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#62 1年後の理想像を伝える

【私の仕事術:❻部下の育成】
目標設定の時に、1年後にどうなってほしいか理想像を話す

いつの時代も、上司との面談は嫌なものです。

その中でも「評価面談」と「目標設定面談」は、重たい空気になりがちですよね?

今日は「目標設定面談」を活用した指導法のお話です。

「目標設定面談」とは、だいたい上期と下期の始まりに行うもので、目標をどうするかについての話し合いや、達成に向けたアクションプランをすり合わせる面談です。言わば、何をもって評価するのかがここで決まり、最終的に夏と冬のボーナスの査定の基準になるものです。

上司との面談はただでさえ構えてしまうのに、さらに「どんな目標数値を言われるんだろう、怖いな・・」とか、自分の考えが上司の考えとあっているのか等、不安な事だらけでなんとも言えない緊張感がありますよね?

そんな重たい空気になりがちな「目標設定面談」ですが、私は、必ず最初に

「1年後にどうなっていてほしいか」

自分なりの部下育成プランを部下に話すようにしています。

もちろん、会社から与えられた事業計画をどう達成するかの話し合いも大切です。

でも、それよりも先に
・一人で企画書を作り、実行できるようになってほしい。
・経営陣の前でプレゼンできるようになってほしい。
・他部署との交渉を全部任せるようにしたい。

など、どんな事に期待していて、そして会社でより活躍するにはどうしたらいいのか伝える事を大事にしています。

1年後の理想像を伝えるメリットは3つあります。
❶難易度高い仕事を部下にお願いしやすい
❷理想像にそった指導ができる
❸1年後、理想に近づいたかどうかで評価
です。

具体的に説明しましょう。

❶難易度高い仕事を部下にお願いしやすい

理想像を話した上で、具体的にしてほしい事を伝えた方が部下も納得しやすくなります。ただ、こちらが具体的にしてほしい事と部下がしたい事は必ずしも一致しません。こちらからお願いする仕事の難易度が高くなったり、社員が本当にやりたい仕事があるほど、そのすり合わせは難しくなります。

私が課長だった頃、こんな事がありました。

とても気立ての良い優秀な男性が部下にきました。仕事ができるのはもちろんですが、性格もよく、みんなが敬遠する仕事も引き受けるような優しさをもっていました。

ただ、その優しさが仇になったのか、昇格とは少し縁がなかったようです。ですから私は目標設定面談で

「良い評価をとって1年後、絶対昇格させたい。その為には申し訳ないが、やりたい仕事ではなく、一番難易度の高いこっちの仕事をやってほしい。」

と話をしました。

ここでいう難易度が高い仕事とは、会社に与える影響が大きい為、成果が出た時にとても高く評価される仕事の事です。

彼は「え?」と驚きというか戸惑った様子でしたが、頭の回転も速いのですぐに状況を理解し、「わかりました」と私がお願いした担当を快く引き受けてくれました。

「昇格」を餌に難易度の高い仕事をふったようになっていますが、成長する為にはチャレンジしてほしいという気持ちが伝わったから受けてくれたのかな?と思います。

もちろん、いつもごり押しするわけではありません。本人の意思も尊重しますので、自分はこっちの仕事がいいとなるとそれはそれで受け入れます。


❷理想像にそった指導ができる

1年後になってほしい理想像は部下と互いに共通認識としてあるので、あとは指導に移すだけです。「プレゼン資料を上手に作れるようになる」という理想があるなら、プレゼン資料のダメ出しも心を鬼にして指摘する事も出来ます。

最近はパワハラ、セクハラとかあるので上司も部下に対してどのように接するのがいいか迷う人もたくさんいると思います。色々指摘したいけれど、言いすぎるとうざい上司になりそうですもんね。

パワハラはダメですが、仕事の質を高めてほしい思いを込めて、小姑のように重箱の隅をつつくような指摘もします。指導される側も意味もわからず注意されているわけではないと理解しているのでちゃんと耳を傾けてくれます。指導する側としては、ありがたい限りです。


❸1年後、理想に近づいたかどうかで評価

部下を評価する経験をされた方は共感してくれるかもしれませんが、部下の評価はとても難しいです。頑張った事を褒めるのは簡単ですが、頑張ったからといって会社が何でも評価してくれるわけではありません

また、上司から見て頑張ってないなと思って指摘した事が、部下にとってはものすごく頑張った事だったりもします。「こんなに頑張ったのに評価されなかった」と。下手をすると「あの上司は頑張りを見てくれていない!」と反発して、その後の仕事のモチベーションが激減という事もありえます。

部下の評価はいつも難しいと思いますが、最初に理想像を伝えているのでそこに近づいたかどうか、それに対してどれだけ頑張ったかという点では評価がしやすいというのはあります。

ただ、ここで難しい事が1つあります。

最初に1年後の理想像を的確に設定できるわけではありません。部下にとっては実は簡単だったみたいなこともあります。そんな時はちょっとずるいですが、「すまない、もともとこんなにできると思わなかった。こんなにできるならここまで頑張ってほしい!」と頑張りに応じて途中で理想像を上方修正するなんて事もします。

兎にも角にも、部下と自分の間で理想像を共有し、お互いが納得したものさしがあるのは、評価する時に褒めることも指摘することもしやすいですね。


「人は褒めて伸ばす」とは、いろんな本でも書いてますが、褒める為にも1年後の理想像を伝えるのはとても大事だと私は思います。

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