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#60 上司の仕事

【私の仕事術:❻部下の育成】
上司の仕事は「部下を育てる事」と「部下を守る事」

私たち世代が若い頃は、優しい上司もいましたが、めちゃくちゃな上司もいました。

理不尽な要求を出され、長時間残業なんて当たり前。時に物を投げられたり、ビンタされたり、世の中の不条理さを身をもって学ぶという、今となっては懐かしい思い出です。

さすがに今の時代だと「愛のムチ」とか「鉄拳制裁」みたいな指導法は、即パワハラで訴えられますけどね。

部下の育成方法も人それぞれの個性が出て、それぞれのやり方があります。いろんな上司の下で働き、見てきた上で、これだけは上司の仕事として大切にしようと決めている事があります。

それは、

「部下を育てる事」と「部下を守る事」はセット

という事です。


■部下を育てる一番いいやり方

部下を育てる一番いいやり方は、「仕事を任せてみる事」です。私が若手の時も何か仕事を任されるのは頼りにされているようで、とてもうれしく、モチベーションがあがりました。

ここでのポイントは
❶頼んだ仕事は必ず期限を決める。
❷どうしたらいいか、わからない時はすぐに相談してもらう。
❸何をしているのかは注意してみる。
❹上記❶から❸を何度か繰り返すが、徐々に難易度をあげる

です。

「これ、1週間でやってみて。それまでに終わったら教えて」と期限を決めて仕事をお願いしてみれば、だいたいその部下の実力はわかります。

ちゃんとできるか気になりますから、どんな風に仕事をしているのか横目に見つつ、進捗はどうか?何に悩んでいるのか?も注意してみるようにしています。

優秀な部下は1週間待たずに「できました!」と報告してくれます。中にはスピード最優先で中身が全然ダメというケースもありましたが、それはそれでその人の個性ですし、その時点で「もう少しこうしてほしい」とお願いをしてやってもらいます。

そして、約束の1週間後にできたかどうかを聞き、出してきたものを確認し、気になったポイントは部下にフィードバックします。「次はこれをやらせてみよう」と思う部分は次に仕事をお願いする時にやってもらい、また実力を見るという繰り返しですね。

「仕事を任せる」というのは上司からすると「大丈夫かな?」と、とても不安です。特に「自分がやった方が早い!」と考えがちな人や、管理職に昇進したばかりでどうやって育てるかわからない人はなおさらでしょう。

ですから、任せるといいつつ、うまくいかない事も予め想定し、「ここまでにできていなかったら、あとは自分でやろう」と自分でリカバリーできるギリギリの線は担保しておくのがいいです。


■部下を守る為に

先ほど仕事を任せてみるポイントに「❷どうしたらいいか、わからない時はすぐに相談してもらう。」と書きましたが、「部下を守る事」で一番大事にしているのは、一人で抱え込まず、どんな事でもいいから、何かあれば報告や相談をしてもらうようにする事です。

でも上司への報告は、部下からすると「こんなんじゃダメだ」とか何か言われそうで、ちょっと嫌ですよね。

私の場合、部下には仕事の進捗が知りたい為だけに報告を聞くのではないと伝えています。「何かあった時に部下をかばう事ができる」からまめに報告してほしいと伝えています。

どの会社でも何か問題が起きた時、必ず上司は上の人からこう聞かれます。

「君はこれは知っていたのか?これは誰のせいだ」と。

私は「はい、知っていました。これは私のせいです。」と答えるようにしていました。時々本当に知らない事もありましたがそれでも「知っていました」と答えていました。

「いえ、知りませんでした。部下が相談なく勝手にやったんです。悪いのは部下です」というのは簡単ですが、管理者として、この発言は自分が管理者の仕事をしていないと言っているものと同じだと私は思います。

いろんなタイプの部下がいましたが、人はのびのびとする方が成長しますので萎縮させない為にも部下には「何かあった時にかばえるようにしたいので、どんな事でもいいから、教えてね」と話をしていました。


■私も守られてきた

このような部下を守るエピソードを書いていると、

「あとは俺が責任を取るから、お前のやりたいようにやれ!」

みたいなドラマのワンシーンみたいで、自慢話か、さも私がかっこいい上司と言わんばかりですが全然違います。私がこう考えるようになったのは、自分自身もその時その時の上司に守られてきたから、それをマネしているだけなんです。

何も悪くない上司が一緒になって頭を下げてくれる。若い頃、私の独断で動いたのにも関わらず、上司が上の人から「お前もわかってて指示したのか!」と怒鳴られた時も「これは私の責任です。申し訳ありません。」とかばってくれました。

いろいろな上司がいましたが、いろいろな上司に何度も守られてきたなと。ですからこれまでの上司への感謝とその恩返しではないですが、自分もそうなりたいと思って、このようにしています。


■こんな上司は嫌だ

部下の力を引き出す為に、無理難題や、とても一人ではできそうにないお題を出して、部下に頑張らせようとする人がいます。

それはそれでありですが、それとセットで「部下を守らない人」はダメです。

お題を出したら出しっぱなし、仮にそれで失敗したら「お前、なにやってるんだ!」と叱責するなんて間違いです。

指示を出したのが自分なら、部下が失敗した責任は自分にありますから、部下が何かをした時は、守ってやらないといけません。


中には気に入らない部下もいます。でも、その人の上司になったのも何かの運命と思って、上司の仕事として「部下を育てる事」と「部下を守る事」はセットで遂行していきましょう!

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