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ショートorロングスリーパーとは、睡眠と血圧、魚と炎症、睡眠時無呼吸とがんと血栓、コーヒーの心血管リスク、入浴の健康作用、ジェットコースターと結石と脳脊髄液、うつと食生活、精神疾患の罹患率|10/12(木)〜17(火)医学論文&健康関連ニュースまとめ

10/12(木)〜17(火)にラハール公式X(Twitter)で紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

https://twitter.com/rahall_jp




ショートorロングスリーパーとは

『健康的にショートスリーパーになれる人などいない』
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/403964/101100152/

✅睡眠障害国際分類の定義:睡眠時間が、ショートスリーパーは6時間未満、ロングスリーパーは10時間以上
✅睡眠不足の6時間未満睡眠の人は、ショートスリーパーではない
✅必要睡眠時間は遺伝的に決まっている

✅睡眠時間が短くても不調なく過ごせる人は、5時間未満の人で100人のうち0.7人、5〜6時間の人で100人のうち3.5人しかいない
✅不調がないと感じている人でも実際の健康状態の悪化に気づいていない人も含まれると考えられ、真のショートスリーパーは更に少ない

💭若いうちから「自分はショートスリーパーだ」と短い睡眠時間で長年過ごしてこられた方は、ほぼほぼ皆さん、中高年以降になって体の不調が現れてきてしまっています。本物のショートスリーパーの割合は非常に少ないので、「自分はそうではない可能性が高い」と思って、8時間前後の睡眠時間を取るようにしていただけたらと思います😴

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【論文紹介】短時間睡眠と高血圧


『Sleeping Difficulties, Sleep Duration, and Risk of Hypertension in Women』

女性の睡眠時間などと血圧の関連を調べたら、睡眠時間が7〜8時間の女性と比べて、それより短い睡眠時間の女性は高血圧のリスクが高かったよという論文です。6万6122人を16年間追跡調査しました。

睡眠時間が7〜8時間の女性との比較で、睡眠時間が5時間以下の女性は高血圧リスクが1.1倍高くなっていました。
また、入眠困難または睡眠維持困難の女性は、高血圧リスクが1.14倍でした。

睡眠不足のスクリーニングは、高血圧になるリスクの高い人を特定するのに役立つ可能性がある、と著者は述べています。

💭睡眠時間が短い女性は高血圧になりやすいということですから、将来の病気の予防のために、家事を減らすなどして睡眠時間を確保することが大事ですね。特に、血縁のある身内に高血圧の人がいる女性は、睡眠により気を配っていただければと思います😴

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【論文紹介】魚食の抗炎症作用



『Higher frequency of fish intake and healthy lifestyle behaviors may be associated with a lower platelet count in Japan: Implication for the anti-atherosclerotic effect of fish intake』

魚をよく食べる人は血小板数(炎症マーカー)が少なく、より健康的なライフスタイルだったよという日本の論文です。アテローム性動脈硬化性心血管疾患の既往の無い9,329人が調査されました。

1週間のうちに魚を食べる平均頻度は2.15±1.28日でした。魚を食べる頻度が上がるにつれて、血小板数が有意に減少しました。
他に、有酸素運動時間と睡眠時間が多いことは、血小板数が少ないことに影響していました。

魚に豊富に含まれる、抗炎症作用のあるn-3系多価不飽和脂肪酸=n-3 PUFA(エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA))の摂取も、血小板数の低下に関連している可能性があるとのことでした。

アテローム性動脈硬化性心血管疾患リスクに対し、魚の摂取は予防効果がある可能性があります。

💭運動や睡眠にも気をつけつつ、n-3系脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)の抗炎症作用を活用するために、魚を定期的に食べて行けると良いですね🐟 魚が苦手な方は、えごま油や亜麻仁油などの植物性オイルからn-3系脂肪酸を摂取しても良いかもしれません🌿

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睡眠時無呼吸とがんと血栓


『睡眠時無呼吸は、がんと血栓症の危険因子』

✅閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、がんと静脈血栓塞栓症のリスクを上げる
✅OSAに伴う間欠的低酸素血症ががんと関連、がん発症者はOSA重症度が高い傾向

