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守るべきものと変えるものの判断について

Voicy No.0264 2023年1月11日放送
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ!

ブランドとして思想や哲学を持ち続けながら、どうしたら時代の変化に対応していけるのか。ヨーロッパのラグジュアリーブランドを具体例に、その判断の仕方を見ていきます。


Voicyに質問をいただきました



今日のテーマは「守るべきものと変えるものの判断」です。

Voicyのコメントでご質問をいただいたので、このテーマでお答えしようと思います。

コメントはすべて目を通して、できるだけ返信もさせていただいています。文字だとお返しが足りないものは実際の放送でお答えしています。

コメントをくださる方の質問ってレベルが高すぎですが、しょうもない質問でもオープニングトークに関する感想でも、「コテツの勝手な思い付きVSあなたの思いつき」のように書いていただいても全く構いません。

日本人は真面目なので、いい質問にまとめるために勉強するようなことが起こってしまうんですが、気になったことでいいのでコメントで入れてください。

コテツは年齢とキャリアを重ねたら、もっと緩くやっていこうと思っているので、緩いコメントもくだらないのも楽しみにしております。

takeさんが「安定販路の獲得を甘く見ないで」を聞いて、送ってくださった質問です。

いつも音声で学ばせていただいています。ありがとうございます。
コテツさんの音声をお聞きしていると、商売において自分のこだわりや思想哲学を押し出してブランディング(ファン化)する重要性を口説かれている一方、市場の変化に敏感になり、それにアジャストしていくマーケティング的な考え方の重要性も口説かれているかと思います。どっちも重要ということは頭では分かっているものの、相反する要素とも感じるこの2つの切り口に対して、実際にどう住み分けしていくべきか迷っています。ご教示頂けますと幸いです。

Voicyに頂いたコメント

ブランドとして中心に据えていて大事にしている哲学・思想の部分と、時代の変化に合わせていく部分とどう折り合いをつけるのか。相反するのではないかというご指摘です。

何でもかんでもがブランドになれるのではありません。

ブランドというのは「これじゃなきゃダメ」というファンがいることで、そのファンは相対比較ではないもので、そのブランドについて行くと決めているのが大事。

というより、それが最低必要条件なので、安かったらほかのブランドに変えるとか、こちらの方が性能が良いから買っているというのは言い方としてはあるんだけど、実際は好きだから買っているところに持っていけるかどうかが、ブランドになれるかどうかの大元です。

だから思想とか哲学がないというビジネスがブランドになれるかというと、その時点でノーなので、まずそこを前提として改めて伝えた上で説明に入っていきます。


思想哲学があれば


アップル製品全般を買っている人に2種類います。どっちが本物かということではないし、選び方がいいとか悪いとか言うのではなくて、「アップル製品がかっこいいし好きだし」だけで買っている人、「こういう性能が良くて買っている」という人に分かれますよね。

人間って自分の判断を毎度掘り下げたりするわけではなくて、「アップルの性能に惚れ込んで買っているんだ」と言い張っていても、よく考えたらアップルの外見だから買っている人も、かなりいるはずなのです。

何の話かというと、アップルには、亡くなったスティーブ・ジョブズの思想や哲学がまだ感じられるでしょう?

思想や哲学がある状態であったとしても、やっぱり時代は変化しているので時代に合わせなければいけないし、デザイン面や販売方法、どこと組むかというサードバーティやコラボ相手は時代で変わっていくので、アジャストしなければいけません。

takeさんが言っている部分は「質問自体がほぼ答え」ぐらいに整理されています。

思想・哲学・スタイル・センスを大事にしつつ、販路・販売方法・表面的なデザインなど、今の世の中の流れからいくとやらなければいけない企画的なものは、合わせざるを得ないのです。

どこで相反するところに線引きをするかだけど、思想や哲学があれば、表面的なものは変えてもブランドがなくなってしまったり壊れたりするようなことはありません。

ブランドづくりという点で問題視しているのは、思想とか哲学とかスタイルとかセンスがはっきりないくせに、表面的なテクニックだけを追いかけてしまうこと。

例えば今はTikTokですねとか、今はYouTubeですね、SNSを頑張ればいいんですねということだけを気にしていて、本来中心に据えるべき哲学も思想も全く固まってない、あるいは、ないのにいくらやっても、それは絶対にブランドにならないよと言っているだけです。

思想や哲学がある限り、表面的な部分や世の中へのアクセスは時代に合わせて変えても、そんなにブランドが途絶えたり価値が下がったりすることはありません。


過去を再解釈して世に届ける


いい例か悪い例かぎりぎりの例として、ヨーロッパのラグジュアリーブランドを参考にしているんですが、ラグジュアリーブランドはデザイナーを変えています。

例えば、ルイ・ヴィトンなら ヴァージル・アブローというメンズの洋服デザイナーを入れて、ヴィトンの生産背景とか過去のアーカイブ(つくってきたもの)をこのファッションデザイナーが解釈して世の中に届けています。

こういうことをハイブランドはするのです。

例えばセリーヌというブランドにエディ・スリマンという人が来て、エディ・スリマン形式でセリーヌを解釈する。

グッチにアレッサンドロ・ミケーレというクリエイティブディレクターがいる。

分かりやすくいうとデザイナーみたいな人がいて、グッチの過去のさまざまな伝統的なものをデザイナーが変えています。装飾するというか解釈して表現するのです。

ラグジュアリーブランドがうまいのは、
3年とか2年とか5年でデザイナーを変えるところです。

そうすることで伝統思想を守りながら、世の中の今の時代に合わせた解釈や伝え方をする。ヴィトンのコラボとかもそうです、という話でした。

久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
Voicyアプリをダウンロードして『コテツ』で検索、無料で聴けます。
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ!

久々野智小哲津
二十数年にわたり、のべ7社ほど(8社目準備中)会社を経営。ITの会社を大きく成長させた後、新規事業でさまざまな事業を立ち上げ、フランス、イタリアを中心にヨーロッパからブランドを日本に持ってきたことをきっかけに、ブランドづくりができるようになった。
海外ブランドの日本進出や、日本国内の会社、サービス、商品、人(タレントさん、議員さん、スポーツ選手など)のブランドプロデュースにも関わっている。
Instagram https://instagram.com/q.kotetsu/?hl=ja
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