートォ:吉川種乃さん 人形マーガレット:めそさん
死神:おはな*さん スフィンクス:古川ゆかりさん 狼女:藤井悠さん
マンドラゴラ:たにやんさん フランケンシュタイン:松尾武志さん

2023年版
写真下
黒猫プルートォ:吉川種乃さん 人形マーガレット:白夢さん
死神:白須花恵さん スフィンクス:佐藤天衣 狼女:緋乃ほのかさん
フランケンシュタイン:松尾武志さん マッチ売りの少女:伊藤蘭香さん

大枠の設定はどちらも同じで、最高の"食べ時"モームがいる娼館に世界中から集まってきたお化けたちとモームの恋人メイに拾われた黒猫、かつて娼館で働くマーガレットがかわいがっていた人形。
お化けが食べるのは人間のこころ。
世界を包む思い、代表は失恋。

2023年版はお化けそれぞれに役職が付き、キャラ立ちがはっきりしました。
そして役者も変わっている役もあるため同じ役でも衣装を作り替えたり、続投の人の衣装もグレードアップしたりしました。
結果、全く手を入れなかったお化けはいません

どちらの版も、お化けは人間には使用しない特殊生地やレースを多用し、
そして少し現実から離れたシルエットを採用しています。
人型のお化けは、少々人間よりの素材を使いつつもやはりワンポイントのデザインや髪形メイクで差をつけました。

そしてお化けの最大の特徴は、頭飾りをつけること。
人間の皆さんはつけていないんです。
私の最近のテーマは、いかに頭からつま先までデザインするか、で、
CAFEBIANCA2022からは特に注力しています。

お化けのシーンは大勢で躍動感のあるシーンを創る…踊ったり歌ったり
”モンスターダンス”といわれる伝統の見せ場があったりと、
照明も音響も舞台もとても動きがあります。
なので、動いたときのシルエットと照明の明かりが映えるように、音楽に衣装までもがノッているように見えるように、
動きのあるものや色味が映えるもの、光を取り込む素材を取り入れることをいつも意識しています。
そして獣系お化けちゃんはファーを使って獣感出しております。

世界中から集まってきた、という設定があるので、
実は何人かのデザインのベースに民族衣装を取り入れたり、皆様の知っているまま(フランケンとか)のデザインを生かしたりと、
脚本に書かれている世界も大切にしています。
デザインと作成に一番時間がかかっているチームです。

2022年版はお化けも2手に分かれており、写真上チームは主にダミアンカミーユと共に、写真中央チームは主にイム君と行動を共にしていたので、
そのチームごとのバランスと、全体が集まった時のお化けとしてのバランスの両方に気を付けていました。
ここに女主人とモームという、幽霊(お化けではない)チームとのバランスもあるので大変苦労しました。笑
2023年度版は写真の通り1チームなので、その点ではバランスはとりやすかったかなと思います。人数もちょっと減りましたし。

2023年度版お化けちゃんズをもう一枚

あ、2023年度版は染物も複数のパーツに使用しました。
スペシャルサンクス女主人立夏さんです。
2022年度版で兼役で染物を使った衣装を着る人がいた(回想シーン花役)のですが、私がその時大層気に入って今回は個数を増やしていただきました。
ちなみに人形のウイッグ巻いてくれたのも女主人さんです。
これらは、私一人ではかなえられませんでした。

ちなみに、モンスターダンスに怪しい黒づくめの2人のお化けが混ざるのですが、そのワンポイントアクセント小物と人形のリボンは、
スペシャルサンクスイム古川ゆかりさんです。
衣装佐藤、皆さんの特技に生かされております。

長くなったので詳しいポイントとヘア&メイクについてはは個別Verで…
そしてもう一つのこだわりは最後のチームと一緒に紹介します…

物語の核:女主人・メイ・モーム

CAFEBIANCA2022 配信公演キャプチャ 女主人・モーム
CAFEBIANCA2022 配信公演キャプチャ メイ・モーム
CAFEBIANCA2023 配信アーカイブキャプチャ メイ・モーム


