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アニメプロデューサーがwebtoon制作をやってみた。アニメ制作との接点やwebtoonづくりの面白さとは?【前編】

この記事を読んで為になる方は…

アニメ業界で一定の経験を積んだ方でそのスキルや経験を活かしてキャリアチェンジや新しいチャレンジをしたい、その中で選択肢を広げたい方にとって少しは為になるかもと思い書いております。
具体的には日々、アニメ制作を行いながら以下のようなことを考えたことがある!という方は読み進めても損はないかと思います。

  • 作品作りの上流から下流まで目が行き届かせたいなぁ。自分が納得の行く作品作りがしたいよ

  • なるべく少人数で制作したいなぁ

  • 大量の素材の取り扱いが大変すぎる!

  • もっと深くストーリーやキャラクターづくりにこだわってみたい!

  • オリジナル作品(またはオリジナル性の高い作品)を作る打席を増やしたいなぁ

  • 今持っているスキルや経験を活かして、新しいチャレンジがしたいなぁ

最初に結論を述べてしまいますが、
新しく立ち上がりつつあるwebtoon産業、その中の制作現場においてはアニメを作ってきた人々のスキルや経験がめちゃくちゃ活きますしし、現場は求めている」
ということです。

それはなぜ?
webtoonってなにやるの?
作ってて実際どうなの?


などの話を、アニメを作っている僕が実際にwebtoonを作ってみて思ったことを中心に書かせていただければと思っております。
個人的にはこの記事がアニメ制作者の日々のアニメ制作に少しでも役立ったり、また新たな可能性を見れるきっかけになると嬉しいです。

この記事の筆者の紹介

出典:https://cmex.kyoto/2021/09/19/32800/

まずはここでこの文章を書いている人の紹介をさせてください。写真の一番右が僕で、迫田祐樹と申します。

写真は「第1回 京都アニものづくりAWARD 表彰式」というイベントに登壇したときのもので、普段は京都に住んでいてオリジナルアニメ映像のプロデュースやミュージックビデオのプロデュースを中心に行っております。以下、プロデューサーとして関わった作品の一部です。

・オリジナルショートアニメ「ポケモン Kids TV ヒーローになりたいヤンチャム」
・オリジナルショートアニメ「ポケモン Kids TV ふぶきのなつやすみ」
・VR ミュージックビデオ 「夜行」「花に亡霊」ヨルシカ
・ミュージックビデオ 「白銀」Eve

2020年に京都に引っ越して、アニメやマンガのエンタメ産業を盛り上げる活動も行っておりまして、その他のチャレンジとして、音声コンテンツの企画と制作、webtoon作品の企画と制作、を行っております。

アニメ制作のひとつの側面はカラーの画(絵)を作るということ

筆者がプロデューサーとして参加した「押絵ト旅スル男」

ここでアニメについて少しだけ棚卸しさせてください。 アニメって言わずもがなですが映像ですね。その映像の構成要素にはストーリー、キャラクター、画(絵)、時間、音楽、音声など様々な要素が内包されますが、プロダクションフェイズにおいて主に作り手が時間、スキル、経験を投じて作るのが、画(絵)の部分だと思います。 この画作りを行うにおいて必要になるのが

  • アニメーターのレイアウト&作画技術

  • 仕上げスタッフの着彩技術

  • 背景スタッフの背景美術を作る技術

  • 撮影スタッフのすべての素材を結合して画を作る技術

  • それをマネージメントの視座で束ねる制作デスク、制作進行など

他にもここでは言及しきれない様々なスキルや経験を持つスタッフでアニメは作られています。

もうちょっと追記すると、大量のカラー素材を作り、それを短い制作期間の中で管理し、作り切る。そのために適材適所の分業体制を敷く。このようにして出来上がっている制作パイプラインのすごさは、現状の年間に生み出されるアニメの分数を見ても顕著でしょう。

僕が今回思ったのが、そのアニメ制作で積み上げたスキルと経験を客観的に認識してみてみると、アニメ制作はもちろんのことなんですが、アニメ以外のアウトプットにも活きるものばかりだよなということ。
前置きはこれくらいにして、いよいよ次からはwebtoonについて語っていきましょう。

webtoonとは?

ここからwebtoonに触れていきます。まず前提の定義です。
webtoonとは、スマホの縦長画面に最適化(メディア最適)し、マンガ的な絵や吹き出しの連なりにより構成され、基本的にはフルカラーで生成されることが多いコンテンツの一つの形です。スマホ時代で新しく生まれたコンテンツであり、同時にスマホがもたらした、時間や場所を制限されない、新しいコンテンツ視聴体験でもあります。

また別の機会があれば詳しく書きたいのですが、このように新しいメディアが生まれたときにはそのメディアに最適化した新しいチャレンジ、ワークフローが開発され、現在進行系で日々アップデートしていきます。このタイミングで色々なチャレンジを仕掛けることができるかもしれないというポテンシャルも感じます。

日本でのwebtoonの現状

日本でも出版社、ストア、制作スタジオなどのプレイヤーが増えてきました。上記のカオスマップは「ウェブトゥーン業界カオスマップ2022年10月更新版」となってます。ちなみにこのカオスマップ、今年のはじめの2022年3月段階だと…

という形で、どんどん参入プレイヤーが増えてきていることがわかります。このあたりは数字感なども含め、出典元の記事やその他経済観点で書かれている記事が沢山ありますので、そちらを参考にされるのをおすすめします。

それで実際にwebtoonやってみてどうだったの?

Minto Studio制作の「モブなのに過保護な公爵に溺愛されてます」

まずは結論です。冒頭でも述べたことの繰り返しになるんですが、アニメを作ってきたスキルや経験がすごく活かせます。つまり最初からちょっとだけ強くてニューゲームみたいな感覚があります。

またアニメ制作と比較すると、基本的に少人数で一作品を作っていくので、素材の管理コストやコミュニケーションコストがかなり減り、作品作りに集中できます。このあたりが「少人数」で「作品づくりにもっと深く入り込みたい」という人のニーズに合う部分になります。

では具体的にどんなスキルや経験が活きたのか、一つの気づきをもとに説明していきたいと思います。(以下後編につづく)


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