R-Dolphin Komaba

南地知多ビーチランドを経て、3施設(もとぶ元気村・九十九島水族館海きらら・四国水族館)…

R-Dolphin Komaba

南地知多ビーチランドを経て、3施設(もとぶ元気村・九十九島水族館海きらら・四国水族館)の立ち上げに携わる。海きららでジャンピングキャッチーボールを日本初公開。現在(イルカの為に)トレーナーのトレーナーとしてフリーで活動中。トレーナー経歴26年。夢:イルカと仲良くなること。

最近の記事

タイムアウトからタイムインへ?

タイムアウトとは、不適切な行動に対して、一旦全ての強化子を取り除く事です。教育現場など人に対しても用いられる手法で、動物トレーニングでは、一般的に餌を持って動物の前から後ろに下がる(立ち去る)という手段で行われます。さて、皆さんはタイムアウトについて、どのような考えを持っていますか?タイムアウトには、不適切な行動に対するトレーナーの考え方が濃縮されており、また、動物に対する向き合い方や、知識、価値感などトレーナの本質が現れる瞬間でもあります。私自身、タイムアウトについての考え

    • 動物との信頼関係について考える(4)

      弁別と信頼の悪い融合=執着? 信頼関係の成立や維持にとって「見分ける事(弁別)」は非常に重要です。信頼する対象を間違えると自身に危険が及ぶこともあり、イルカ(動物)は弁別に多くのエネルギーを使っていることが想像出来ます。弁別の目的は、信頼できるものを選択する事、そして信頼できないものを回避する事です。弁別と信頼は常に連動しています。この弁別と信頼が悪い形で融合すると、信頼できる人だけに執着し、その他は排除するというかなりヤヤコシイ事態が発生します。執着から脱出し、信頼関係を広

      • 動物との信頼関係について考える(3)

        イルカ(動物)と過ごす時間の中には、信頼関係を高めていくチャンスが沢山隠れています。一方で、全てを崩壊させてしまうような落とし穴も仕組まれています。チャンスを見落とさず、落とし穴を避けることは不可能に思えます。今回は、信頼関係構築だけでなく、崩壊してしまった信頼関係を再構築する時にも使えそうな考え方と方法を紹介します。今のところ、一番よさそうな考え方と方法です、参考にしていただけたらと思います。   「おもてなし」から始めてみよう。 今、目の前にイルカ(動物)が居てくれるだ

        • 動物との信頼関係について考える(2)

          イルカ(動物)と「信頼関係」構築方法について深堀りしていきます。   非言語情報による意思疎通(ノンバーバルコミュニケーション) 信頼関係を構築するうえで、意思疎通はとても大切です。イルカ(動物)との意思疎通で使われるのは、言語以外の情報(非言語情報)です。実は、人間同士のコミュニケーションにおいて非言語情報は日常的に使用されているようで、飛び交う情報の93%は非言語情報だそうです(メラビアンの法則)。もしかしたら、知らないだけで人間を含めどんな動物でも非言語情報によるコミ

        タイムアウトからタイムインへ?

          動物との信頼関係について考える (1)

          「信頼関係」という言葉を使うと・・・ 細かい説明せずに相手を煙に巻くことが出来て、 なんかわからんけどすごいんだーと相手に思わせる事が出来て、 深く理解する必要なくだれでもすぐに使う事が出来る。 とっても便利な言葉ですね。   信頼関係という言葉をすぐに使うトレーナーには、ちょっと胡散臭さを感じてしまいます。科学的でより単純な仕組み(強化学習等)で説明できる事について、何で「信頼関係」って言葉使うかなー?って思っちゃうんですよね、きっと何かこだわりがあるんでしょうね。 そもそ

          動物との信頼関係について考える (1)

          動物トレーナーの皆さまへ、分割思考してみませんか?

          動物のトレーニングが終わったあとで「あれ?私は何がしたかったんだっけ?」ってなることありませんか。親切な人に囲まれていると「アナタは何がやりたいのかわからない!!」って優しく声をかけてくれることもありますよね。また、トレーナー同士でも、伝えたいことが伝わらない、相手の言っている事も腑に落ちない、そんな時には、分割するとスッキリしますよーというお話しです。 「やりたい事がわからなくなっちゃう現象」は  ・いつでもどこでも発生する  ・知らないうちにふわーっと始まる  ・個人だ

          動物トレーナーの皆さまへ、分割思考してみませんか?

          「エサで釣る」についての考察

          「エサで釣ってるんですよねー」と言われるたびに 「強化を使ったトレーニングです、違うんですけどー!」 と大きな声で言いたいのですが、 「じゃー違いを説明してみろ」 っていわれるとなかなか説明出来ない、結構難しい。 「絶対に違うんだーっ」て思ってるところを考察してみようと思います。 普段やってるトレーニングは、   1、トレーナーがサインを出して   2、イルカが行動を起こし   3、イルカにとって良い事が起きる するとサインに対応した行動を行う頻度が上昇する。 強化を利用し

          「エサで釣る」についての考察

          終わりのサイン問題

          トレーニングの最後「トレーニングおしま~い・終了!」のサイン、皆さん使ってますか? 問題発生してませんか? 終わりのサインを出すと・・・・  ・ブリーチジャンプ、テールスラップ  ・ステージへの乗り上がり  ・ゲートや壁面への突進  ・餌遊び、嘔吐  ・他個体への威嚇、攻撃  ・ゲストやトレーナーへの威嚇、攻撃 困ったなー、対策しなきゃなー、でも毎回出るわけでもないし、どうしようかなー。 そんなこんなで、ぐずぐずしているうちに、加速度的に問題が大きくなってから、ようやく対