CAFEBIANCA2023 配信アーカイブキャプチャ 女主人
CAFEBIANCA2023 配信アーカイブキャプチャ メイ・モーム2
CAFEBIANCA2023 配信アーカイブキャプチャ 女主人2


3人とも役者は2022からの続投です。
画家アルトン・モーム:斉藤可南子さん
モームの恋人メイ:琴音さん
女主人:立夏さん

売れない風景画家モーム、酒浸りでふらふらしているところを娼館の女主人に拾われて居候、そこで出会ったメイと幸せに暮らすはずが…
というところで、物語の主人公たちです。

メイとモーム、衣装は実のところ2022年版と2023年版とで大きく変えていません
特にメイは2022年の時点ではまり具合が大変良かったので全く変更せず行きました。メイは娼婦時代とモームと暮らし始めた以降で衣装を変えていますがこれも2022年版から変わらずです。
モームと暮らし、そして絵になるメイのワンピースは、実はプロト・ステージのメイと緩くつなげたデザインのものを選んでいます。
メイは幽霊にはならない、本当に150年前生きていたメイとしてこの世界にいるのですべて既製品で揃えました。
そしてお化けのところで書いたように、人間なので頭飾りはつけていません。

ヒロインがロングワンピース、これは時代と衣装さんの好みと、役者さんの似合うものの3拍子で決めました。
娼婦時代もロングなのですが、この時代はそうだったと思います。
ネグリジェのような、スリップのような、そういうものを彷彿とさせるようなものを使用しています。
ここで使われているレースや特殊生地の意味はそこにあり、お化けのレースとは使用法が少し違います。違うように使おうと意識しています。

モームも着用したものは全く変えていないのですが、こう、もう少しダメな男に見せたくて、2023年版はスカーフの結び方やブラウスの着方と汚し具合を変えました
ボタンの閉め方とスカーフの巻き方をルーズにして、ブラウスは背中まで汚し、そして袖も雑にまくっています。

モームは足のある”幽霊”ですが、私の中では少し衣装の法則に人間味を残すことで回想シーンと屋敷を彷徨っているシーンのバランスをとっています。
頭飾りは紐、服も洋服の素材やデザインは人間よりですが、スカーフやベルト等小物にちょっと異素材を取り入れたりすることで、”思い過ごし中学生メイ”と似たような、この世のものではないという提示を衣装では実はしています。

私のこだわりは絶対にモームに白を着せないことです(突然)
”この世の白は偽物だ”という言葉、そんなモームが最初で最後に書いた人物画”ビアンカ”そして”雪”を衣装の佐藤も大切にしたくて。
…モームは世間では(現世です)クズと称されていますが、私の見解は本当にまっすぐな人、です。

そして一番変えたのが女主人
2022年版と2023年版で、稽古初期時点で雰囲気が変わったので衣装も変えようと思っていました。
2022年版は、人間味よりほぼ幽霊よりでデザインしていました。
色も威圧感を感じる黒主体で、紫が入っているのは
一番難しい色を知っているか?というモームの問いに、
紫とか?と女主人が答えるシーンがあるので、それでです。
モームに思いを寄せていることを視覚でも入れてみました。
女主人さんが白いブラウスなのは…そういうことです。
頭飾りはトーク帽。
今考えると2022年度版は少しデザインに150年の怨念がのっている気がしますね…

2023年度版は、モーム同様に人間味を増した形にして色合いを茶系にしました。これは2022年版の配信をみて、色味は茶色系にしたい!という思いがあり、実際似合う色だったので変更したものです(理由は後程)
ブラウスとパンツ、装飾品はほとんど変更せず、上着もロングカーディガンやガウン風というデザインも変えていません。
頭飾りはお花になりました。この物語の重要なモチーフの一つを女主人に…と思い、このお花は本物に近い形でありながら、造花には絶対に見えないものが良かったので和紙で作りました。

