#61 2週間で見抜く
一般的に春や秋は人事異動の季節で、一緒に仕事をするメンバーが変わる時期です。
新しいメンバーが部下としてチームに加わる事もあれば、自分自身が新しいチームの上司として着任する事もあり、新しい体制でこれから仕事を頑張ろう!という空気ができます。
私は、このタイミングが一年で一番忙しく、集中しないといけない時期といつも考えていました。なぜなら「短期間で自分の部下やチームがどんな人の集まりかを見極めないといけないから」です。見極めないと自分たちのミッション達成も、その後の組織運営もうまくいかないといっても過言ではありません。
プロ野球やサッカーの監督のように、自分たちのチームにどんな選手がいるのか、個々の特長や持ち味がわからない状況では、チームが攻撃力があるのか、守りが堅いのか特色もわかりません。まして勝つ為の戦術や作戦など立てられるわけがないのと同じです。そして、メンバーそれぞれの良さや弱さがわからないと、それぞれの良さを伸ばして育てていく事もできません。
ですから部下を育てる為にも、まずは「部下の人となり」を見抜く事に注力していました。
急がずとも、一緒に働いていれば、いずれお互いの性格や考え方、スキルなどが見えてきますが、一方で会社から与えられた計画や目標をクリアする為の作戦も考えないといけませんので、のんびりかまえていられません。
その為、私は自分に「2週間で部下の人となりを見抜く!」という課題を課していました。そして、自分の部下はどんな性格で、どんな能力やスキルがあるのかを把握し、どのように指導していくかという事と、目標達成に向けた作戦やフォーメーションを考えていきました。
■人となりの見抜き方
では、どういう方法で見抜いていくのか?いくつかご紹介します。
◆毎朝、必ず自分から挨拶をする
「おはようございまーす」と、自分からあいさつをし、その反応を見ます。朝から元気な人なのか、ボソッと挨拶する人なのか、愛想の良さや私よりも先に挨拶してくれるのか等の社交性を見ています。あと、例えば朝は必ずコーヒーを飲むなど、ルーティンがあるのかどうかも見ています。
◆毎日一度は話しかける
「今日暑いね」という天気の話や「昨日、iPhoneの新しいの発表されたね」という軽い時事ネタ、「昨日の打ち合わせでわからない事あった?」みたいな仕事のフォローなど、簡単な会話を投げかけてその反応を見ます。2週間もあれば10回は話しかけられるので返答の早さや会話がかみ合っているか、どんな回答するのか、話題に食いついて話を膨らませてくるのかなど、コミュニケーション能力は些細な会話からも垣間見えますよね。
◆歓迎会や歓迎ランチに誘う
今の時代は厳しいですが、ランチはよく誘います。無理強いしない範囲で、仕事終わりの飲みニケーションも行きます。食べ物の好き嫌い、リラックスした時にどんな感じか、また上司に対して話題を提供してくれるのか、受け身なのかも見ます。お酒が入ると人が変わる人もいるので、仕事を離れたらどんな感じになるのかはとても気になりますね。
◆1on1でお互いの自己紹介
30分でいいので、1対1で会議室で話をするようにしています。自己紹介やこれまでの仕事、やってきて楽しかった事、趣味など、その人が饒舌になるような事や、自慢話みたいでみんなの前ではちょっと恥ずかしくなるような事を聞くようにしています。その人の強みが何かというのを知るのは大切です。逆に、悩みごとも言える範囲で聞いています。仕事する上で悩みごとがあると集中できない時もありますから。もちろん着任早々から根掘り葉掘りは聞きませんが「もしこの先、困った事があったら何でも言ってほしい」とは必ず伝えます。
◆チームMTGで何でもいいので発言してもらう
会議の雰囲気はそのチームのカラーというか特色が色濃く出ると思います。ですから新しく参加した人には積極的に発言してもらうようにします。といってもいきなり難しい質問をしても答えられませんから「わからない事あった?」と質問したり、「うちのミーティングの雰囲気はどう?」と感想を求めます。しゃべりやすい雰囲気を作りつつ、その時にどんな事をいうのかを見て、理解度や考え方の傾向を見ています。
◆色々質問する(※デリカシー無い質問はNG)
ミーティングの時の雑談やランチ等、一緒にご飯を食べている時などに色々質問をします。「大学時代、どんなバイトをしていたの?」とか「昨日の夜、何を食べたの?」みたいな簡単な質問から「最近の爆笑エピソードって何かある?」とか「これは、めちゃお勧め!っていう●●ってないの?」みたいにどんな価値観を持っているのかを聞くように質問は工夫しており、話し上手かどうかも聞きながらみています。でも「彼氏(彼女)はいるの?」みたいなみんなの前で聞かれたら答えにくいだろうなと思う事は、少なくとも着任まもないタイミングでは私は聞きません。
◆持っているもの、使っているものをチェック
仕事で使っているツールや、仕事中に口にする食べ物や飲み物、鞄や服などもいやらしくない程度にチェックしています。持ち物にはその人のこだわりや大切にしている事が反映します。そして時に「このボールペン、かっこいいね!」とか「いつもオシャレだよね」と褒めます。褒められて嫌な気持ちになる人は少ないでしょうし、その時にこだわりがある子は話をしてくれて、人となりを知る事ができます。
と、大袈裟な事はしていません。ただ、あらためて文字に書き出して読むと、必要以上に詮索していたり、取り調べみたいに聞こえますね。。
これを元部下が見たら「え?そんな事を考えていたの?」と気持ち悪く思われそうで心配ですが、実際はそんな事を感じさせないぐらい、ごくごく自然に、軽い感じで会話をしてコミュニケーションをとっているだけです。グイグイ聞いている感じではありません。
重要なのは、そんな自然の会話を通じて「どんな性格なのか?」「どういうところにやる気を出すのか?」「仕事に対するスタンスは?」など個々人のキャラクターを把握する事にとても集中して聞きましょう!という事です。
部下をどのように育てていくか、その前に部下がどんな人なのかを把握していないと育てるも指導もありませんので、最初の2週間はしっかり集中して部下の”人となり”を見極めるようにしましょう。
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