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睡眠時無呼吸とがん、父親の育児と子のメンタルヘルス、イチゴ畑のマイクロプラスチック、菜食とコレステロール、手持ち花火で喘息発作、清涼飲料水と肥満、腸内細菌と炎症性疾患、ダイエット飲料の“非”ダイエット効果、ハーブで呼吸機能改善|7/25(火)〜7/29(土)医学論文&健康関連ニュースまとめ

7/25(火)・27(木)・28(金)・29(土)にラハール公式Twitterで紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

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【論文紹介】睡眠時無呼吸とがんリスク


『Does OSA Increase Risk for Cancer?: A Large Historical Sleep Clinic Cohort Study』

オーストラリアの大規模な睡眠クリニックコホートで閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とがんの発生率の関連を調べたら、OSAの重症度とがんの罹患率は関連していたけど二次的なものだったよ、夜間低酸素血症はこれのみで有病率と関連していたよ、という論文です。

💭OSAとは睡眠時に喉が閉塞して呼吸が一時的に止まる病気で、低酸素状態になります。これが夜間に起こり動脈血の中の酸素が不足すると夜間低酸素血症になります。これらは肥満であったり、仰向けで寝た時に舌が喉の方へ落ち込んだりすると起こりやすいので、減量や舌の筋トレに取り組むと良いですね👅

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父親の育児と子のメンタルヘルス


『父親が育児関わった子ども 思春期の精神不調リスク 低い傾向に』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230113/k10013948161000.html

✅育児に父親が関わることが多いと、思春期の時点の子のメンタルヘルスが不調になりにくくなる
✅18,500人の子供のいる世帯で、父親の育児への関わりと子の思春期での精神状態を調査
✅子供が6ヶ月時点での父親によるおむつ替えや入浴などの関わりを、いつも又はときどきする場合とほとんど無い場合とでは、16歳時点の精神状態の不調リスクが前者で10%低かった

💭育児をしないということは、子供にとっては親が自分に無関心ということですから、父親が主体的に育児を行うことは大事ですね。この知見が広く共有され、就労環境含め、男性が育児に取り組む環境の整備が進むと良いと思います👨‍🍼

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イチゴ畑のマイクロプラスチック


『Bitter Harvest: The Dirty Little Secret of Strawberry Fields(苦い産物:イチゴ畑のきまりの悪い秘密)』
https://scitechdaily.com/bitter-harvest-the-dirty-little-secret-of-strawberry-fields/

✅イチゴ栽培に用いられるプラスチック(ビニール)マルチフィルムは、大量のマイクロプラスチックを発生する
✅マイクロプラスチックは数十年以上土壌に残る可能性がある
✅イチゴ畑の表面だけでも、1ヘクタールあたり213,500個のマイクロプラスチックを発見
✅マイクロプラスチックの混入は土壌の質に悪影響であり、マルチを使用した農法の持続可能性に疑問符
✅プラスチック汚染レベルが増加すると、土壌水分含有量,微生物の呼吸,植物が利用する窒素がそれぞれ減少
✅マイクロプラスチックのほとんどはポリエチレン
✅生分解性プラスチックマルチや、藁などの天然マルチを使用する代替手段もある

💭一度土壌に混ざってしまったマイクロプラスチックは、海のそれを同じように、除去することが非常に困難です。土壌への影響、そして人体への影響を考えると、なるべく生分解性マルチや藁マルチ、籾殻マルチなどの、環境負荷の少ないマルチの利用が増えると良いなと思います🍓

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【論文紹介】菜食とコレステロール値


『Vegetarian or vegan diets and blood lipids: a meta-analysis of randomized trials』

血中脂質値に対する菜食(ベジタリアン食やビーガン食)の影響を調べた、2,372人の参加者を含むRCT30件のメタ解析で、一般的な食事を菜食に変えると、LDL(悪玉)コレステロールと総コレステロールが低下したとのことです。

ベジタリアン食やビーガン食は、動脈硬化を防止し、それによって心血管疾患のリスクを軽減する可能性があります。

💭肉類多めの食事だった方が、病気などをきっかけに菜食やそれに近い食事に変えると、体の状態がグンと良くなる、という事例は多く見て来ました。菜食と並んで健康的とされる地中海食でも同様の効果が得られる可能性があり、コレステロールが気になる方は特に、どちらか試してみると良いかもしれません🥗

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手持ち花火で喘息発作


『花火で遊んだ後の「ゼエゼエ」に注意』
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20230727-00359352

