見出し画像

動物との信頼関係について考える(3)

イルカ(動物)と過ごす時間の中には、信頼関係を高めていくチャンスが沢山隠れています。一方で、全てを崩壊させてしまうような落とし穴も仕組まれています。チャンスを見落とさず、落とし穴を避けることは不可能に思えます。今回は、信頼関係構築だけでなく、崩壊してしまった信頼関係を再構築する時にも使えそうな考え方と方法を紹介します。今のところ、一番よさそうな考え方と方法です、参考にしていただけたらと思います。
 
「おもてなし」から始めてみよう。

今、目の前にイルカ(動物)が居てくれるだけで感謝です、ありがとう。一旦、行動形成やコントロールなどを忘れて、「おもてなし」から始めてみるのは如何でしょうか。
おもてなしをするには、相手のご要望を知る必要があります。五感すべてを使って、欲しいもの、興味を惹かれるもの、やりたい事、嫌な事等を感じ取りましょう。そして、相手の要求に合ったものすべてを提供してみましょう。もし、相手の要求を間違って解釈していたり、提供の仕方に間違いがあれば、即クレーム(フリーズ、離れ、アグレッションの嫌だという意思表示)が入りますので、わかりやすいと思います。
 
期待以上のおもてなしを目指す!

目指すのは、ただのおもてなしではなく、イルカ(動物)のご要望を超える「期待以上のおもてなし」です。単純にイルカ(動物)の要望に応えているだけでは不十分です。
表面には見えてこない要望の本質を察して、おススメを提案したり、サプライズを演出てみたり、積極的にアプローチしてみましょう。選ぶことが出来る自由や、問題が解けた時に感じる「わかった!」という快感など、イルカ(動物)が予想できないような楽しい事が沢山あるはずです。また、イルカ(動物)の勘違いが原因の「怖い」や「嫌だ」があれば、ゆっくりと誤解を解いてあげましょう、もちろん楽しみながらです、我慢させてはいけません。
このような楽しい時間を積極的に提案する手段として、トレーニング(行動形成)を使います、おもてなしトレーニングですね。おもてなしをするためのトレーニング(行動形成)なので、イルカ(動物)にとって嫌な事(怖い、嫌だ、逃げたい、やりたくない)は避けましょう。押し付けやお節介、我慢させる事も不可、命令や強制なんかもってのほかです。
 
おもてなしトレーニングでのNGの取り扱い

トレーニング(行動形成)で行う事をざっくりまとめるとこんな感じです。

 ①条件を設定し、OK基準を決めて
 ②イルカ(動物)の行動が
  基準クリアでOKなら強化
  NGなら強化しない

全てOKだとイルカ(動物)の世界は広がらず、むしろ退屈するかもしれません。「わからない、出来ない」の先に、「わかった!出来た!」が待っています。刺激的で楽しい時間を演出する為には、出来ない事やわらない事(NG)も必要です。
ここで問題になるのは、NGの位置づけです。
イルカ(動物)にとってNGが嫌なものになってしまったら、おもてなしは台無しです。イルカ(動物)の内側から自発的に、「知りたい」「もう一回チャンスが欲しい」という行動を起こさせるような良いNGが必要です。
 
良いNGで起きる変化

良いNGを導入すると、イルカ(動物)の行動に変化が現れます。

・NG後の戻りが速い
・NG後にすぐサインが出せる体制(待機)になる
・NG後でも、サイン反応が非常に良い
・何度でもやり直しができる
・やり直し後のOK(強化)で離れない
・アグレションが出ない
・考えて行動しているように見える(=行動の多様性が生まれる)

NGに対するイルカ(動物)の行動は、どんどんポジティブなものに変わっていきます。
たとえ間違った行動でも、一生懸命考えて、何度もチャレンジするイルカに対してタイムアウトは不要ですね。必要なのはイルカ(動物)にチャンスを与える事です、イルカ(動物)はチャンスを欲しがっています。
 
良いNGを引き出す方法
よいNGは、最適な難易度設定によってもたらされます。
皆さんがトレーニング計画を立てるときには、「これが出来たらOK」という感じでOKに注目して難易度を決め、NGの時の行動については意識されることが少ないように感じます。おもてなしをするには、これでは不十分、NGの時にもイルカ(動物)がポジティブな行動を選択できるような配慮が必要です。
どうすれば良いか非常に悩ましいですが、直接イルカ(動物)に教えてもらうほうが手っ取り早いです。好きな事、嫌いな事、怖い事、過去の経験等をイルカ(動物)に聞いてみましょう。丁寧にお伺いすれば、答えを返してくれると思います。
ノンバーバルコミュニケーションを使って情報を集め(ただし思い込みには注意して)、共感力と想像力を駆使して、おもてなしの心を忘れずにトレーニング計画(難易度設定)を行う事がよいNGを引き出すには必要です。
つまり「段取りが大事」ということです。
 
おもてなしと甘やかしは大違い
イルカ(動物)の「嫌だ」という意思に流されて、OK基準を下げたり嫌な事を中止する等、後のことを考えず強化すること、これが甘やかしです。嫌な事を最初に体験しなければならない事が、おもてなしと大きく違う点です。
甘やかしの問題点は3つ。

①相手の求めているものを探していない、相手を知ろうとしていない。
②嫌な事を体験しなければならない
③嫌だという意思表示や、やらない事だけが強化され、進歩や発展が無く、いつまでたっても「わかった!「出来た!」にたどり着けない。

イルカ(動物)が嫌な体験をしなければならなかった原因は、全て人側にあります。情報収集不足、思い込み、無神経、共感力と想像力の欠如、不十分な計画、難易度設定の不備等、全ての準備不足はイルカ(動物)を傷つけます。相手を知る努力を怠れば、おもてなしは一瞬で強制や迷惑に形を変えて、そのあとには甘やかしや強制をしなければならない世界が待っています。
 
おもてなしの先に・・・

おもてなしを受けたイルカ(動物)たちは、どのように成長するか想像してみましょう。

・楽しい事や心地よい事が沢山起きる事を知っている。
・楽しい事や心地よい事を沢山求めるようになる。
・怖いものや嫌な事がほとんどなくなっている。
・本当に怖いものや嫌な事から逃げる手段を知っている。
・問題行動は皆無。
・覚えた種目や出来る事が激増している。
・行動の多様性が増加している。
・意思表示も増加。
・返ってくる答えはポジティブなものが多くなる。
・人と接することが大好き。
・信頼関係も加速度的に上昇。

そこには、能力を最大限発揮させ、毎日をのびのびと楽しむ魅力満載なイルカ(動物)が、自信に満ちた眼差しであなたを見つめている事でしょう。
 
まとめます。
イルカ(動物)のご要望をよく聞いて、
良いNG を利用し、
期待以上のおもてなしをすることが、
信頼関係構築への第一歩になりそうだ。
 
皆様はどのように考えますか?
 
さらに続く・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?