北京留学記:有縁千里来相会
必修授業である総合クラスの教科書でまず勉強した文章は「北平的四季」と題された、中国の作家・郁達夫の手によるエッセイだった。北平というのは中華民国時代に北京につけられていた名前で、中国語を勉強している留学生が読みやすいように編集されてはいたが、その文章は人々の生活の様子を交えながら当時の北京の四季を描いたものだった。その中で郁達夫は、冬に北平らしさとでもいうものが表れると書いている。北平の冬は骨までしみ渡るように寒く、北風は強く吹きつけて空も常に重苦しい灰色をしている。しかし一