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サムネイルで釣るようなやり方は、ブランディングではない

Voicy No.0273  2023年2月6日放送
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マーケティングとブランディングを混同していませんか。この2つの違いを明確することがビジネスの成功につながります。サムネイルで釣ったりせず、ブランドの真価を伝え続けるには、どうしたらいいでしょうか。




今日は「サムネイルで釣るようなやり方は、ブランディングではない」というテーマでお送りします。

マーケティングとブランディングの違い


前提として、「マーケティングとブランディングが違う」という理解は絶対に必要です。

マーケティングは興味を持ってもらうことで、見込みあるお客様に一歩足を前に進めて商品やサービスに近づいていただくこと。「興味付け」です。

ブランディングというのは「愛されること」です。

初めて出会った方に愛されるのは、無理じゃないですか。
でも、まず出会ってもらわなければいけません。

例えば、私も映画好きなんですよとか、今でも魅力の1つかもしれない「自分は高学歴ですよ」とか、「医者ですよ」とか、相手が興味を引くことを先に伝えます。

人間関係でマーケティングとブランディングを説明するのであれば、何かキャッチーなことを言って、自分に一歩近づいていただくわけです。

「予約の取れない何々という店に来週行くんだけど、一緒に行こうと思っていた方が行けなくなったので一緒にどうですか」みたいにね。

これは興味のフックをかけるというマーケティングで、男性によくあるやり方です。

「オレの車、フェラーリだよ」もそうですが、その人がフェラーリに乗っていようが、見栄えが良かろうが、その後愛していくかどうかは、また別の話。

だから興味付けの技術が、マーケティングなのです。

ブランディングというのは、「相手がこの人じゃなきゃダメ」「このブランドじゃなきゃダメ」というスタイルやセンス、ポリシーを繰り返し伝えていって、関係を構築して深めていくことです。

これはダメではないのですが、ビジネスを始めた人、なかなか売上が上がらない人、状況が停滞している人が手を出しやすいことがあります。

ちょっときつめに言うと、期待値をどう煽って商品を手に取らせるか、サイトに誘導するか、店舗に来てもらうかみたいなテクニックを最初に学ぶでしょう? 

オレも起業した当初はそうでした。

「限定感を出せ」とか、「すごさを伝えろ」とか、「のべ何万人が受けた何とかだ」と期待値を上げるじゃないですか。

期待値を上げるのは、あくまでもマーケティングの領域です。

その段階ではやるのはいいですが、ブランディングは相手との関係構築です。何年も関係が続いている人に、煽りとか「はったり」をかましたりしません。

どちらかというと期待値を抑え込んで、その期待値を上回っていくことによって関係が継続的に続くところがあります。

それって矛盾しているよね? マーケティングとブランディングで逆方向を向いていると思うかもしれませんが、事実、逆方向を向いているのです。

ルイ・ヴィトンが草間彌生とコラボしたわけ

ブランディングは顧客との関係構築において自分たちの哲学・スタイルを好きになってもらわないといけないから、じわじわ繰り返し伝えていく必要があります。

これを本当にうまくやっているのが、ヨーロッパのハイブランドです。

2023年1月半ばぐらいから、ルイ・ヴィトンが全世界的なマーケティング策として、草間彌生さんを使って、めちゃくちゃお金を掛けて興味付けをしています。

草間彌生さんのロボットみたいなものをつくって、アイキャッチ(目を引かせるもの)として原宿とか銀座とか世界の主要店舗に置いて、面白がらせて足を運んでもらって興味を持たせる作業をしています。

これが「期待値を高める」とか「興味のフックをかける」というマーケティングです。

ルイ・ヴィトンのようなブランドになっていくものでも、最初はキャッチーなことをして足を運ばせておいて、そこから教育していきます。

顧客との関係構築では、われわれの哲学はとか、われわれがいかにカバンや職人を大事にしているかを教育するのです。

ですから目立つのは草間彌生のロボットだとしても、「草間彌生のが面白いから見てみようか」「無料のイベントがある」ということで行ってみると、スタッフはもちろん草間彌生とかキャッチーな話をします。

けれども「ルイ・ヴィトンが丁寧に商品をつくっている」とか、ブランドのスタイルの話やルーツ・ヒストリー・ポリシーの話を、とつとつとするわけです。

すると、草間彌生のキャンペーンでわあっと盛り上がった1000人のうち何割かが、そもそものルイ・ヴィトンが伝えたいものに興味を持ちます。

分母が多い中でも、ちゃんと伝えたい哲学・ポリシー・メッセージ・センス・スタイルに興味を持つ人はいて、確率としてはがくっと減るという二段階のやり方を採っているのです。

期待感を煽るな


集客とかマーケティングがうまくいくと、人って気持ちいいものです。
ビジネスオーナーの人は経験があると思いますが、熱狂しちゃうわけ。

ただ、サムネイルで釣るのはテクニックでできるとして、マーケティングで顧客心理誘導とか驚かせるとかがビジネスだと思い込んでいる人は、じわじわ自分たちのスタイルとか哲学を伝えていくことに、喜びを感じられなくなります。

まどろっこしいというか、面倒くさいという感じになっていって、だんだんサムネイルで釣るテクニックがうまい人のことを崇拝し始めたりします。

それを全然否定する気はないですが、ブランドになりたいのであれば、サムネイルで釣るだけで終わらせるようなやり方では、全然ブランディングにはならないという話です。

なのに、これをいまだにやっている人がいるんだなと思って。

これは好き嫌いの問題と捉えてもらっていいですが、Twitter(X)を見ていると、「答えはプロフィールに」の流れがあるじゃないですか。

なぜ1つ面倒くさいことをさせるの?と思うのね。

あれは心理誘導です。

わーっと面白いことを書いて、いちばん面白いことをプロフに書いて、Twitterのプロフィールに行くことによってフォローさせようとしているのでしょう。

でも、答えを投稿に書いてくれれば、納得いったらフォローするのに、はめてきているのだろうと思います。

あれをやっていてブランディングだと言っている人がいたら、ちょっと違うというのがオレの見解です。

期待感を煽りすぎず一致させていくのが、いいブランドをつくっていく作業になります。

コテツでした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
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久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
Instagram https://instagram.com/q.kotetsu/?hl=ja
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