シティポップのレコードを買うのは最も愚かな行為!~レコードの価値≠音楽の価値~
レコードの価値≠音楽の価値、これは、まぎれもない事実である。レコードの価値というと語弊を招くので、正確には「中古」レコードの価値が音楽の価値ではないということだ。
何がいいたいかというと、市場の需要と供給によって中古レコードの値段が上下しているだけであって、そのレコードが鳴らす音楽そのものについては、どのレコードも同じような価値しか見いだせないということだ。
そう、音楽は絶対的なものだからだ、そこを履き違えて考えてもらうと困ってしまう。すまり今売っている中古レコードの値段によってだけいい音楽がどうかを図ってはならないということだ。それどころか、あくまで、それは今の流行を担保しているものでしかなく、未来に渡って揺るぎない評価がされるものではないということだ。
しかも経済原理に則るなら、すでに供給の量は決まってしまっている。
たとえば、ピーター・ゼルキンによる演奏のバッハの「ゴールドベルク変奏曲」だ。これは、現状レコードでの復刻はなく、stereo、mono版があるが、おそらく、レコードの終焉(1980年代終わりころ)まで、限りなくプレスされ続けているかも定かではないので、せいぜい、発売されて5~6年くらいだろう…。
つまり、当時売り出してから、生産・販売されていたもので、限りがあるのは明白だ。さらにそこから、上記のようにモノラル版かステレオ版、さらにいつプレス(本でいう何刷、あるいは何版)されたものか、さらにアメリカだと流通の関係でファーストプレスでさえも、工場単位(カルフォニアなのか、ニューヨークなのかなど、、)でも差があり、それが故に音質そのものが異なるとさえ言われる。(要はレコードはデータの焼き付けではなく、溝を掘るものであり、その溝の精度や深さ上記のいつ、どこでプレスされたかで差が出るということ)
なので、そこに価格的傾斜、つまり需要によって値段が決まるのはしょうがないと思う。
上記の例にはまるのが、おもにジャズだ。特にジャズは明白であり、今現在、当時のブルーノートやプレスティッジ、リバーサイドなどの名門レーベルが千円単位で手に入ることはないだろう。
50~70年代ソウルもそうかもしれない。もちろん、モノによっては値段も安く手に入るが、マーヴィン・ゲイ、ジェームス・ブラウン、カーティス・メイフィールドなどはまず厳しいだろう。
何がいいたいのか?この文章で一番言いたいのは、シティポップ、特に山下達郎のレコードは上記の適正を外れて、値段が高いので、今は絶対に買ってはならないということだ。それは新品の再発版でさえ、そういう風に思ってしまう。
一連のシティポップの再評価、リバイバルヒットにケチをつけているのではない、適性を外れた需要、つまり流行という付加価値を載せて、中古レコードの価格を上げるのは、むしろ、その音楽が持つべく価値をある種、毀損しているようにさえ感じるのだ。
どういう意味か?
一つはシティポップの隆盛した70年代終わりから80年代にかけての時代を考えてほしい。
50~60年代頃はオーディオの品質もままならなく、また日本でも音楽を聴くのはラジオ主体であった。一方、国土の広いアメリカではレコードが販路に乗られ、売られたり、地方のラジオ局へレコードが卸されたり、ジュークボックスへシングル盤がセットされるなどでレコードの広がりかたが違った。70~80年代の日本はオーディオが隆盛する、オーディオ作るメーカーがたくさん勃興し、家庭用などにも販路が広がった。それに沿うようにレコード自体の音質向上も図られ、そしてアメリカと違うのは、どこで生産されても高い品質で作られた。それは、まさしくジャパンパッシングを受けた自動車や家電と同じような工業製品だからである。だからこそ、前に説明したような、音質の違いというのは理論上存在しない、しても1950~60年代のレコードはくらべものにならないほどわずかなもののはずだ。いや、むしろあまつさえ、初版から遠のく現在のリマスタリング盤のが圧倒的に音がいいはずだ。
それから、もう一ついいたいのは、同じような音を鳴らす、80年代のソウル、または大滝詠一の50~60年代アメリカンポップスの一部は1,000円未満でレコードが売られているのだから。引用もとは同時代に同じような海外のポップスと値段差、何千円、万円と差が離れているのを、ともに新品価格が一緒なのと比較すると、人によっては、特に若い人は、金銭的な価格の差が、音楽そのものの価値と結びつけてしまうのではないかと思う。
極論を言えば、高いレコードはいい音楽で、安いレコードはよくない当時流行っていただけの音楽、ないしは本当によくない音楽だと誤認識をしている、そういう幻想に惑わされていると。
ここまで文章に書いて、読んだ人は、
「何だ当たり前じゃん」、と思うかもしれない。でもそういう人たちが進んで、高いレコードを買うからこそ、必要のない需要を加速化させているとさえ思う。
だからこそ、
金に糸目をつけずにシティポップのレコードは絶対に買うな、といいたい。
10年以上、せっせと中古レコードをあさってきた自分がもう一度言う。
今の流行で付加価値が乗っている中古レコードは買ってはいけない、それは、本来の音楽の価値をゆがめる恐れがあるからだ。
じゃあ、どういうレコードが高くてしかるべきなのか…。
自分が高い値段で買ったレコードはこれである。
「A Christmas gift For You」philles records」
これは今までのところ、価値が下がることなく、また一定の評価をうけているし、今後も評価が下がることはない、であろう。それに対して、確実に供給量は減るだろうし、、、。
同じようにビートルズのUK盤やブッチャーズジャケット、ビーチボーイズの初期MONO盤もそうだろう。
逆にいうと、どういうレコードが今後、値段があがってしまうのか、、これはわからない。
ひとまず、今日は安く手に入れたロバータ・フラックのこのレコードを聴こう…。
Killing me softlyとかfeel like makin loveとか今に引き継がれる名曲を歌っているのに、評価、低いですよね…。
まあ、当時の玉数もそれなりにあるからなんだろうけれども、、、特に彼女の80年代のアルバムは今でも安く手に入り、その割には音楽の質がいいので、見つけては手に入れては、聴いてます。あとはレイ・パーカーJrとか。
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