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リアル生イギリス英語 vol. 11<アメリカ英語のアウェイさ>イギリス人はアメリカがお嫌い?

今ならわかります。

目の前に突然「アール(r)発音」丸出しの巻き舌で、語尾が上がって上がって上がりまくるアメリカ英語で話す人物が現れたら、こちら(イギリス)の人がどういう反応を示すか。そりゃあ、今のわたしでも、まわりの誰かと密かに目配せしたくなりますよ。

これから述べることは、すべてわたし個人主観体験なので、誤解なきようご了承願います。わたしが思うに、得てしてイギリス人は、アメリカがまつわることに関しては一家言あるように感じます。

アメリカ文化はイギリス人にとって微妙⁈

歴史的にさかのぼればそこはどこも同じ、戦争をまじえてきた近隣諸国とはなにかと揉めがちな場合が多いかと思います。イギリスでいえばスペインやフランスとの関係こそ本来確執がありそうですが(フランスとは、いまだにお互い揶揄することが日常化しているように感じます。)現代においてはそれよりも、同じ言語をあやつり、政治経済で密接な関係を持ちつづけてきたアメリカの動向のほうが、イギリス人には気になるようです。

もちろん、嫌悪感むき出しにした表現や発言ができるのは、一部のユーチューバーやその他の一般人ぐらいかと思います。けれども、あからさまに「アンチ米国」を主張していないひとでも、片眉を上げるぐらいの反応はいたるところで見られそうです。

なによりわたし自身、イギリスに来たばかりの頃はかつて経験したことのない、なんともいえない微妙な空気をなんども味わいました。

浮くアメリカ英語

これまで自分が話す英語のアクセントについて、とくに考えたこともなかったのですが、わたしがしゃべる英語はどうやら当初アメリカ風だったようです。ほかの地域では別段それについて、なにかを指摘されたことはそれまでなかったのですが、イギリスでは事情が違いました。

イギリスのマナーやエチケットに関する専門家のウィリアム・ハンソン氏(William Hanson)が「われわれは犬と馬以外には感情をあらわにしない」といっているのをどこかで目にしたのですが、たしかにイギリス人はオーバーリアクション気味な他国の人たちとは違い、ジェスチャーもひかえめです。

まだこちらに来たばかりの頃、わたしが口をひらくたびに相手のイギリス人はなに食わぬ顔で、さかんに相槌をうちました。そして彼らは最後に、なにげなく

「まぁ、なんてナイスなアメリカン英語なのかしら。」だの、

「君の英語は・・おもしろいねぇ。どっかアメリカの・・」だの、

ひどいとハンソンさんの名言の枠を超えて、あからさまに顔をななめにかしげ、若干しかめながら

「フム〜、そーれは君ぃ、完全にアメリカのアクセントだねぇ」とまでいわれたことがあります。

矯正されるアメリカ英語

実際、こういった経験はわたしだけではないようで、やはり東アジアは選定教科書などの影響からか、同じくアメリカなまりの人を多く見かけます。とある中国人の知り合いが英語の個人レッスンをつけたところ、まず始めにされたことが「アメリカのアクセントを徹底的に直す」だったそうです。

逆に、同じ中国人でも不自然なくらいイギリス英語で話すな、と思ったママ友はわたしの問いかけに対して一言、

変えたのよ」と。

そういえば、以前あれだけ「アメリカ英語の発音が好きだ」といっていた友人がイギリスに移住するようになり、10年以上ぶりにこちらで再会したところ、見事にイギリスなまりになっていました。ビジネススクールに通っていた彼女は、レポートを提出するたびに、アメリカつづりの、たとえばcolor(米英語)などといった単語がいちいち赤ペンcolour書き直されていたといいます。

わたしも本当に、こちらに来ていく度も自分の単語のつづりに不安を覚え、辞書をひく機会が増えたのですが、決して間違っているわけではないんです。

郷にしたがうのが得策

ただ、マジョリティ(多数派)の問題、郷に入っては郷にしたがえで、アメリカ英語は文でも音でも、イギリスに住むには不利だと感じます。どうしてもイギリス社会にあっては、その存在自体が浮くのです。遅ればせながらそのことに気付いたわたしも、長いものには巻かれろ精神で、あっという間ににわか、えせイギリスアクセントに切り替え、今ではどうにか真似できるようになった気がします。

