会いたいけど会えない人へ

会いたいけれど会えない人へ。

僕は悪い人だ。

僕を優しいとか温厚だとか
勘違いする人が多数いるが、
僕は決してそんな人間ではない。

たまに見る夢。
「俺を覚えてるか?」と僕に問い、
続けて「お前のことを一生恨む」と言う。

その目は憎しみに満ちているのに、
どこか僕に怯えている様子だ。

僕は悪く恐ろしい人間だ。

過去をいくら後悔しても、
過去をいくら反省しても、
過去を変えることは出来ない。

つまり僕は過去の行為を風化してはいけない。

彼の惨状を考えれば考えるほど、
僕は決して幸せになってはいけない。

因果応報。

僕が会社のパワハラで鬱になったのも、
今思えば過去の清算のような気さえする。

彼は僕の仕事のパートナーだった。
それなりに2人期待もされていた。

期待されればされる分だけ、
プレッシャーが重荷に変わる。

その分、彼に対する当たりも強くなった。

「あそこの間が気持ち悪い」
「こういう言い方しろよ」
「何で出来ひんの?」

僕は彼にそんな罵声を浴びせ、
稽古は朝から始まり、
深夜そして朝方まで続く。

そんな日々を何日も繰り返していた。

2人の成果は僕のおかげ。
彼の成果も僕のおかげ。
僕の成果はもちろん僕のおかげ。

幼い分ジャイアンの方がまだ可愛い。
その頃、僕はタバコを吸っていた。
つまり一応成人男性だ。

何日間も彼の時間を奪い、
全ての成果は僕だけのもの。
自分のことはさておき、
彼の小さな失敗を問い詰める。

彼は人として優れていた。
僕よりも遥かに。
そんな彼の時間を人生を潰した。

僕は大人のはずのガキ大将。
改めて救いようがないクズ人間だ。

最近になってテレビでしばしば、
「クズ人間」を耳にするけれど、
本当のクズ人間は自覚がない。
テレビの人たちは、まだ救えるクズだ。

ある日を境に彼からの連絡が途絶えた。
仕事が入っていたにも関わらず。

僕は彼に何度も連絡をする。
だけども電源が入らない。
彼の家にも訪れてみたけれど、
音沙汰が全くと言って良いほどない。

仕方がないので1人で仕事をして、
仕事終わりに何度も何日も電話をして、
彼の家の前でじっと待っていたりもした。

だけども、彼を未だに見れずにいる。

彼には今でもふと思い出した時に、
メールを送るようにしている。

エラーとして返ってこないので、
メールアドレスは変わっていないはず。

一方通行な文通。

全く意味がないことだ。
むしろ嫌がらせ行為だとさえ思う。
彼は僕の前から居なくなった。
夢や希望をいっぱいに抱えたまま。
僕のせいで、僕のせいで。

謝って許されることでは決してない。

仮に彼に会ったとして、
何て言えば良いのだろうか。
どんな顔をして過ごせば良いのだろうか。

会いたいけれど、決して会えない人へ

共通の友人からあなたが、
会社を立ち上げたと聞いています。
あなたはとても優秀な人です。
どんな人とも、どんな時代でも、
あなたの人当たりなら大丈夫です。

現にあの当時の僕は、
あなたに何度も救われていた。

分かっていた筈なのに、
気付かないフリをしては、
あなたを何度も傷つけて、
あなたの優しさに甘えて。

僕が言えたことではないけれど、
身体にだけは気をつけてください。

あなたは人に合わせて、
つい無理をしてしまうから。

誰よりもそばにいた人より

メガッパ

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