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読書日記『アミ 小さな宇宙人』

『アミ 小さな宇宙人』を読んだ。

少年ペドゥリートとアミと名乗る宇宙人との感動のコンタクト体験。宇宙をめぐる旅の中でペドゥリートは、地球がいまだ野蛮な、愛の度数の低い未開の惑星であることを教わる!!世界11カ国語に訳された不朽のロング&ベストセラー。

Amazonより

私は、アミを好きになれなかった。
ペドロがおばあちゃんを心配する気持ちを「心配しすぎだ」と笑うし、アミが信じるモノが正解でペドロが信じるモノは間違いだという言い方をしているように感じたからだ。

こんな気持ちになるのは、私が子どもの気持ちを忘れてしまっているからだろうか。
私が未開文明に暮らす人だからだろうか。

私はアミが説く「未開世界が知らない文明世界の幸せ感」を幸せに思うことができなかった。

・・・

このお話は【愛】が大きなテーマだと思う。
アミもペドロに【愛】の素晴らしさを説く。

私の中で【愛】は全てを包み込む暖かいもののイメージだ。
私の中で、愛があふれる世界とは、誰かのことを否定したりはしないし、日本憲法でいうところの“公共の福祉”に反すること以外は何をしても他人に白い目で見られない世界だ。

“愛を知る文明世界”は競争やエゴ、野心も存在せず、みなが兄弟であり家族で今を楽しんでいる世界らしい。
それは私の中で“愛を知る世界”ではないのだ。私の考える“愛を知る世界”は競争もエゴも野心も受け入れられる世界なのだ。

・・・

頭の脳と心の脳のバランスが大切だとアミは言っていた。
アミは地球人のことを頭の脳のバランスが強いと説く。

物語の途中、アミは文明世界であるオフィル星というところに連れて行ってくれた。
私は彼らを見て、彼らは心の脳にバランスが傾きすぎているように感じた。アミは、このオフィル星こそ地球が目指す姿という。

私は、考えることが好きだ。
こうして、本を読んで考えたり、感想文の文章を考えたりするのも好きだ。
仕事をどうすれば効率的にできるかも考えるし、幸せってなんだろう?私は何がしたいんだろう?と漠然としたことも考える。お勉強だって自分の知らないことを知れるのは楽しい。

文明世界の人は頭の脳を使わないから競争やエゴがないのでは?とも思ってしまった。

どのバランスが“バランスがいい”に相当するのかの相違が私とアミの中である気がするなと感じた。

・・・

もちろん、アミが説く生き方や、考え方の中に“大切にしていかなきゃいけない”と思うものもあったし、その考え方はなかったと思うものもあった。

しかし、私の中にストンと落ちてこなかったものが多かったのも事実。

アミは「われわれの最大の幸福は、ひとに奉仕し、援助すること、そしてひとの役に立っていると感じられることによって得られる」と言う。それこそエゴイズムではと思うのはおかしいだろうか?

楽しい時とツライ時、両方あるから幸せがあるのではないだろうか?
人はそれぞれ違った正義があるから楽しいのではないだろうか?
コンピュータに制御される世界は幸せなのだろうか?
人の生きる意味とはなんだろうか?

アミはペドロに、この出来事を本にするように言ったらしい。
アミはこの物語を地球という未開人に読ませていったい何を伝えたかったのだろうか。

私の愛や幸せは間違っていたのだろうか。

『アミ 小さな宇宙人』
エンリケ・バリオス 著
石原彰二 約 さくらももこ絵


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