心が躍る体験ができるリアル書店【pirokichi Books】
いつからだろう。本が好きになった。
本はときとして師匠であり、同僚であり、友達であり、夢への扉であり、プロトコールであり、癒しであり、薬でもあった。
訪れた街先で書店を見掛けると、わずか数分で良いので入らずには居られなくなる。
リアル書店で得られる体験
立ち寄った書店は、いずれも大抵入り口から入ったらすぐに目につく台に平積みの本が並んでいる。
そこが所謂書店の顔といえると思う。
そこを、あるいは周辺の書棚を眺めて、面白そうだと思った本に出逢えたら、思わず小躍りしたくなる衝動に駆られる。
自らを惹きつける本との出逢いとは、そのくらい楽しく嬉しくワクワクするものなのです。
近隣の書店
私の家の近所には3軒の書店が存在する。
駅ナカ、チェーン店、商業施設テナント。
どれも立地環境が異なり、カラーも異なります。
ただし、残念ながら私個人の意見ですが、
いずれの店舗もドキドキしない
のです。
どうしてドキドキしないのか
それではなぜ「ドキドキ・ワクワク」することが出来ないのか、
逆に申しますと、「ドキドキ・ワクワク」はなぜ生じるのか、について考えてみることにしました。
リアル書店で本を買う理由
そもそも書籍とは価格競争が存在しません。
例えばスーパーで販売されている商品(例:食料品や飲料など)ですと、AのスーパーよりBのスーパーの方が、「○○円安い」ということで、価格差が購買の決め手となり得ます。
書店の場合はといいますと、各書店独自のポイントカードは存在しますので、そのカードやさらにはポイント付与率が購入先の決め手になる可能性があります。
Amazonを初めとするECサイトでの書籍購入が当たり前になった今日この頃、購入すると販売サイト上のポイントが付与される場合があります。さらにECサイトで購入すれば配達してもらえるので重い本を抱えて運ぶ必要もありません。
これがリアル書店で購入せず、ECサイトにて購入する利点です。リアル書店で書籍の目次や内容をチェックしてから、ECサイトで注文を行う。
そのような方法を取る方も多くいらっしゃるはずです。
それではリアル書店の強みとは?
それは、タイムラグをなくせるということに尽きます。
ECサイトで注文しますと、お住まいの地域にも依存しますが、最短で翌日、ところによってはそれ以上ということもあるでしょう。そこには“日単位”のタイムラグが生じます。リアル書店で購入した場合、そのまま場所さえあれば読み始めることが出来ますので、タイムラグを”分単位”に縮めることが可能となります。
タイムラグの長さは、読みたい心の強さと反比例します。
またときとして、ECサイトで取り扱っていない書籍が存在することもあります。
基本的にはECサイトで取り扱っていない本は余りないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、ある書籍へ人気が集中して、一時的にECサイト上での正規品の供給がストップしてしまい、サードパーティー的な販売者から定価以上での出品のみが行われていることもあります。
このような状態は早い場合ですと数日程度で解消されるのですが、在庫数が少ない書籍などを影響力のある方が紹介されたりした場合など、種類によっては長い間稀少本となり得ることもあります。
そのような書籍が、もしもリアル書店に在庫があれば、もちろん定価で購入することができます。
今日日、ネットで在庫確認が出来る書店も増えておりますので、様々な購入手段が選択出来るので便利ではあります。
ドキドキ・ワクワクできる理由その1:品揃え
上述のように、「探している書籍がリアル書店に置いてあるか」
これは大変重要なポイントです。
大型書店であればともかく、街の書店では大量な在庫を有しているとは限りませんので、売れ筋の本では無い場合、在庫がなく「お取り寄せ」ということになると、あたらなるタイムラグが生じることになります。
これは解せませんよね、早く読みたいわけですから。
ドキドキ・ワクワクできる理由その2:放出されている熱量
私は、書店には是非、一期一会かつスピーディーな「一目惚れ」に陥れて欲しいのです。
これがとっても大事かつ切望するリアル書店でこそ味わえる醍醐味なのです。
これまでに知らなかった本との出逢い。
手に取った瞬間から、もう買わずにはいられないという気持ちにさせられる本と出逢う。
そんな経験がしたいのです。
そこから新たに拡がる世界を体感したいのです。
それは、書店から放出されている熱量に依存します。
熱源とは? 何がドキドキ・ワクワクさせる書店なのか
基本的に書店は、書店員さんが積極的に話しかけてくる場所ではありません。
しかし、先に記したような平台の書籍の顔ぶれ。
それは書店員さんからの熱きメッセージが示されている場ともなり得ます。
平台には、現在売れている話題書は勿論、近々あるいは現在映像化されている原作であったり、それらの関連本が置かれている、ということはままあることです。
問題は、それらの書籍以外にさらに何が並べられているかということなのです。
書店や書店員さんの偏愛でも良いので、我々が思わず二度見、三度見したくなるような書籍を並べているか。
これに尽きます。
話題書から生まれた独自のリンクでコーナーが設けられていたり、
そしてその理由を記したPOPが記してあったり(←これ非常に大事)。
書店員手作りの小冊子。
時代・世相と反映したコーナー。
ハッとさせられるようなマニアックなコーナー。
売上冊数によるランキングに留まらず、書店員独自、あるいはニッチなジャンルのランキング。
などなど。
ここに書店員さんの知識、読書量、トレンドとの関連性、マーケティングのセンス、POP作製のセンスなどが問われます。
そして「隣にどのような本が置かれているか」
という「仕掛け」が必要なのです。
この巧妙なトラップに、気づかずに、あるいは時には気づきながらニヤニヤしつつも、かかりたい。
その罠にかかりたいのです。
近隣の現実
近隣の書店では残念ながら、書店員さんからのほとばしる本好きの熱量が絶対的に枯渇しているのです。
もちろん書店ですから、所狭しと本は並べられていますよ。
しかしそこには有機的な、そして情熱的な本同士のネットワークというものは存在せず、極端な言い方をすると、
文字情報・画像情報を含んだ印刷物が陳列されているに過ぎない。
とさえ感じることもあるのです。
探している書籍の書名と一致しているので買って帰る。ただそれだけ。
新たな出逢いは起こりにくい。
なにより良い作品が美味しそうにディスプレイされていないのです。
輝ける能力を持ったスター達が輝くステージに立てていないのです。
これは大変もったいない。
そもそものキャストの顔ぶれがイマイチということもあるにはあるのですが…。
おわりに
近隣の書店を非難するような内容のようですが、私は日常的にこれらの書店に通いますし、購入もしております。
しかしその度に感じるのです。
もっと活気づかないものかと。
照明の照度が低いわけでは決してないのでしょうが、共通して店内が暗く見えるのです。
それは科学的ではない感覚的なものかと思われますが。
訪れる人の知的好奇心を掻き立てる仕掛けを仕込んである書店がある街と、そこに住まう(働く)人の文化レベルは相関関係にあると思います。
本の売れない時代といいますが、いまだ日々膨大な書籍は刊行されており、読書によってネット情報では得られない貴重かつ正確な情報が得られるメリットが存在します。
今だからこそ、書籍によって得られる情報を手にすることでの「差別化」も顕著になってきているとさえいえます。
そんな素敵な本と出逢えるような、ワクワク・ドキドキさせてくれる書店が増えてくれることを願ってやみません。
おしまい
最後までお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは麦チョコ研究助成金として大切に使用させて戴きたいと思います。