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コルリ・ヒトリ・ガタリ

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こるりのひとりごと。物好きの方用。「カタメ・コイメ・オオメ」への情熱は獄舎のような高等学校の瀟洒な図書室に置いてきました。
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#01 隙・自・語

#01 隙・自・語

 どうもこんばんは、こるりです。文語調で話すことに定評がある阿呆です。子どもの頃からどうも、わちゃわちゃとした会話が苦手で、これまで幾度となく人見知りを発揮してきました。その反面、一定の礼節を弁えていたため、世の大人たちからの評価はわりに高く、色んな下駄を履かせてもらっておりました。

 しかし、今では私もいい大人です。一体誰がかわいがってくれるのでしょうか。慇懃な返答を続けてきた末路が、慇懃を重

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インギンブレイク

インギンブレイク

 慇懃に振る舞おうと試みるうちに、慇懃を重ねることから遠ざかっていく。

 私の内面に強く根づいた畏れは、礼儀正しさの反面、恐れにもかたちを変えてしまう。もしかすると嫌われているかもしれないという虞は、私の心身を硬直させ、それまでの思考をすべて真っ白にする。

 はっきりと申し上げて、私は人付き合いが下手だ。特に、大人数の集まりがすごく苦手で、集団の中でどう振る舞うべきか、悩みが尽きない。「人付き

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自意識と語学

自意識と語学

 フランス語をよく勉強したひと月であった。それも体系的に。

 四月からはじめたラジオ講座をお休みし、文法書と検定用のテキストを行ったり来たりするような勉強を続けた。すると、驚くほどすんなり基礎文法が頭に入ってきて、まとまった文章を読めるようになった。学生の頃は同じような手法で勉強を重ねてもちっとも上手く行かなかったのに。

 何が変わったのだろうかと考えてみた。自戒の念を込めて、覚書きを残してお

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認識と語学

認識と語学

 昨年の秋口あたりから、いよいよ本腰を入れてフランス語に取り組んでいる。契機こそ必要に駆られてではあるが、それ以上に言語を学ぶことが面白くて仕方がない。

 いざどっしりと構えて外国語と向き合ってみると、世界の捉え方を学んでいるような感じがする。無味乾燥だった文法のあれこれが、世界を切り分ける因子として躍動しているように思えてくるのだ。

 私たちは新しいものを取り入れようとするとき、既に知ってい

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運動神経、ほか

運動神経、ほか

 何をするにも運動神経というものが備わっておらず、ひどく歯痒い思いをしてきた。小学校の時分の体育に始まり、果てには楽器を奏でるうちにまで。あらゆる身体的ないとなみに違和感を抱く。

 なんとなく、こういう感じ。適当に真似てみて。一切分からない。いや、少しだけ分かる気はせど、出力が伴わない。

 おそらくは私が全てにおいて字面から入るせいだろうか。あるいは、分からなさゆえに分かる記号に置き換えて日々

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