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母の日の似顔絵展のススメ

ある商業施設にて、母の日にちなんだ「お母さんの似顔絵展」を開催しているのを鑑賞しました。

似顔絵は、地域の幼稚園ごとにそれぞれ分けて展示されており、

それらをみていると興味深いことに気づきました。


【分類】

(1) 肌色(今の呼び名ではウスダイダイ)で囲っただけの絵

(2) 線だけで描かれた唇

(3) 口の中の歯まで描かれている

(4) ピンクの絵の具で背景を塗る


【結果】

以上に大別される絵が、ランダムに掲示されているのではなく、まとまって貼られているのです。

一見、デザインによって分類したかのようにみられましたが、それは意図的ではなく単純に幼稚園ごと、年齢ごとに分けて貼られていたに過ぎませんでした。

(1)は肌の色によって顔の輪郭を囲って、そのなかに目鼻口を描き込んだものであり、顔は画用紙の素の色、白色です。ヘアスタイルによって個性が出ています。

(2)は、ある幼稚園の年中組でした。顔の色は多くがウスダイダイ色で塗られていました。また口はいわゆるU字型の1本線で描かれていました。

髪の色が黒や茶色、さらには黄色と幅広く、実際のお母さんの髪色を反映しているのだろうと思われました。

(3)は、(2)と同じ幼稚園の年長組でした。1歳違うことによる変化としては、ヘアスタイルが詳細に描かれていたり、目なども細かく、背景にも多くの色を使い分けたりする子が増えていましたが、何より興味深く顕著な特徴は、歯が描かれていたことです。

多くは口角が上がった唇の中に黒色で境界線が描かれており、上下の白い歯が並んでいるのです。

(4)は、背景をピンク色で塗りつぶしていました。それによって遠目にみると、この幼稚園の子たちの絵は、一面ピンク色の統一感があり、鮮やかかつ目立つものとなっていました。


【考察】

幼稚園やクラスによって、意匠や色彩が異なりながらも、それぞれが統一感があることを発見しました。おそらく製作前に担任の先生から描き方指南があり、それに依拠したものと思われます。

より写実的であったり、デザイン性が高かったり、それぞれ全く同じものは存在せず、それぞれ製作者のお母さんがモデルとなっているのが個性に繋がっているようです。しかしながら俯瞰的に眺めることによって、まるで流派が異なっているかのように整然と分類されていることが、わかりました。


おわりに

お近くで似顔絵展を見かけた時は、「よその知らない子の描いた絵だから関係ない」と素通りするにはもったいないです。

年齢による違いや幼稚園ごとのカラーなどといった、共通性や相違点を見つけながら鑑賞すると、思わぬ発見に繋がるかもしれません。

今回、どのようなところにも新たな出逢い、気づきがあり、愉しみがあることを教えられました。

是非、足を止めて画伯のタマゴ達のアートの世界へようこそ。


おしまい

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