ラーメン2000円論争について
Voicy No.269 2023年1月25日放送
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ!
みんなが気に入ってくれる商品はないのです。それよりも対象に合わせて価格設定し選択の幅を広げたほうが、あなたのお客様の満足につながります。
選択の幅をつくる
今日のテーマは「ラーメン2000円論争について」です。
2023年1月に少しだけTwitter(X)とかで騒がれた象徴的な出来事だからタイトルにしただけで、ラーメン2000円について語りたいのではありません。
商売をするときに多くの人は、業界平均、業界相場を見て、それに合わせてプライシングしたりサービス設計をしたりするのが大好きです。
先に言ってしまうと、ラーメンがいくらだろうが、消費者からすると選択の幅があるほど豊かだから、「分けたらいいじゃん」ということなのです。
お金を払って早く行きたいなら高速道路で。
無料でゆっくりでいい人は下道で。
飛行機もファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミーとあるように
他人と目線が合うのが嫌ならば、
ファーストクラスで何倍も払って、ちょっとカプセルっぽい、目線が周りと全然合わないような、ほぼフルフラットになる席に乗ればいいわけで。
これを消費者に強制されたら困ると思うけれど、「全員ファーストクラスに乗れ」といったら騒ぐ必要があるけれど、幅がないことのほうがよっぽど問題です。
対象と価格設定を決める
何の話かというと、ターゲティングとプライシングで、自分の提供する価値を誰に満足していただこうと思っているのか。
ビジネスする側から考えてみたときに「皆に好かれたい」という曖昧で都合の良い考え方が、全くお客様のためになっていないと考える材料として見ています。
全く個人的な事柄なので「分かる」という人もいれば、「そうなの?」という人もいると思いますが、オレは仕事が終わって家に帰って、その後また一人カフェとか一人飲みに行くことがあって。
ゆっくり本を読みたいとか、考え事をしたいことがあるからです。
オフィスにいても、アトリエにいても、家にいても一人だったとしても気分を変えたいから、シチュエーションを変えるために一人でカフェやバーに行くのです。
そのとき、オレは男だから「ない」けれど、一人で女性がバーに行ったら話し掛けられたりナンパされたりしているでしょう?
さらに深夜の一人カフェに行ったとき、気持ちよく飲んでワーッと騒いでいる方がいたんですが、そういうお店だからいいんだけど、一人飲みの場所を間違ったことがあって。
一人で考え事したり本を読んだりiPadをいじったりしたいので、深夜一人飲みしたり一人カフェできる所で、一人席しかなくて声出し厳禁の店があったら、割高でも行こうと思っているんです。
だから飲み物の値段ではなくて、一人ゆっくり時間の流れをスローに感じられて、自分の思考を邪魔されない状況にお金を払うのであれば、コーヒー1杯2000円でもいい。
もちろん、話し掛けられてもいいときは、そういう店に行けばいいし、静かで周りがバタバタしていなくて深夜やっているバーでもカフェでもあれば、オレはコーヒー1杯が2000円だろうが2500円だろうが、行きたいです。
これって結局、使い方とシチュエーション、ターゲットが求めている価値とかテイストがあるかないかにかかってきます。
オレはラーメンが1杯2000円でも2500円でも、それで隣の人と肩がぶつかるか、肘を張ったら肘が当たってしまうか、隣の人が広げている新聞が自分の目線に入ってくるのが嫌な人は、ラーメン自体がそんなに素材に手間を掛けていなくても、スペース代として2000円払って食べたい人はいなくもない。
なので、お店側が、そういうユーザーの欲求や需要を受け止めて、やればいいんじゃないかと思うわけ。
みんなって誰のこと
今日は何の話かというと、商売をやっている人の「みんなに気に入られたい幻想」は本当に幻想で、「みんなが好き」なんてないんです。
昔みたいにドリフターズの「八時だよ、全員集合」が視聴率50~60%で、昔の「紅白歌合戦」は六十何パーセントだったという話もあるけれど、そんなことは、もうあるわけがない。
この娯楽が多様化して、自分の手の中にスマホがある時代に。
商売するとき、「みんなどう言うかな」みたいなことばかり気にしている人がいます。
ただ「みんな」は自分のお客様じゃないです。
自分のお客様を満足させることがとても大事で、自分のファンの方を熱くすることが大事で、そう考えたときに、ぎゅっと狭くなるはずじゃないですか。
そこをぎゅっと絞り込めているかどうかが、プライシング、ビジネスモデル、ブランドコンセプトにダイレクトに関係してくるので、そこを考えてやったほうがいいですよね。
誰の、何を、どう満たすのか。
さっき言ったように、一人飲みで夜中にやっていて、ゆっくり本を読んだり、iPadやパソコンで映画をのんびり見たりできて、薄暗くて静かでBGMもささやかに、歌詞が入らないものが静かに流れていればいい。
あとは匂いがよくて、間接照明とかで手元だけ明るければいいですよね。
オレがそんな店をやろうかな、もう。
なので「みんながどう言うか」は関係ないのです。
フェラーリの車が1台500万だろうが1億だろうが1億5000万だろうが、それは買う人が決めればいいだけ。
オレは少し前の放送で話したことがあるんですけど、ダイナミックプライシングで需要と供給でコンサートのチケット代が変わるとか、特別席に特別なサービスが付いているのは大賛成です。
それによってビジネス運営側からいうと利益が取りやすくなって、その分クオリティーを上げていけるのです。
転売ヤーとかが独占的に不正というか、反則的なやり方で手に入れて、それをすごく高い金額で、フリマサイトで高く売りさばけばいいと思っているわけではないので、そこは誤解ないようにお願いしたいです。
コロナ前、フランスに仕事でばりばり行っていたときに、エコノミーで行くときも最初のころはあったけれど、体がきつくて疲れちゃって着いてからビジネスにならなかったです。
疲れを取るために寝たりしていて。
それってどれがいいかではなくて、そのときどこに金をかけるかの選択だから、そう細分化されていく時代が来ているので、どういう方に、どういう意味合いでお金を払ってもらうかが大事な気がしております。
コテツでした。
久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
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