          終わりのサイン問題

          ターゲットについての深ーい話【サーカスの鞭はターゲットなのか?】

          今回は、トレーナーが使うターゲットについて深堀りします。 出演している猛獣使いは世界No1らしい!ということで、猛獣ショー目当てにサーカスを見に行った事があります。さすが、世界No1ですね、一人で一度に複数頭のライオンを自由自在に扱っていました。もちろん、視点は一般人とは違います。「なにか盗めるモノは無いか」という目で見るので全く楽しめません、っていうか楽しむつもりは初めからありません、職業病です。 「バッシッ!バッシッ!」と鞭の音が鳴り響きますが、ライオンは叩いていませ

          ターゲットについての深ーい話【サーカスの鞭はターゲットなのか?】

          一人で出来るもん!【やる気を奪う過剰ヒント】

          悪意のない他人から差し伸べられた温かい手助けやヒントで、やる気を全て無くしたことはありませんか。 ・赤ちゃんが初めて立つ瞬間 ・完走目指して頑張ってきたトライアスロンのゴール直前 ・あと少しで解けそうなクロスワードパズル 手を差し伸べた瞬間に全て台無しにしてしまう場面、ありますよね。 手助けするか、何もせず見守るか・・・、悩む前に手と口が出てしまうことがほとんどです。困っている人は助けてあげましょうね、って子供のころから教えられてきましたから仕方ないですね。でも、手助けの

          一人で出来るもん!【やる気を奪う過剰ヒント】

          うまくいかない強化の原理【強化子の効力】

          素直な野生動物だけでなく、野生動物以上に扱いにくい人間までも担当させられ、高度でシビアな技術を必要とする場面で日々戦っているトレーナーの皆様、頑張った自分にご褒美あげてますか?誰かに褒めてもらってますか?気分転換してますか? 今回は、トレーニングの現場で起きるふしぎな怪奇現象のお話。理解不能な現象に遭遇したことありませんか?  「トレーニング中に奇妙な現象が起きるんです」   →どんな事が起きるのですか?  「餌をあげたのに行動が強化されないんです、霊的な何かでしょうか

          うまくいかない強化の原理【強化子の効力】

          動物は正の強化で幸せなのか?

          へたくそトレーナーは思うわけです。 トレーニングがうまく進まない、イルカは離れ戻ってこない、時には威嚇されたり、採血しようとすればあとちょっとのところで逃げられる。 そんな毎日を過ごしていると、ヨカラヌコトを考えてしまいます。 「強化子がもっと魅力的だったら、トレーニングがどんどん進むのに」 「強化力さえ強ければうまくいくのに」 「どこかにもっと強力な強化子ないかなー」 資料に載っていないかな、もう一度調べてみるか? ちなみに、書籍や論文や他人の知識に答えを求め、必要な

          動物は正の強化で幸せなのか?

          イルカが離れていく!何でだ!3(経験者の失敗公開バージョン)

          迷走中のトレーナーの皆様、うまくいかない時には、他人の失敗で元気になりましょう。 という事で、皆様のモチベーションアップの為に、私の失敗を紹介します。今思えば、「そりゃ失敗するでしょ」的なものばかりですが、当時は真剣に考えて良い方法だと思って行っていました。試す前にうまくいかないと言われたら「そんなはず無い」と反論し、前にやった事あるし効果も無かったと言われたら「アナタとはやり方が違う」と屁理屈を言う、最高に面倒くさいやつ、と思われていた・・・のかな?自分では様々な意見や考

          イルカが離れていく!何でだ!3(経験者の失敗公開バージョン)

          イルカが離れていく!何でだ!②(テクニックからの脱出、経験者の皆様応援バージョン)

          仲良くなりたいのに、遠く離れていく、一生懸命に手を伸ばしても届かない、どれだけ叫んでも帰ってっこない、そんな素敵で魅力的な存在って何でしょうか? それはイルカです。 イルカの離れって恐怖ですよね、特に経験年数が長ければ長いほど。 僭越ながら、今回は経験者の皆様を全力で応援させていただきます。 残念ながら最後までお読みいただいても、明日からイルカが離れなくなることはありませんのでご了承ください。本当に余計なお世話ですよね。 それでは行きますよ、最後までお付き合いください。

          イルカが離れていく!何でだ!②(テクニックからの脱出、経験者の皆様応援バージョン)

          イルカが離れていく!何でだ!①(新人トレーナー応援バージョン)

          「離れ」という言葉に過剰反応する人がいたら、絶対に海洋哺乳動物系のトレーナーですね、多分イルカトレーナーです。むしろ「離れ」に恐怖を感じているトレーナーも多いのではないでしょうか。多くの皆様にはなじみが無いと思いますので、あらためて離れとは何か復習しましょう。 「離れ」とは、 ショートやレーニングや取材中にコントロールが効かずイルカがトレーナーの前からいなくなってしまう事。絶対に失敗してはいけない場面や、絶対に大丈夫と慢心した瞬間になぜか多く発生する。動物を離すと、その場の

          イルカが離れていく!何でだ!①(新人トレーナー応援バージョン)

          とっても素敵なイルカとの壮絶な戦い・バケツ倒し編3

          バケツ倒すのやめてー。 イルカがバケツを狙ってアタックを仕掛けるポイントがわかってきました。 バケツを中心としたイルカとトレーナーの位置関係、そしてトレーナーの注意力。わざと隙を作って、それでもバケツを倒さず、きちんとできたら強化、強化。 ところが、やってみたら、意外と難しい。 見てないふり、よそ見しているふりに騙されて、バケツを倒しに来たのは最初だけ、そのあとバケツを倒しに来ないんです。イルカにとって、トレーナーがバケツに注意していないように見えないと(感じないと)トレー

          とっても素敵なイルカとの壮絶な戦い・バケツ倒し編3