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来るか、CSRの逆襲

SDGs、ESGに押されてすっかり影の薄くなった感があるCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)。
2000年頃に企業不祥事が頻発したのをきっかけに注目され、日本では2003年がCSR経営元年と言われ、CSR室を創設する企業が相次いだ。

CSRの看板が外される中で

流れの早いサステナビリティ業界の中で、CSR室はサステナビリティやSDGs推進に名前を変え、ウェブサイトも次々と看板が挿げ替えられており、あれだけ世に沸いたCSRおじさんも、もはや絶滅したかに思えるが、どっこいここに来て改めてCSRのワードに出くわすようになっている。それは、取引先から届くアンケートだ。

ESGを推進するにあたり、取引先に対して、きちんと課題解決を促しているか確認する必要がある。例えば、CO2排出削減の経過であったり、人権における「児童労働を禁止する取組や宣言があるか」などを問合せていく。これらESG課題をまとめたアンケートのタイトルはCSR調査とついていることが多い。

CSR調査はこれから増える

確かに国連発の社会全体ゴールSDGs、投資家の定めるお題目ESGに対して、企業が法に定められた以上の社会的意義を追求するCSRはこの場に相応しい。

アンケートと書くとユルく聞こえるが、適切でない取引先と判断された場合は、今後サプライチェーンから外すことも検討するとあったり、穏やかなものではない。

自社のサステナビリティ対応が整ってきたら次に必ず取引先へと向かうし、サプライチェーン全体を現すScope3でのCO2削減を目指すので、このCSRアンケートがしきりに飛び交う未来が容易に想像できる。

主要なテーマは変わっていない

諸々見解あるとは思うが、CSRが古びた考えかというと、全くそのようなことない。2009年のニッセイ基礎研究所の「日本におけるCSRの系譜と現状」内の図を見ると、驚くほど現在ESGの課題として出てくるものと同じだ。

ニッセイ基礎研究所「日本におけるCSRの系譜と現状」より

同レポートは、日本企業でのCSR受容のズレを指摘し、「現状を打破して本来の姿とするため」に、となかなか熱い書きぶりで大変面白い。

残念ながらここまで日本のCSRは大勢が社会貢献や寄付に留まり、レポートの懸念のまま変わらなかったが、企業や社会の意識が高まる中で、ほのぼのCSRが、様々な社会課題を含んだマジもんCSRへと変ぼうを遂げ、現れる時がやって来るかもしれない。
〈了〉



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