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ファイナンス(企業財務)の基本㊸:「中小・ベンチャー企業CFOの教科書」を読んで、大切そうなことをまとめてみた

今回は「中小・ベンチャー企業CFOの教科書(高森厚太郎 著)」を読んでみました。

この書籍では、5社の社外CFOを務める筆者が「CFOに必要な役割・考え方・行動」という視点で、ご自身の経験含め、ファイナンスに関して、わかりやすく解説してくださっています。各章にストーリーが散りばめられているため、具体的な例をイメージしながら理解を進められる点が、とても良いなと思いました。

以下、自身にとって大切に思った点をメモします。

※ このnoteのまとめ(メモ)には、自分の解釈が多分に含まれているため、少しでも本の内容が気になった方は、ご自身で読んでみてもらえると嬉しいです


資金調達の手段

資金調達の手段には、大まかに下記のようなものがある。

図表 資金調達の手段

それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるが、実務においては「実際の調達まで、どれくらいの時間がかるのか」は重要なポイントである。そして、大抵の場合は「想定をこえて時間がかかってしまう」ため、あらかじめ手段を把握した上で、早め早めに調達計画を練っておくことが必要である。

以下、デット・エクエティの資金調達について、「資金の出し手から見られるポイント」などを記載する。

デットの資金調達(銀行などの金融機関からの融資)

まず、銀行などの金融機関にとって大切なのは「その会社が、約束通りに返済してくれるかどうか」という点である。よって、この場合は経営者などの「ヒト」というよりも「会社」を見られる。この意味で、銀行からの融資の場合は、経営者本人が前面に立たなくても、CFOがメイン担当者として調達コーディネートを進められる余地がある。

そして、会社のステージによっても、調達方法は異なってくる(下記)。

会社のステージごと資金調達方法(デット)

  • シードステージ(事業が黒字になっていない)
    金融機関に融資を断られることが多いと想定される。
    日本政策金融公庫からの融資や、信用金庫の信用保証協会保証付枠を狙ってみるのが良いかもしれない。

  • アーリーステージ(黒転して事業が回りはじめる)
    次第に金融機関も融資に前向きになってくる。
    まずは地銀や信金をあたってみるのが良い。
    粗利が3億円を超えるあたりだと、メガバンクも融資承認してくれる。この段階だと、プロパー融資もいけるようになってくる。

  • レイターステージ
    粗利が10億円近くなってくると、逆にメガバンクから、借りて欲しいといってくるようになる。

融資の際のチェックポイントは、どの金融機関もほぼ同じである(下記)。

融資の際のチェックポイント

  • 財務諸表
    P/L赤字の場合は、厳しく突っ込まれる。
    また、B/Sに不明な勘定項目があると、説明を求められる。

  • 資金使途
    融資目的との整合性などが確認される。

  • 返済原資
    返済計画のリアリティが見られる。

  • 担保保全
    何を担保に提供できるかを確認される。
    なお、金融機関からの借入は無担保でいけることが多いが、基本的には代表取締役の連帯保証が必要になる場合が多い。

また、デットでの資金調達として、日本政策金融公庫からの融資(特に、創業融資)は書籍の中でおすすめされていた。

エクイティの資金調達(投資家からの出資)

エクイティの資金調達では、会社というよりも、経営者本人を見られることが多い。その意味で、エクイティ資金調達の前面に立つのはCEOで、CFOがそのサポートに回るといった形が良い。

ここでは、エクイティ資金調達のうち、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達に話を絞る。

まず、会社のステージによって、適したVC(例)がそれぞれ存在する。

会社のステージごとの適したVC(例)

  • シードステージ(創業前や事業スタート前の時期)
    この段階から出資するスタンスを取る有名なプレイヤーは、インキュベイトファンド(独立系VC)、CAベンチャーズ(サイバーエージェントの連結子会社)などである。

  • シリーズA(成長し始める時期)~ シリーズB(安定成長していく時期)
    このステージは、企業評価額が5億円を超えてくるような段階であり、このステージを得意とするプレイヤーにはグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(IT系のスタートアップ投資に強い)などがある。

  • シリーズB ~ シリーズC(上場やM&Aなども見えてくる時期)
    このステージは、企業評価額が20億円を超えてくるような段階であり、このステージになると、伝統的な金融機関系、証券会社系のそうそうたるプレイヤーが手をあげてくる。ジャフコ(野村證券系列の日本最大のVC)などがその一例である。

そして、VCが出資を決める判断基準は、そのVCによって様々である。
そのため、一概に「見られるポイント」を記載するのは難しいが、投資先に対して「ホームランを打てるかどうか」という点を、最低限見ていると考えて良い(下記)。

「ホームランを打てるかどうか」の見極めポイント

  • 投資しようとしている企業のいる「業界」が、化けそうな業界かどうか

  • 経営者含む経営チームが、その業界で勝てそうな人材かどうか

※ 仮に業界が化けた場合、そこで大成功する企業は多くて数社であることをVCは知っているため、VCはその業界で勝てそうな経営者を見極めようとする

以上です。


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