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「腹落ちが大事」センスメイキング理論

R5年度がスタートしました。GIGAスクール構想も3年目に突入し、今年度からいよいよ本校に通う生徒全員がChromebook1人1台端末を持つことになります。先生方は既に1人1台端末を持ち、中にはiPadなどのセカンドデバイスとの2刀流もしばしば見かけます。ICT環境のみならず、ChatGPTの学校での使用について議論が巻き起こったり、ブラック校則の見直しの声が上がったりなど変化の著しい教育現場は先行きが見えません。そこで重要なのが

センスメイキング理論


です。これは「納得し理解する感情を意図的に巻き起こし全体の方向性を揃え、組織の総合力を上げること」を指します。特に不測の事態(新しい・想定外・混乱的・不確実)で力を発揮します。そもそもこの理論は90年代の終わり頃から2000年代初頭にかけて、カール・ワイク氏やサリー・マイトリス、ヘンリー・ミンツバーグ氏など欧米の学者らによって提唱されてきました。経営学の理論としてだけではなく哲学、心理学とも関わり合いが大きいものです。日本では早稲田大学大学院教授の入山 章栄氏が、センスメイキング理論の本質を「腹落ち=納得」と表現しています。事象の捉え方は主観・客観の相互依存関係の上で成立するという相対主義的な認識論をベースにしています。英語では「意味をなす、納得し理解する」というときにmake senseという表現を用います。

雪山での遭難の危機を救ったのは…

ある時、ハンガリー軍の偵察部隊がアルプス山脈の雪山で、猛吹雪に見舞われ遭難しました。彼らは吹雪の中でなす術なく、テントの中で寒さと死の恐怖に震えていました。その時偶然にも、一人の隊員のポケットから地図が見つかりました。彼らは地図を見て落ち着きを取り戻し、「これで帰れるはずだ」と下山を決意しました。テントを飛び出し地図を手におおまかな方向を見極めながら猛吹雪の中を進み、無事に下山することに成功しました。
しかし、そこで戻ってきた隊員が握りしめていた地図を取り上げた上官は、驚きました。彼らの見ていた地図はアルプス山脈の地図ではなく、ピレネー山脈の地図だったのです。つまり「山違い」。センスメイキング理論は「7大要素」で構成されています。この遭難からの生還の場合、

1. アイデンティティ:identity
「雪山で遭難した身動きのとれない集団」ではなく「必ず下山・生還するプロの軍隊」と再定義した
2. 回想・振り返り:retrospect
部隊としてのこれまでの経験を想起、任務遂行の記憶を振り返った
3. 行動・行為:enactment
猛吹雪の中、テントを出て雪中を進もうと行動した
4. 社会性:social
雪山という環境、地図という心理的拠り所、下山を確信した集団構成員の相互作用などが働いた
5. 継続性:ongoing
少し進んでは確かめ、進路を定め、また進むという試行錯誤を継続した
6. 環境情報の部分的認知:extracted cues
ピレネー山脈全体の形状や気象状況など全体像はほとんど掴めないが、今いる環境情報の認知による最適化を行った
7. 説得性・納得性:plausibility
正しくない地図にも関わらず、センスメイキングによって部隊の「力と方向性のベクトル合わせ」を行った結果、生還できた

引用:https://www.sofia-inc.com/blog/9280.html

特に7番目の説得性、納得性まさに「腹落ち」したからこそ全員の気持ちが向き、生還するという同じ目標に向かって全員のベクトルが揃ったのだと思います。これから学校は変革の時代に突入していきます。その際、それぞれの部署がこの理論を理解した上で「腹落ち」し、同じ方向で学校改革を進めていけばきっと未来は明るいのだと感じています。


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