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かぎかっこ宇宙の端と端にある

 現代川柳と400字雑文 その58

 通常かぎかっこは「おはよう」というふうに使われるが、これを」おはよう「としてみるとどうなるだろう。おはようを括るのではなく、この世に存在しているおはよう以外のすべての文字を括るイメージだ。おはようという4文字を際立たせるための修辞、という観点で言えば、どちらも似たようなはたらきをしていると思う。しかし後者の場合、膨大な宇宙にぽつんとおはようが漂っているイメージを感じられておもしろい。しかしこの表記には致命的な欠点があり、本来の用法で用いられたかぎかっこをはじめ、その他の句読点、役物と混在するとわけがわからなくなる。たとえばここで、」りんご「という表記によって、書き手が作り出した思弁的な宇宙空間(仮に《宇宙》と呼ぶ)に「りんご」すなわち【赤】を漂わせる(漂流させる!)ことができたとしても、それは」赤「という表記をもって《宇宙》に「りんご」(ところでアダムとイヴが “食べた”のはりんごでは無かったそうだ)を漂わせたことにはならないのである。は?

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