✅無呼吸低呼吸指数(AHI)と夜間低酸素血症マーカーで評価した閉塞性睡眠時無呼吸重症度が高いほど、静脈血栓塞栓症リスクが高い
✅動脈血酸素飽和度が90%未満の時間が睡眠時間の6%を超えると、静脈血栓塞栓症リスクが2倍になった

💭睡眠中に気道が閉塞し息が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、その状態になっているかどうかは、いびきや昼間の眠気、起床時の頭痛などによって気付ける場合があります。そうした症状があったり、下記のOSAになりやすい人の特徴に当てはまる人は、OSAに罹患していないかチェックしてみていただけると良いと思います。

😪睡眠時無呼吸症候群が疑われる人の特徴
✔️肥満
✔️小さいあご、小顔
✔️太い(短い)首
✔️男性・閉経後の女性
✔️加齢
✔️家族歴(遺伝)
✔️鼻づまりなどの鼻症状
✔️アルコール・睡眠薬
✔️たばこ
✔️アデノイドや扁桃肥大
✔️口呼吸
✔️舌が後方に落ち込む
https://mukokyu-lab.jp/sas/characteristic.htmlより引用)

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【論文紹介】コーヒーの心血管疾患リスク


『Coffee and Green Tea Consumption and Cardiovascular Disease Mortality Among People With and Without Hypertension』

コーヒーを1日に2杯以上飲んでいる高血圧の患者は、コーヒーを飲まない人と比較して、心血管疾患(CVD)による死亡リスクが2倍だったよという日本の論文です。40歳〜79歳の18,609人が18.9年追跡調査されました。

グレード2〜3のより重症な高血圧患者は、コーヒーを飲む量が1日1杯以下の場合はCVDリスク上昇はありませんでしたが、2杯以上の場合に有意なCVDリスク上昇が見られました。

健常者の場合は、コーヒーの適量摂取により、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などの作用によって、コレステロール値低下や血管内皮機能改善、炎症の低減などの効果が得られます。一方で高血圧患者はカフェインの感受性が高いため、その悪影響が良い作用を上回ってしまうと考えられます。

この研究では他に緑茶の摂取についても調査されましたが、緑茶についてはどの血圧のレベルであっても、CVDリスクの上昇との関連はありませんでした。

尚、先行研究では、緑茶の摂取は血圧を低下させ、全死亡リスク及びCVD死リスクを低下させることが報告されています。この作用は緑茶に含まれるポリフェノールのエピガロカテキンガレートによるものと考えられます。

💭コーヒーと緑茶はどちらもカフェインを含む飲み物として一般的に飲まれていますが、心血管疾患に関しては、より健康的な飲み物は緑茶と言えそうです🍵コーヒーを飲む場合は、量を摂りすぎないようにしたり、ノンカフェインコーヒーにすると良いかもしれませんね☕️

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【論文紹介】浴槽入浴の健康作用


『Habitual Hot-Tub Bathing and Cardiovascular Risk Factors in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus: A Cross-Sectional Study』

湯船に浸かる入浴(浴槽入浴)の頻度が高い2型糖尿病患者は、HbA1c(血糖コントロールの指標)や拡張期血圧とBMIが良好だったよという日本の論文です。2型糖尿病の1,297人が調査されました。

患者は入浴頻度別に、週に4回以上入浴群、週に1回〜3回入浴群、週に1回未満入浴群の3つのグループに分けられ比較されました。結果、入浴頻度が高いほど、2型糖尿病の改善につながる可能性が示されました。

温熱療法としての浴槽入浴は、2型糖尿病の心血管疾患の抑制に役立つ可能性があり、そのメカニズムとしては、入浴による体温上昇や血流及び血管内皮機能の改善、インスリン感受性の亢進などが考えられる、と著者は述べています。

💭浴槽での入浴が血管系や血糖コントロールなどに良い可能性があるということですので、シャワーだけで済ませずに、なるべく湯船に浸かってしっかり温まっていただくと良さそうですね。ぬるめの温度でみぞおちから下を湯に漬ける「半身浴」を行うと、心臓への負担が少なくてより良いのではと思います🛁

