【実態調査】シニアの旅行に関する意識は?
いつもお読み頂きありがとうございます。
少し前に【高齢者の「声」を届けるシリーズ#1「洋服を新調したとき、約20%は外出意欲が上がる‼」】という調査結果を公表しました。
私達、RARECREWではこれまで20年以上高齢者介護に携わり、数多くの要介護高齢者そしてそのご家族様と接してきた実績があります。今も1500名を超えるご利用者様から生のお声をニーズとして調査しデータとして保有しております。拡大の一途をたどるシニアマーケットにおいてデジタルデータが取れない現状から新しいビジネス創出に向け取組結果を公開しています。
商品デモ、商品企画、販売戦略などの相談などにもお応えしております。
今回の記事はコロナ禍から解放され、動き出した社会生活の中で高齢者の旅行に対する意識をヒアリングした独自調査結果からの考察を少しご紹介していこうと思います。
■介護高齢者の65.5%が「旅行したい」
介護サービスを受けているお客様からよく旅行の思い出話を伺います。私が訪問介護でご自宅に伺うと、リビングのあちらこちらに写真を飾られている方が多くいらっしゃいます。
あるお客様は定年後(当時は60歳)に夫婦で世界各国をまわったそうで、スペイン、ドイツ、フランス、トルコなどなど、笑顔で仲睦まじい老夫婦の写真が所せましと飾られていました。
おじいちゃんが70代で脳梗塞となり左半身マヒになったことをきっけかけに遠出はもちろん近隣への外出もままならない状態になってしまったそうです。
写真を指差しながら、楽しそうに思い出話をしてくれるおばあちゃんの寂しそうな顔が今でも目に浮かびます。
そんな実例もある中、実際に旅行に対してどのような意向があるのか調査してみました。本調査は在宅介護サービスを受けている高齢者が旅行に抱いているニーズや不安などを中心に旅行の目的や今後行ってみたい場所、オンラインツアーについてどう感じているか等としました。
<調査結果>
在宅介護サービスを受けている高齢者に身体的・経済的な課題がないとしたら旅行したいかどうかを伺いました。「旅行したい」が65.5%で、「旅行したくない」が34.5%という結果。当たり前のように思いますが半数以上の高齢者が課題がなければ旅行したいと考えていることが分かりました。
では、旅行に踏み切れない課題とは何か、次はその点を記載します。
■旅行する上での課題は?
旅行に際して不安なことについてヒアリングした結果です。
第一位:「歩行に関すること」
やはり一番の懸念事項は歩行。
歩くことは生活の基本です。旅行ともなれば遠くに行くのに乗り物を使うにしても歩く距離は長くなります。体力面はもちろんのこと、歩行のふら付きによる転倒は、お怪我の程度によっては生活に大きな支障がでて状況が一変してしまう要因になります。
また、バリアフリー法によりいろいろなところで整備が進んでいますが観光の目的によっては未舗装であったり、階段が多数あったりと思い出の地を巡るにも障害は多いもの。出来れば人の手を借りずに行きたいとの思いも強いようでした。
第二位:「お手洗い」
次いで第二位に上がったのはお手洗い。
排泄事情は高齢者にとって大きな問題です。どうしても軽い尿モレをはじめ、トイレが近かったりします。失禁が不安で水分を取らない方のなんと多いこと。それが原因で熱中症になる方もたくさん見てきました。
最近は、シニア向けの尿モレ対応商品もたくさん出ていますが、気持ちの上ではなんとも割り切れない部分もありそうです。
第三位:「持病の悪化等」
第3位に上がって来たのは、旅行中の持病の悪化です。
高齢になれば疾患や病気が1つもない方の方が珍しいものです。薬の管理はもちろんのこと、勝手のわからない旅行先で状態が悪くなったらどうしよう、と言う気持ちはよく理解できるものです。元気な私たちでさえそうなのですから、常にこの不安を抱えている高齢者であれば尚のことですね。
高齢者の旅行サービスを企画する上では、クリアしておかないといけない項目となりますね。
■旅行を目的とした身体作り
こうやっていろいろ実際のニーズを調べていくと旅行にいける身体作りを意識していく必要性を感じます。
この辺に着目してデイサービス運営をされている事業所も出てきております。普段の生活だけでなく旅行に行くことを目的として、機能訓練に取り組むことは高齢者の意欲に直結していきますね。
私もデイサービスの現場にいた時に活動意欲の低い90代のおじいちゃんにリハビリや運動を勧めた際に「老い先短い俺に、これ以上何をがんばれというのだ」と言われてハッとしたのを思い出します。
この時はお孫さんの結婚式があるという情報を入手し、
「どうせなら車いすではなく、杖で立ってカッコいいスーツで参加したらどうです? 大事なお孫さんの晴れ姿、カッコ良い○○さん見せてくださいよ」
なんて出汁に使わせてもらって、やる気になってもらったことがありました。
目的意識をはっきり持ってもらうことは何より大事だと思います。高齢者の想いに寄り添い、その希望を叶えていくことは続けていきたいと常々考えています。
その他、調査
・旅行に期待すること(目的)
・どこにいきたいか
・オンラインツアーに関すること etc
既にシニアツーリズムとして旅行会社がツアーを組んで実施しているものや航空会社と介護事業者が連携して旅行サービスを展開したりと、シニア向けの旅行に関しては動き出しております。
しかし、周辺ニーズも含めて考えていくともっともっと可能性が眠っているのも事実。実態ニーズ調査からそんな種を見つけ出すとさらなる面白い展開が!!
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高齢者の在宅生活は実態がベールに包まれていてなかなかきちんと把握できないものです。今回の旅行に関する情報も新たなビジネスにつながっていくことは言うまでもありません。面白いと思いませんか?
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