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【レジの少女】 #860


最近恋が分からないんだ

可愛いなって思う人は沢山居る

けれども
そうは思うけれども恋をした
という感じでは無い

一応はその人とお付き合いしたらどうなるんだろうって想像とかはして見るんだけど
想像してみたら
うぅ〜んってなる

比較対象には以前お付き合いしていた人などで行うのだが
妥協しても良いところと
妥協したくなちところがあるので
今のところ妥協したくないところで皆引っかかり
僕の選考の中から消えていく

もうこんな事を7〜8年続けていたらただのオッサンになってしまったよ

こうなってくると制限が始まる事を知った

若い時には自分都合の年齢制限はあったけど
未成年以外は別に恋愛対象としても問題ないと感じていた
しかし今は可愛いなぁと思ってもオッサンだから近寄ったら恋愛どころかセクハラになってしまうのでは無いか
そう思い自分としては恋の対象にしたくても世間の目を考えて削除している

キモいとかセクハラとか言われたり思われたりするのが怖いからね



でもそう思いながらも
実は最近お気に入りの女の子が居るんだ
けど心の中に気持ちはしまっておいているだ

家から一番近い個人経営のスーパーがあるんだけど
そこでバイトしてる女の子が居るんだよ
可愛いんだよ

しょちゅう行ってるから僕のことは覚えていると思う

スーパーはレジが三つある
基本的には一つだけしか稼働させていない
お客さんが増えたらレジ応援を店内放送で呼び出し
応援が来て二つのレジで対応する
他のスタッフは品出しなんかの仕事をしている

僕のお気に入りさんは
僕が居ると「いらっしゃいませ」と言って笑顔で通り過ぎる

誰にでもそうしていると思うのだが
勝手に僕にする熱量は他のお客さんより少しばかり多いのでは無いのではと勝手に思っている

レジが終わりカゴを持って歩いているとニッコリ笑顔でカゴを預かりますよぉという両手を出したポーズをしたので「ありがとう」と言って手渡したんだ
それも勝手に僕だったからそうしてくれたんだと思い込んでいる

ついこの間あったのは僕の中でこれは決定打だろうと思い込んでるのがあってね

レジに行こうと店内を歩いていたら女の子がおり
いつものように「いらっしゃいませ」を言ってくれた後に
なにやら社員の人に
コレやっといて的な指示が出されていた

僕はそのまま横を通り過ぎて行った

このコースはレジに行く人がだいたい通る通路

レジまで行くと僕の前に今レジを打ってもらっている主婦がおり
その次が僕で後ろにはガテン系の兄さんが並んでいた
そんなに忙しい時間帯ではない
レジの女性も「レジ応援お願いします」のボタンも押していない

なのに女の子は走ってきてレジ二号機入り
「次にお会計お待ちの方」
そう言ったから僕だったのでレジをお願いした
会計が終わったら
「レシート要らなかったですよね」
そう言って捨ててくれた
そして笑顔

僕は心の中で
「僕は君ともっと話がしたいんだぁ
できれば此処じゃない場所で」
と思った

しかしこの女の子はどう見ても20歳くらい
きっと僕はキモいセクハラおやじに違いない
だから期待するのはやめにしよう
心の中で一人で楽しもう
そう決めた
昔だったら軽ノリで話しかけたりして仲良くなろうと近づいたもんだけど
今はオッサンなので昔とは事情が違う

だから女の子には嫌な思いはさせないように
むしろ無駄口を叩かない馴れ馴れしくしない
さっと買ってさっと帰る
店内で出会っても会釈で通り過ぎる
できるだけクールにと心がけている

女の子がバイトに入っていない日もある
そんな日はハズレの日
女の子がバイトに入っている日は当たりの日
でレジ打ちしてくれた日は大当たりの日

でも言っておくがコレはまだ恋の境地には入っていない
その手間である
知らない人だし若過ぎるし
何度も言うがオッサンだからキモいセクハラに該当する
勝手にモヤモヤするのに限る

しかし
こんな事ばっかり続けていたら
いつまで経っても彼女なんて出来ない
彼女が出来ないから結婚も出来ない

困ったもんだよ

なんかさぁもっとドラマとか映画みたいに上手いことならんかなぁ

スーパーの女の子だってさぁ
向こうから言ってくれさえすれば
話は早いわけで
ってそんな上手い話は無いわなぁ


まぁ一人もんは気楽で良いのだが
そろそろ彼女が欲しい



しかし彼は
悲しくもどんどん歳を取り
彼女も一向に出来ずじまいだった
この頃になるともう空想妄想も諦めていた

ただミラクルは最後に起こった
自分から入所したマンションタイプの老人ホームで彼は今まで生きていた中で最も好みな女性と出会いお付き合いし
80歳を目前にして初めて結婚した

相手の女性は彼よりも三つ年上の姉さん女房

彼は死ぬまで本当に幸せに過ごしましたとさ





ほな!

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