そして、演出より過去回想のシーンと物語の現在のシーンで衣装替えが欲しいとオーダーがあったので、紫はそこの転換用に取り入れました。
幽霊になった時のほうがより色味が出るように紫の特殊生地をストールのようにかけ、過去回想のシーンではそれが上着の装飾に見えるようなデザインに決定。早替えが反復横跳びのような瞬間があったので、機構や方法はめちゃくちゃ悩みました

女主人は、3チームの間をつなぐようなバランスでデザインしています。
現在はこの世のものではないが、昔人間だった人。
としてのデザインや素材の使い方を気を付けており、和紙が染物にリンクしていたり、デザインは現代人チームのように人間に近いが、
素材は特殊生地を多く使用することでお化けチームとリンクしていたりと、ルールの合わせ技を一番意識的に入れ込みました

モームとメイは女主人に比べると”過去人間だった”の部分を強く打ち出しています。

この3人、実はメイクも変えたのですがそれは個別のところで…

最後に回した今回の衣装デザインあれこれ…

お化けちゃんズと女主人のところでもったいぶったこだわり…
それは、衣装の色とデザインの大部分とヘア&メイク案を由利さんの照明が入ることありきで考えたことです。

今回照明を担当してくださった由利さんは、本当に綺麗な色や陰影の出る舞台照明を創り出される方です。
劇場や配信で観劇いただいた皆様!特に!
あの回想シーンのセピア色!
そして最後の白の白さ!
そして絵を旅するときのそれぞれの色合い…
あげたらきりはないですが、色や陰影、すべてがすごくいいんです。

これを、どうしても衣装に生かしたかったんです。

由利さんとは何度もご一緒させていただいているので、
前回もそのまた前も、ドレープをよせたり薄い生地を使ってみたり、
あのシーンではこんな色かななどと想像しながら作っていたのですが、
今回は再演!ならばいつもよりももう一歩踏み込めるのではないか、と思いチャレンジしました。

偏光の素材を取り入れてお化けの衣装を作ってみたり、シルバーや石系の光る装飾品を取り入れてみたり、フリンジやドレープのデザインを追加したり…。

過去回想の世界で生きる3人は
セピア色に溶け込んでかつ明かりが物語の現代色に変わった時には全く別の色に見えるような衣装とメイクにしたくて、
女主人の上着の色を変えたり、お花の和紙の色はセピアの照明が当たることでモームのスカーフの色に近くなるように考慮したり、
モームのヘア&メイク案を、照明の違いで幽霊的な表情に見えたり、酒浸りの不健康そうな表情に見えたりするように色やバランスを考慮しました。
娼館時代のメイの羽織物の柄やワンピースのスカートの広がりもそれを意識しています。

お化けはいろんなシーンにいろんな役割で出るので、いろんな照明が当たった時に、色がその都度変わって見えるお化けがいたり、光って見えるお化けがいたり、レースやフリルの陰影が変わって見えたり、広がる裾や頭飾りがいい影を出したりするといいなと思いながら考えて作りました。

逆に現代人の人たちは、いい意味でどのシーンにいても人間たる存在として見えるような衣装、ヘア&メイク案を前回から考えていてそれが前回も成功したなという感じがしたので、基本構成は変えずに今回も採用しました。
そこからずれないよに、より良くするには、を特に意識してアップデートを図ったのが、現代を生きる人間の皆さんだったと思います。

上手くいっていたかな、と全員並んだ姿を見て思いをはせます。

全体のお話まとめ

いかがでしたでしょうか?

すごく長くなりましたが、一気に走り抜けてしまいました。
お付き合いいただきありがとうございます
衣装の全体を意識したお話はここまでです。
次回からは、これを踏まえてではなぜこういう衣装、ヘア&メイクになったのかを個別に書いていこうと思います。
需要のあるなしは、めちゃくちゃ、とても疑心暗鬼ですが…)
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回、お会い出来たらうれしいです。

CAFEBIANCA2023
配信アーカイブチケット発売中!
6/9 23:59まで購入可能
6/11 23:59まで視聴可能
価格:2,000円(配信限定特典映像付き!)
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