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ジェットコースターと尿管結石


『ビッグサンダーマウンテンに乗って尿管結石が出た人続出 』

✅2018年にイグノーベル医学賞受賞の尿路結石治療に関する研究
✅座席の位置により排石率が異なり、先頭座席では12.5%、最後部座席では63.9%

✅患者が実際に排出した3種類の大きさの結石を、シリコン製の腎臓の模型に入れ、模型を入れたバックパックを持った研究者がジェットコースターに搭乗
✅先行研究では、ヨガにより尿路結石を排出可能という報告も

💭苦痛なく楽しく結石が出せるというのは良いですね。将来、尿路結石患者にジェットコースターに乗ることが処方されるようになるのかも?🎢
ただし、ジェットコースターは脳脊髄液漏出のリスクがあることが他の研究で示されていますので、そのリスクが高い人は要注意です🧠

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【論文紹介】ジェットコースターで脳脊髄液漏出


『Headache and Dizziness after Roller Coaster Rides: A Case Series of 31 Patients』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36329659/

ジェットコースターに乗ると、人によっては脳脊髄液が漏れる恐れがあるよという論文です。ジェットコースターを乗った後に頭痛やめまいのあった成人患者31人が調査されました。

患者31人のうち25人(81%)が新規の頭痛の発症または元からある頭痛の悪化を示し、その25人のうち15人は片頭痛で、うち8人は慢性片頭痛でした。25人のうち5人(20%)は、脳脊髄液の漏出がありました。

💭慢性の片頭痛持ちの人は、ジェットコースターに乗ることは止めた方が安全かもしれません。また、脳脊髄液漏出は頭部の外傷によっても起こるため、頭の怪我をしてからあまり日が経っていない人も、ジェットコースターは避けた方が良い可能性があるのではと思います🎢

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うつと食生活

『「うつ病と食生活」の密接な関係について「知らなかった」人が7割以上!』
https://m-eiyou.com/relationship/questionnaire.html

✅「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係があるといわれている」ことについて「知らなかった」回答者は72.8%
✅「うつ病は普段の食生活による栄養状態と深い関係がある」ことを前提に「食生活の改善に取り組みたいと思うか」という問いには、回答者の70%が「取り組みたいと思う」と回答

✅加工食品は、ビタミンやミネラル、食物繊維といった食材が本来持つ栄養素が精製・加工の段階で失われている
✅エネルギーの摂取過剰の一方で、必要な栄養素は欠如
✅肉が中心の欧米型に食生活が変化し、魚由来の油(DHAやEPA)の摂取が減少傾向にあることが、心身の健康へ影響

✅偏った食生活から生まれる肥満、メタボ、糖尿病などの身体的な問題は、うつ病発症リスクを1.5倍に高める
✅葉酸をはじめとするビタミンや亜鉛などのミネラルの不足もうつ病の発症リスクに影響を与える
✅栄養バランスの乱れが、うつ病をはじめとしたメンタルヘルスの問題を引き起こすトリガーになる

✅60%の医師が「うつ病の改善には、従来の治療に加えて食生活の見直し・改善が大切」と回答

💭体の健康と心の健康は繋がっていますから、そのどちらにも良い食生活をすることで、まず肉体の健康状態が底上げされ、その後に精神の健康状態が向上し、またそれによって肉体の状態が改善し、更に精神状態が良好になる、という良いループを作っていけると良いのではと思います🧠🍱

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【論文紹介】精神疾患の罹患率


『Age of onset and cumulative risk of mental disorders: a cross-national analysis of population surveys from 29 countries』

https://www.thelancet.com/journals/lanpsy/article/PIIS2215-0366(23)00193-1/fulltext

世界29ヵ国の男女156,331人を対象とした調査で、75歳までの間に、約半数の人は何らかの精神疾患に罹っていたよというハーバード大学の論文です。発症年齢の中央値は、男性では19歳、女性では20歳でした。

最も一般的な精神疾患は、男性はアルコール使用障害と大うつ病性障害(うつ病)、女性では大うつ病性障害(うつ病)と限局性恐怖症でした。

💭精神疾患というと「心が弱い一部の人だけがなるもの」というスティグマ(偏見)がまだ一般的ですが、世界精神保健調査でも日本人の5人に1人は生涯に一度は罹患するとされており、実は身近な疾患です。今現在は精神疾患ではない人も、「私は大丈夫」とは思わずに予防に取り組んだり、現在罹っている人をできる範囲でサポートしたりできると良いですね😌

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