すると、1年もたとうかという頃に、子どもの担任と話をしたところ、突然「あなたの英語もとっても上達したわね。ナイス イギリスアクセント!」といわれました。ちなみにこの先生からは、初対面で「ナイス アメリカンアクセント!」といわれていました。当時はまだイギリス人気質を知らず、ふつうに「サンキュー」とか返していましたが、やはりあれは単なる皮肉で、私のアメリカなまりが耳についてしょうがなかったということです。

しかも、彼女のいう「上達した 」はつまり、「アメリカ英語じゃなくなった 」ということで、どれだけアメリカ英語NGなんだぁ!

以下もすべて私見ですが、トランプ政権になって、そのうえハリー王子夫妻がイギリスを去るどころか、王室そのものから離脱までしてしまったことは、さらに英国でのアンチ米国を助長させてしまったのではないでしょうか。

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アメリカ英語を話すひとがイギリスに、旅行ではなく本格的に居を構える場合、なにかと不便不都合が生じるかもしれませんが、ここは素直にイギリスアクセントに変えたほうが身のため、暮らしやすいです。では、アメリカ人はどうしているかって?

アメリカ人ママもイギリスなまりで話しています(笑)。

旦那さんは違いますが。(※わたしの知っているアメリカ人のみのケースです。)わが家の居住区は、日本人と同じくアメリカ人じたいもそもそも少ないエリアなので、もっと多くのアメリカ人が住んでいるロンドン北部や中心部などでは、事情が違ってくるかもしれません。今回の話はすべてわたし個人の体験談なので、おもしろ半分に「へー、そんなこともあるんだ」ていどの軽い気持ちで読んでいただけたらと思います。

もちろん、アメリカ直輸入でまだイギリスに来てホヤホヤ、子どもも親も全員100%アメリカ英語な一家もいて、そういった人たちを前にとやかくいうイギリス人は誰もいません。

けれどしつこいですが、なんせ「イギリス人」ですから(笑)。表だってなにもいわなくても内心なにを感じているかは、われわれ日本人同様、「本音と建前」の文化がありますので......。

いまいちど、スペル確認は必須

かくいう今日も、わたしはとあるSNSのグループ連絡で、「Thanks for organizing 」とウッカリ打ってしまい、はじめはなにも気づいていなかったのですが、その後につづくほかの人たちのやりとりで「しでかした」ことを発見......。

そう、以前の記事でもさんざん「イギリス英語のつづり(スペル)に注意!」なんて書いておきながら(参考記事)、自分が間違えてりゃ世話ない!これまで数年間かけて、こういったケアレスミスには細心の注意をはらってきたのですが、このときは片手間でつい注意が散漫になっており(って、SNSをそんなに真剣にするってのもおかしな話ですが、わたしにとっては結構重要なポイントなので。)間違いに気づきませんでした。

いや、そもそも上でふれたように、けっして間違いではないんですよ。

けれど、くり返しますが、イギリス人ですから(笑)!

その後につづく、ほかの人たちからなんどもでてくる

thank you for organising
organise
organised...

と、こうしてうっている間にもまた勝手に自動変換でorganizeに変えられてしまい、それをまた修正したのですが、イギリス人によるorganiseのオンパレードで、針のむしろ状態でした。

あぁ、やはり小心者のわたしなんかは、おとなしく郷に従っておきます。

ただし、さらに補足すると、ダイバーシティー国家のイギリスにはもちろんさまざまな国の「なまり」は存在します。インドなまりにスペイン、フランス、イタリア、中国にもちろん、ジャパニーズ・イングリッシュ、ジャパングリッシュのような、われわれ日本人のアクセントだって。

それらはいいんですよ。ただ、あくまでも、とくに「アメリカ人じゃないのにアメリカなまり」に対するイギリス人の目はシラーっとなる気がします。いけないことはもちろんないのですが、それならヘタでも一生けんめいに「イギリス風」、でもいいのでイギリスアクセントにしておくと、あたたかなまなざしで見守ってくれます。以上、いち個人の意見でした。

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