✅手持ち花火の煙が、呼吸器系の弱い子供にはリスクに
✅花火の煙に含まれる過塩素酸カリウム、炭酸ストロンチウム、硫黄、鉛、PM2.5などが発作を引き起こす場合がある
✅海外では重症の発作で死亡例も
✅夏に症状が出やすいイネ科やキク科のアレルギーのある子供や、親が喫煙者の子供は特に注意
✅花火で遊んでいる間だけマスクをするのは発作の予防になる
✅風上に立つと煙を避けやすいので、立つ位置を大人が誘導すると良い

💭花火は夏休みの思い出として、特に記憶に残る楽しい遊びだと思います。周りの大人が環境を整えることで、呼吸器系が弱い子供さんでも安全に楽しませてあげられると良いですね🎆

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【論文紹介】清涼飲料水と子供の肥満


『Consumption of Soft Drinks and Overweight and Obesity Among Adolescents in 107 Countries and Regions』

107の国と地域の40万5,528人の学校に通う年齢の子供を対象とした研究で、ソフトドリンクの摂取が過体重や肥満と関連していたことが分かりました。青少年の過体重や肥満を減らすために、ソフトドリンクの消費量を減らすことは優先事項だと著者は述べています。

75か国の成人を対象とした先行研究でも、ソフトドリンクの消費量が1%増加するごとに、過体重と肥満が4.8%増加することが示されています。

💭甘い飲み物は心をホッとさせてくれるものですが、飲み過ぎると肥満のリスクが上がり、それによる健康リスクも上がることになります。たまに「どうしても飲みたい!」という時だけは飲むにしても、普段のそうではない時は、他のお茶などの飲み物にしておくと良いと思いますね🍹🍵

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【論文紹介】腸内細菌の多様性と炎症性疾患


『Prokaryotic and viral genomes recovered from 787 Japanese gut metagenomes revealed microbial features linked to diets, populations, and diseases』

日本人787人の腸のバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)を調べたところ、特定のファージ(crAss-like phage)が関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患と関連していることが分かりました。

crAss-like phageが少ないことと、関節リウマチなどの疾患発症に関連がありました。また、このファージと腸内細菌の多様性の間に正の相関があったとのことです(細菌の多様性が多いほどこのファージもたくさん存在する)。

💭腸内細菌はその量だけでなく質や多様性も大事だと言われます。菌の多様性を生み出しキープすることで、関節リウマチなどの予防や治療に繋がるかもしれません。腸内環境をより良く保つために、腸活・菌活に取り組みたいですね🦠

(この論文では他にも、日本人の腸に特異的な細菌や遺伝子についてなど、様々な内容が報告されていますが、今回は疾患にかかわる部分にフォーカスして紹介しました。)

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【論文紹介】ダイエット飲料の“非”ダイエット効果


『Effects of replacing diet beverages with water on weight loss and weight maintenance: 18-month follow-up, randomized clinical trial』

6ヶ月のダイエット中に、ダイエット飲料を飲んだ群と水に置き換えた群を比べたら、その後の12ヵ月の追跡期間後に、水を飲んでいた方が体重減少が大きかったよという論文です。飲水群ではインスリン抵抗性の改善も見られました。

💭ダイエットをしたい場合、そしてダイエットで減った体重をキープしたい場合は、ダイエット飲料を飲むよりも水を飲んだ方が良いかもしれません。ただの水では味気ないという場合は、果物やハーブでフレーバーウォーターを作って飲むと、美味しくてヘルシーですね😋🍹

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【論文紹介】ハーブの呼吸機能改善効果


『Efficacy of Herbal Medicines on Lung Function in Asthma: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials』

喘息の標準治療にハーブの製剤を追加してみたら、呼吸機能(1秒率)が大幅に改善したよという論文です。この効果は小児より成人で顕著だったとのことでした。イランのシステマティックレビューとメタ解析です。

ハーブの喘息への作用機序としては、気道炎症の阻害、ロイコトリエン(気管支を収縮させる物質)合成の阻害、腸での炎症抑制など、さまざまなものが関連していると考えられるようです。また、ハーブに含まれるポリフェノールによる肺機能向上効果についても言及されています。

〈調査に含まれたハーブや漢方薬など〉
Nigella sativa ニオイクロタネソウ
Crocus sativus サフラン
Zingiber officinalis ショウガ
Berry fruit polyphenolic extract ベリー系果物のポリフェノール抽出物
Magnoliae Flos シンイ(辛夷)
Aegle marmelos ベルノキ
Passiflora edulis パッションフルーツ
Saiboku サイボク(漢方薬の柴朴湯)
Sophora flavescens クララ(クサエンジュ)
Soy Isoflavone 大豆イソフラボン
Drimia maritima カイソウ(海葱)
Curcuma longaウコン
Viola odorata ニオイスミレ

💭イランではハーブが喘息の治療に長く使われて来たそうで、そうした伝統的な薬の有効性は、世界のさまざまなところで明らかになりつつあります。今後も伝統医薬の研究から目が離せません👀

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