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冬月コウゾウの行動目的は何だったのか?~新劇場版ヱヴァンゲリヲン

エヴァンゲリオンは終わった。

新劇場版で冬月コウゾウがどう動くのか楽しみだった。

ずっと何がしたいかわからない不気味な存在だったからだ。

最後はまさかの、登場人物全員に1人で喧嘩を売って、

オラー!全員まとめてかかってコイヤー!

ってやったので、彼にとって作中の登場人物は、未婚の彼にとっての自分の子供たちなのかな?

と感じた。

子供たちよ、わしの背中を超えられるのか?

映像を見ていておっかなかった。

だが私はその姿に美しさを感じた。

ラストが終わって、物語のとんでもない父親みたいな存在って、碇ゲンドウが弱体化したので、冬月が一身に役割を引き受けたように思える。

社会的に自分の地位に対して保守的な人間が増える現代、

おまえたちの好き世界にしたいなら、まずはワシを殺してからにしろ。

面倒くさいから全員まとめて相手にしてやる。

というドメスティックな精神は、全部冬月が背負いこんだのだ。

自分が創った組織に、自分が育てた若者に、最後は自分が単騎で喧嘩をするというのは、冬月コウゾウは物語で最も胆力があったのではないだろうか?

碇ゲンドウと碇シンジの、世界を賭けた最後の戦いをやらせてやる代わりに、最強の老人としてヴィレの前に立ちはだかり、そして散っていく美しさ。

彼は物語の無口な最強の裏ボスとして、黄泉の世界に旅立ったのだ。

マンガ版の冬月コウゾウは、新劇場版と比較しても、かなり心の弱い老人だった。

しかし新劇場版では、高齢者の経験に基づく圧倒的な静かな強さに私は魅せられた。

さよなら、全てのシリーズの冬月コウゾウ

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